忍者ブログ

  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

|箱不明|5.1 x 44|cigarOne|$6|重量:−1(9.82g)|算出:+6|香味:+4|好み:+1|計10点|

 序盤、パルタガスらしい不安な味がするのだが、すぐに花が匂い始めて、旨味も乗ってくる。
 旨味がどんどん厚みを増して、芋のようにどっしりとしている。芋と花とが旨い具合に調和して、なんとも複雑でコク深い。旨味はどうしても香に負けがちだが、パルタガスの芋は香に負けない。そこへさらにボディを強く感じさせる辛味がちりりりと利き、と言って強すぎるでもなく、と言っても後半猛る。
 ちょっと吸い込みが悪くて威勢が良くないが、老人のようなクラシック感に問答無用の安堵を覚える。
 終盤、土から木が生えはじめた時、かえって土を感じる。芋に苦味が増してきたのかもしれない。雑味のない苦さ。こういうのをたぶん複雑というのだろう、複雑な意識なのだろう。雑味がないのだから、純粋ともいいそう。芋のようなものは単なる深みなのだろう。
 花の香りに甘さが増して蜂蜜になる。

 吸い込みが良くないので駄目だし、吸い込みが良くてもたぶん+4どまりだが、好みで言えば+5ということで「好み点」を+1点設けた。吸い込みが悪いので終りのような気になるが、まだ吸い終わっていない。……

 終盤全てが濃厚化し、ああ素晴らしい。素晴らしすぎて吸い込みの悪さをも忘れてしまう。花ははっきり金木犀と化して色濃く、土壌は極端に豊穣で、落葉柔らかく、芋柔らかく、此処へ来て旨味が芋を頬張ったようにまだ膨らむ。
 強ければ飲み物を欲しそうなところ、芋に喉が乾くどころか、不思議なことに飲み物いらずだった。
 結局、吸い込みが良ければたぶん+5だった。ペティ・コロナにエスペシアレスの毛が生えただけのくせに。生意気な葉巻だ。
 デカいだけでなかなか当らないルシタニアスより全然良い。やや黒い898では黒味が強すぎてここまでどっしり芋の風味は出ないし、D4やE2では薄く、ケネディ=アップマン・ペテコロのように私=パルタガス・ペテコロエスとしてこれを愛用できそう。もう一つあるとすればプレシデンテだと思う。
 大体、なんで今までこれを箱で買わなかったのか、一本試した時()から最有力候補だったというのに。(自分で読み返してみると驚くほど今回と同じ感想として読める。昔の+3は今の+4で、次第に評価が甘くなってきている可能性がある、特に+1〜+4の間で。最近+1と+2がほぼ存在していないのは、もしや+3に底上げされていないか。+5は依然別格のつもり。)いつのまにかハズレを恐れて限定物ばかり買うようになっていた、改心しそう。
PR
|SUB AGO 11|6.1 x 52|coh-hk|($99/6=$16.5)|重量:+1(14.44g)|算出:+5|香味:+4|

 昨日封緘を解いたからか、匂いがあまりせず。
 さすがに昨日のオヨに比べ旨味強く、ほっこり落ち着く芋がある。通常のP2とどう違うのだろうかわからず、モンテクリストはNo.2を所持していたため外観を比べみるだに巻きもラッパーもセレクションの方が格段に綺麗だった。が、このパルタガスのラッパーは斑黒くあまり綺麗とはいえない、しかし巻きは美しい。
 とにかく芋がおいしく、5ミリも進むと截然と甘味と花が斉しく滲み出す。それがはや強烈な残り香になり、香のトンネルを潜った芋に再びまみえる。芋は依然消えず、潜り抜け、芋の方が明るいという逆転が起こっている。この芋機関車は華やかな香を後ろに棚引かせつつ捨てている。まさに後ろ髪を引かれる形の、それでいていさぎよい香。花は萎れるを俟たずに捨て、甘味は里芋を薩摩に、薩摩を次第に安納芋に変えていく。花は続々吹いては焼けもして香ばしく、また捨てられ、残り香強く、焼け続けて落葉になり新緑になる。新緑も焼け、この汽車は冬を通らない。豆を炒った風味か、それよりも何処と無くもはっきりと石炭のよう。植物は窓風、窓の景色は刻々と変わる。安納芋とて一瞬で終る。しかし素朴で美味しい原風景がずっと続き、芋の根は人類が芋から派生したと思えるほどに根深い。そんな馬鹿な事を思わせるほどこの葉巻がおもしろいという事か、美味しい物ではある。大体この葉巻よりも私の方がおもしろくなくては困る。文章で稼がなければならないとしたら。しかし葉巻とかく敵対する人物の書が万が一にもおもしろい因果はあるか。そのうえ文章を書くのに葉巻の力を借りている人物の。一体全体文筆家は葉巻を吸ってはならない、就中葉巻を書いてはならない。どんなに酔ったように筆が辷るとしても。
 いずれにしてもこれが美味しい。これが美味しいのに、明らかにパルタガスの味である為、パルタガス全部が美味しい気がして来る。芋を基調とする完璧なバランスと変化があり、ただ絶頂が無いのみ。むしろ常に絶頂だったといって良いかも。常に絶頂ならば、絶頂は無く、無い物は無く、評価も一つ下がるのである。それにしても絶頂は無い。屹度、あるはずの絶頂が無いのではなく、トンネルを抜けたら其処はトンネルだったというような、そのトンネルの壁円筒に車窓の景色が写実的に描かれているのである。

