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  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

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|UBE SEP 11|4 4/5 x 50|coh-hk|$62.90/10|重量:−1( 10.06g)|算出:+7|香味:+4|

 さすがに10.06gだとスカスカしている。スカスカだと煙草の煙らしい辛みが来る。にしてもこの葉巻は甘くて美味しい。どの葉巻をも突き放して圧倒的にフルーティーなのである。正直ここまでロメオがフルーティーだとは思っていなかった。
 何の果実かまったくわからないのだが。……突然性格が変わって「マジんまいなぁ」と言いたくなる。ロメオの中でもショートチャーチルならではなのか、フルーティーではなかった葉巻の堆積がこれを際立てているのか、わからない。ロメオがここまで美味しいとはまったく思っていなかった。
 スカスカだからか、5ミリ吸ったら火が消えた。思えばこれがハバナシガーであることをしばし忘れて、再着火することで葉巻らしさを初めて感じたのである。シガー以上の別世界に最初の5ミリで行ってしまっていたのである。
 強くて辛いがフルーティー、というのはいかにも簡単であり、難しいのはこのフルーツが何なのかである。強くて辛いが甘くて軽い。このような天の邪鬼を同一化する触媒なのであるが、フルーツ自体が何であるのかはまったくわからない。いわばまさに夢にも見ない夢の果実といえよう。
 多少キウイの金属感が響くも、果実ならではの切れの良い爽やかな甘味のほうが遥かに強い。しかも酸味はなく、葉巻感が酸味の代わりをしている。果実が小便臭い木に実って、この小便臭い脇役の木にのみかろうじて葉巻らしさを感じる。
 ロメオの代表格がチャーチルであることはわかっている。このロブストをあえてショートチャーチルと銘々する事が何を意味するのかもわかりそうなものである。しかし「ショートチャーチル」よりも「ロブスト」と言った方が明らかに語感が良い。私は「シガー」という言葉があまり好きではなく、「葉巻」という言葉が大好きなのだが、その好悪と似た感じ。「葉巻」=「ロブスト」といっても過言ではない。……
したがってチャーチルよりもロブストの方が美味しいのだが、これは古き佳き時代の舶来品の記憶らしい。経験しえない時代を経験しうるというか、全くもってこの葉巻は大型船で到着したに違いない品物なのである。輸入者の矜持をもって税関に電話したいぐらいで、葉巻の経験豊かなダンディー税官吏が向こうの受話器を取り、この葉巻の輸入者に畏敬の念を抱いてくれればなお良い。(ちなみに、電話するまでもなく120g分の煙草税を取られた)

 着火前はあまり葉巻を吸いたい気がなく、到着日の嬉しさの慣性で自動ドアのように自動的に着火したのだが、意想外なるものかなである。
 スカスカな辛みが旨い具合に昇華されれば+5の恍惚感だった。変化は薄いが、初っ端から美味で、終始ぶれない。最高級の果物を輸入した感じがするが、日本の果物以上に手を入れた果物が外国に存在するはずもない。そうではないのである。このロブスト葉巻がその果物なのである。それもそうだろう。外国人が愛媛蜜柑を育てないように、日本人は葉巻を巻かない。それでも日本で葉巻を愛媛蜜柑的に吸う事はできる。キューバ人にしてみれば、日本人が最高級の愛媛蜜柑を啜るような心地なのだろう。しからばこれはいかにも舶来品なのであった。
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|5 x 48|cigarOne|$11|重量:0|算出:+4|香味:+3|

 着火前は民芸品のような、蒸篭のような軽やかな匂い。軽やかさには麦わら帽子の昂揚感も有る。着火すると葉巻のこれといった風味がするが、同時に一風変わって、夏の果実と甘味を伴うようになる。その果実が何なのかは判らない。臭みは鮮やかなほど無い。ほんの少し進むとしっかりした辛味が出てくる。辛味を「しっかりしている」なんて美化できるのはロメオだけかもしれない。
 No.3に比べるとコクが浅く、そのぶん何かを付けたようでもない。花の乗り方が独特で、まったくもってマデューロではないのに、花がそれっぽさとして現れるような。明るい色合いの葉巻だが、これといった花は咲かずに、煙が茶色くなる。その香ばしさが小便臭い樹木をも現している。味は濃くないのに香りは濃いのだが、濃い物の香りが濃いのではなく、薄い物の香りが濃いので、変な感じがして美味しい。辛味が出ている所為か、なかなかフルボディに近い。
 丁度ど真ん中の中盤頃、突然花が目に見えた。全てが花をふわりと膨らます用土と化した。飲み物をリキュールに変えたからかもしれない(シャトー・ド・ブルイユのカルヴァドスのリキュール)。変える前はドライなもの同士でシップスミスのドライ・ジンを飲んでいたから雲泥の差があったのか。この花が一服で終わってしまった。飲み物を変える手間で間を置いたから咲いたのかもしれないが、その後間隔を空けても咲かなかった。極甘くて芳醇な林檎酒に嗅覚が馴れてしまったのかもしれない。なんとも色々な要因が重なったらしい。
 一本の内でも品質は荒れているらしく、残五センチほどで著しく減衰して終了。