 昨日の後半の事、及び今日の残5センチの事、後半が味気無くなる因果には、吸っている途中の乾燥という大敵がいないだろうか。乾燥したって美味しい物は美味しいと思うのだが、今夜はあからさまに乾燥し切った日本の冬だし、しかし冷たい空気の方が葉巻を美味しくするとも思うのだが、何か吸っている最中に葉巻を加湿する良い方法はないものだろうか。珈琲碗から立ちのぼる湯気など、珈琲碗を灰皿のようにしてその淵に葉巻を横たえても、あまりにも湯気の気は短い。
|SAR MAR 12|5 1/2 x 54|cigarOne|$76/5|重量:+1(16.39g)|算出:+5|香味:+4|

 一口目、懐かしいような香草の香が吹き、二口目から滑らかな土のコクを伴う。忘れてしまった遠い記憶のように美味しいのに、実は記憶に無い筈のそれであり、ありそうでなかった味わいなのかもしれない。
 久しぶりに「うんめぇ」という口語ではけっして発さぬ心の声が出た。
 香草といってもこれだけが微妙に違う香草で、土というのもこれだけが微妙に違う土、要するにポミタリン草とヒポコリン土の味わい。
 「ハバナ感」でもない。ともするとフィリピン産の特級品かとも思えてしまう。フィリピン人はキューバ人よりもおおらかあるね。という声が聞こえる。中国製の偽物のような話だが、これは正真正銘の本物すぎる。緻密さを宿した大らかさ。コイーバに換えればBHK感のあるパルタガスというほどの当り感もさることながら、当らぬまでも基本の香味が凄い。しかもそれが当っている。
 まだ1センチ。変化に欠点はなく、ポミリタン草の先から緑色の種がヒンポコリ土に落ち、落ちた瞬間に花が開く、落ちた線香花火を見るような、不思議な急峻のある緑色の種である。花は鼻の奥からじわっと咲くのに、ブワッと咲くようでもあり、ふわっと咲くようでもある。その永久草土に咲く那由他の花は散っても草土と密接である。
 強さとともに甘さが出てくる。本来小さいサトウキビの巨木から熟れたミニパパイヤがマンゴーの中身を伴って、実ったり落ちたりするのではなく、樹液のように滲み出している。ヒポコンリ土はサトキウビ木とンポコヒリ土の中間の木(金)土になる。と思えばわんさかと落ちてくる、香木の味の薫るマンゴーが、高木から華やかに。隠れる間もなく隠れ、草は極度に背の低いタンミポリ草となって密やかに生えている。なんとこの間、金木犀は咲いていない。土の強さの所為か、花よりも果肉が匂う。つい最近まで金曜日だった。今日は土曜日で、つい最近まで昨日は木曜日だった。金曜日はない。
 序盤は完全なる+5である。
 果たしてウキトサビ木とタンリミポ草とポヒコンリ土は最高級のウビキサト木とタポリミン草とヒンコポリ土にまで至るのであろうか。突然全体が味わい深い濃密な軽さから発泡スチロールのようなただの軽さと荒い重さに走り出してしまう。しかし美味なる物の名残は愛情の消えた背中のように残している。背中はそれ見目麗しく、基本的な美味しさまでは消せないようである。
 それからピスタチオの緑色の雑味のみを凝縮させて復活しつつある。それにしてもミポンタリ草はどの角度から見て背中が見えるのであろう。突然ンポンポン草でも生えないだろうか。もっともンポンポン草というのは突然生えるものではなく、吃逆のように定期的且つ予測不能で、ン(不味い)だったりポ(惚れた)だったりする媚薬である。草には草としての限界がある。ポンポンポ花がいまやこれにはちょっと足りないのではないだろうか。こうしておもしろい話のようなつまらない話が続く。……
 ……むしろ最高の+5を超える+6を付けずにいられた事にほっとしている。序盤が更に好調子で膨らんだら、おしっこを漏らしてでも葉巻を吸い続けただろう。トイレが禁煙だとして。それがなんと、リポンミタ草をタリポミン草だのと言っていた微妙な変化が、ンポンポ程度の物に終ってしまったのである。タンリミポ草とポヒコンリ土をタンリミポ土とポヒコンリ草と言い換える準備までしていたというのに。もっとも準備が悪かった。もっと落ち着く5文字を抽出すべきだった。
 凄まじい可能性を秘めた葉巻だとしても、おそらく五百本に一本の無欠のアタリがあるかないかだろう。
 この程度の葉巻では何も得られるものはない。それで良いのだろう、それ以上であっては如何に選ばれた5文字でもついていけない。大体コンピューターというのは□は変換できても五角は変換できないのである。
 五本終了。
|POL ENE 11|7.2 x 57|cigarOne|$178/10|重量:+1(16.47g)|算出:+3|香味:+3|

 898ばかり書いてサロもネスは全然追記していなかった。8本目。
 ハズレた記憶がなくもアタった記憶もない。クァバと違って、パルタガスに大らかさを要求する事がないからか、大らかに終ってしまう事が多い。それが今回、スカスカな吸い込みの所為か、ぴりぴりとした刺激の辛味が出ている。香は薇のような小学生の口臭のような草だが、段々旨味が乗ってくるとピリ辛と相俟ってパルタガスの強面が顔をのぞかせる。最大口径の部分にさしかかると、残念なのか辛味が消え、良い意味で裏切られ、これ以上はないというほどの太い旨味が来る、来そうである。最大口径を越えるとすぐに花が乗る。一瞬の太い旨味だったが、消えてしまうほど痩せはしない。煙は薄くなり、膨らみは痩せるが、柔らかさはより多く感じられるようになる。ただ、これだけだ。緑色のピスタチオのようだといえば褒めすぎの感がある。なんだか熟成にも期待できないような大らかさであり、今後大らかさに輪をかけるしかなさそうで、手をつけない箱のまま十年ぐらい放っておかなければならないのかもしれない。手入れの行き届いた広大な公園、たぶんゴルフ場のようなもの。この点、モンテクリストのオープンほどにも洗練されていないかもしれず、芝ではなく、芝を嗅ぐギャラリーが踏み締める土の味がする。少し金木犀が咲いているが、何故か其処は春である。まるで雨上がりの晴れのようなじめじめとして爽やかな温かい香がする。悪いはずがなく、どちらかといえば美味しい。
 こうしていつもの調子で終盤の纏めにかかっていると、なんとまだ中盤に差し掛かったばかりだったのである。ビクリと味が荒くなって、それでいま中盤だと気付かされた。荒さにまみれて甘味や花などが噴出する。辛いのか甘いのかよくわからず、兎に角芋を喰っているような気にもなる。そのまごうかたなきパルタガスに、花が滾滾と咲き尽きぬのである。
 荒さを維持したまま膨らみをも取り戻す。口の中で煙がどかんと爆発するような感触である。それにしても吸い込みがスカスカである。もう少し粘り着くような凝縮感が欲しい。紛れもなく美味しいだけに惜しい。大体私はゴルフ場に行った事はないのだから、ゴルフ場を爆破してもらわなければ困る。
 やや強烈なのに全くニコチン酔いにならないという、懐の深さを感じる。鮪となって海を泳ぎたいぐらいのところ、何処を逍遙しているのかわからないもどかしさも残る。
|LAG FEB 11|170mm x 43|coh-hk|$197.20/25|重量:0+1(11.34g)|算出:+6|香味:+4|

 重量が保証するように、安心の吸い込み。スカスカではない。
 塩漬けの大木のような味わいに、一度灰を落とすと、突然春が来て、草花が大量に吹き出す。森の中で静かに横たわった大木に小鳥のような仲間がやって来る。草花が足を付けたかのように。春が来ても物凄い木の香は衰えない、その大木が草花に慕われているのである。朽ちてなお生きている木である。
 二度目に灰を落とすと、突然表情が一変して穏やかになりまろやかにもなる。クリーム漬けの塩漬けの大木である。煙がするするとして、咽に優しくなる。だが厳めしい木の芳香は消え過ぎはしない。塩味の錯覚も持続しないはずはなく、クリームには塩が利いていて、最近流行の味付(塩チョコや塩バニラ)のよう。塩葉巻というのはなかなか合うのである。またクリームの味わいに、煙がするするとしているし、香水のような芳香も立ち始め、美肌と化粧水と乳液のような関係が思い出される。
 もう一度灰を落とすと金木犀が満開になる。どうも灰を落とす度に大きな変化が訪れる。その間も刻々と一口毎に違う表情を見せるし、なにしろ一口一口が常に美味しい。
 いつもの重厚で落ち着いた低音というより、今回は重厚ではあるが少しガサガサとした中低音である。これも良い。というのもそのガサガサが葉のガサガサで、非常に葉っぱらしい香ばしい味わいが顕著である。先日のリットーゴメスのような、鮎を葉で巻いて更に塩の山で包んで焼くような、塩のはぜるような音までが葉に聞こえる。もっとも巻かれているのは鮎ではなく葉であり、すると葉の中には何か甘い物が巻かれているのである。
 ともあれ最近口が塩を錯覚しやすいらしい。今日のこの葉巻から実際に塩の味がするのかは非常にわからない、塩ばかりを感じる季節のようなものがあるのだと思っている。

 箱で買った当初はあまり好きになれないような気がしたが、残5本、ハズレた記憶もなく、熟成に因る変化も凄そうで、今では一番のお気に入りの箱である。
|APR SEP 10|5 1/2 x 50|puro-express|€77.25/10|重量:0(13.77g)|算出:+4|香味:+3|

 「(最近の)リミターダは(駄目だ)」といわれる特質が—2007年以降の5箱を知っているのみ—やはりこれにもある。最初の一本ではわかりにくかったが、落ち着くとそこに落ち着く。リミターダが全部これなら確実に与えられた特質なのだが、日本のネット上の評価者には酷評される事が多いようである。
 このブログではそれを「水で薄めたような」と書いている。水でも当る時は当り、但し当っても水っぽさは消えない。
 水ではパルタガスの強さを隠しきれないといった方が適切かもしれない。水が辛く、水が甘い。カスタード水であり、花水である。今回はやけにフルーティーさを感じさせる当りである事もあり、水っぽさによってもロメオ(やトリニダッド)を連想するが、でもこれはきっとパルタガスの水なのだろう。ロメオやトリニダッドのリミターダには水っぽさはかえってあまり感じられないかもしれない。
 もうひとつ、リミターダにはマデューロくさい傾向があり、共通して水が焦げたように感じられる。つまり火事の跡である。
 どんなにパルタガスらしくなっても水っぽいのですぱすぱ吸ってしまう。おそらくこれで良いのである。終盤に近づくにつれパルタガスの荒さが出るが、それでもぐびぐびいける。咽を渇かした人が飲む水のように美味しい。
 当りといって+3しか付けないのは、やっぱり水っぽい葉巻では美味しく感じられないし、不本意にも水の飲み過ぎで気持ち悪くなった。
|GKI NOV 04|4.9 x 50|coh-hk|($98/5→$0)|重量:+0(12.77g)|算出:+3|香味:+3|

 D4のバンドが巻いてある。
 通常のD4より明らかにマデューロ寄りで、染みた味わいがあり、強い感じがする。経年の淡さも無くはないものの、衰えをほとんど感じず、マデューロが煩いが、これでこそ美味く熟成したという感じがする。
 それにしても濃い。マデューロ寄りのあまり好みではない味。経験上のD4とはまったくの別物。
 底にたっぷりのカスタードと、染みから花が生えている。プリンの上下を逆にし、そこに花の生えた、変梃な植木鉢である。
 後は他の事に気を取られた、他の事に気を取られる程度だったと思う。
|LAG FEB 11|170mm x 43|coh-hk|$197.20/25|重量:+1(13.41g)|算出:+4|香味:+3|

 この箱を開ける度に群を抜く匂いの強さを感じる。クサヤを百分の一に薄めたような、しかしもっと美味しそうな匂い。着火すると、匂いのないクサヤのような美味しい味がしそうだが、そうではない。
 痩躯の中年弁護士のようにイガラばしった味でありながら、芯に柔らかさがある。苦味も走るが、これがなければパルタガスの898とは言えないのだと思う。この葉巻は素朴な色味ながら色々と群を抜いており、この苦味は絶対にお菓子やフルーツに懐柔される事がない。常に「葉巻を吸っている」という興趣があり、これは変化しない。「葉巻らしからぬ葉巻」という恍惚感はない。要するに芯は柔らかくても、外見は恐ろしくかちりと決まっていて、まるで近付き難い男のようだ。だが芯まで堅い男などいない。いないからこそこれは美味しいのだろう。
 それにしても巻きも堅い。もう少し緩ければこの堅実さは良くも悪くも消し飛んでしまったかもしれない。

 なか四日ぐらいで、葉巻っていいなぁと初心に返れる。
 もう七本しかなく、これも早々になくなりそうだが、七年目ぐらいの物をいつか試してみたい。
|APR SEP 10|5 1/2 x 50|puro-express|€77.25/10|重量:0(13.61g)|算出:0|香味:+1|

 いつの間にか前回から五ヶ月も経っている。もっと寝かせたいから五ヶ月しか経っていないというべきだが、時が経つのが早い。あっという間に五年熟成最後の一本という事になりそう。
 うすら苦い。一度灰を落とす頃から花が染出るも、うすら苦い。このうすら苦さが濃かったり更に薄かったりするものの、これはこのELに限らず最近のそれらの特徴かもしれない。黒っぽいラッパーのみに因るものではないと思うが、黒い外見と味が一致している。褐色の深みというよりも褪色の黒という感じである。全体の味が濃くてもその薄ぼけた感覚は消えない。うすら苦さにうすらぼけた酸味まで乗ってくる。妖怪の片隅にも置けない。
 モンテクリストLE2008に欠点がよく似ている。「ハズレた」という感じがあまりしないのだからこういうものなのかと思い込んでしまう。もっとも、これで三本目だが、一、二本目はもっとずっと美味しかった。あと三年ぐらい寝かせれば良いのか、モンテクリストを2013年に試せば判断できるかもしれない(自宅の環境に於いて)。二年以内に全部吸うべきなのかもしれない。

 冬が近付くにつれパイプ煙草の魅力が増す。パイプは煙が少ないので窓を大仰に開けなくても済むし。葉巻だと冬でも窓を全開にしなければいけない。冬にパイプばかり燻らせれば葉巻の熟成が葉巻を減らす事なく進むという仕組みでもある。でも私は冬でも窓を全開にしてあまり苦ではないのだ。
|UGA MAY 09|194mm x 49|Cigars of Cuba|$106/10|重量:+1(14.71g)|算出:+4|香味:+3|

 購入後約22ヶ月で最後の10本目に着火。3年5ヶ月の物。重量の軽さに気が抜けたが吸い込みの心配はない。
 葉の香味は適当な感じで、甘さだけが目立っている。砂糖でも塗っているような甘さで、何故か空吸いしていても甘さを感じた。それにしても葉の香味は適当な感じである。普通に美味しく、中級の米を食しているような感覚である。
 ハズレた荒さに至るかと思いきやパルタガスにあるまじきカスタード風味に調えられていく。と感じた次の一服で突然パルタガスらしさが来た。こんなのパルタガスじゃない、と書こうと思った直後にである。突如甘さが鎮まり芋のような風味ある自然な甘味に代わり、辛くなる。あまりの入れ替わりの激しさに消滅したかに見えたが、カスタードは消えるものでなく、徐々に溶明してスイートポテトになってくる。すると今度は緑色の風趣が加わりだすのである、此処まで緑色は見えなかった。
 手元にあった約二年の間にどのような変化があったのかはまるでわからなかった。初期に書いた文章と比べると今日の文章は違うが、この違いを熟成に因る違いと思って良いほど正確な文章でもなければ葉巻自体単純でもない。わかっているのはたった1本だけとんでもなく美味しくて驚いたという事のみ。今日のこれもこれはこれで相当美味しいもののはずだけれど、あまりパルタガスっぽくないし、むしろ直近のディプロマティコスNo.2に似ていて、あまり好きではないカスタードであり、終盤では再度カスタード臭さが鎮まるが、燠に木と風をくべるようにまた起こり、相性が悪いタイプとしか言い様がない。一本目の窮屈な感じのほうがまだ面白かった。
 嗜好品の域に留まっている。

忍者ブログ [PR]