 エクシビシオンはNo.3も4も良く、これまでのロメオが嘘になってしまった。でも何故かこれぞ葉巻の最低ラインであるという印象になる。どの葉巻も最低これぐらいしっかりしてくれないと、というような。
|5.6 x 46|cigarOne|$13|重量:0|算出:+4|香味:+3|

 ロメオらしい軽快な香ばしさ。すぐに粉っぽいチョコ風のコクとフルーティーな甘味が出て、スポンジケーキの軽やかさが膨らむ。それが実に土木っぽくて葉っぱらしいのである。軽過ぎないが、軽くて濃い。辛味はあるが、良い辛味で、苦さやえぐさは伴わない。
 2センチほど進むと茎か豆か花っぽいような独特の香味に変わる。大分懸け離れた喩えだがインヘニオスをロメオ風にしたような。特徴的な香りの下でコクがずっと続いている。花はどちらかといえば木犀などを咲かせずに甘味を纏ってフルーツを実らせるらしい。フルーツにしてはかなりコク深く、葉をココア状に丁寧に挽いたようなコク。
 井伏鱒二の『川釣り』を読んでいたからか、そのまま川釣りに合いそう。ヤマメを食べた後のフルーツ代わりに最適のような。ヤマメの後に断じてフルーツが合わなくても、煙なら役を果たすだろう。
 今宵の赤ワインが合っているのかわからないが、兎に角葉巻は美味しい。昨日到着したばかりだが、今までのロメオの中で一番美味しい。
 ロメオで当たると基本的なハパナの香味は軽いのに強くて良い。これはかなりの当りだと思うが、当りにしてどことなく安っぽい感じも美味しい。本当はあまり安くないが、ロメオの印象は安い。
 早速オカワリしたいぐらいだが、釣りが趣味ではないように、箱で買うには至らない。本当に安かったら買うけれど、千円もあったらたぶん近くの渓流に行けてしまう。趣味ではない釣りを選ぶか趣味ではないロメオを選ぶかという問題になる。釣りに行って尚かつロメオを吸えば済む話だが。
 甘味は消えないまま、終盤では軽さらしい荒さが出る。「ぼくは渓流の小さな滝に別れを告げる」なんて書いている人間が居たら釣り人として下の下だと思うが、なんだかそういう気持ちが分からなくなくなってしまう。
5 1/8 x 42|Cigars of Cuba|$45/10|+1|+1|

 大きさはよくある5 1/8 x 42のプチコロナ。モンテの4やロメオの2と同じ。
 10本入りのボックスを購入し、到着後二ヶ月で10本吸ってみた。「到着後一ヶ月は寝かせなければならぬ」という話が神話に思えたので。結果は、この葉巻に限ってはどうでもよいものだった。判別不能だった。到着後一週間以内に吸ったものは確かに酷く不味く、三週間目に吸ったものが飛び抜けて一番美味しく、他はどれも少ししか美味しくないか、少し美味しくないかのどちらかだった。最後に吸った一本は二番目に美味しかったけれど、それでも少ししか美味しくなかった。大当たりは稀にあるものの、この葉巻には底力はないのだと思ってしまう。
 キウイにも似た発狂したくなるようなキンキンとした嫌味が出るものが多い。銀紙を眉間から脳髄に差し込んだような。味が薄くて苦味やいがらっぽさが目立つモノが多い。味は薄いものが多いのにボディはけっこう強い。濃厚な味を伴わず、不味さに因る強さという感じ。薄さが優しさであれば文句も出ないが、雑味が際立っている。
 もっとも美味しい一本は、歪みがほとんど和らぎ、甘味が目立つようになり、ロメオ流のふわついた木香(土や革ではなく木)やふわついた花も再現されるのだけれど、舌が肥えたのか説得力に欠ける。ふわついている物に動じなくなったというか、ふわついていない物に動じるようになったのかもしれない。それでもなかなか美味しい。蜂蜜を綿飴にしたような。原料の蜂蜜は普通の安い蜂蜜らしい。独りで楽しむには重厚さに欠けるけれど、素人将棋でもさしながら葉巻などそっちのけで敵と吸うのには丁度良いかもしれない。美味しいけれど、なんだかどうでもよい美味しさなのだった。胡椒を舐める大航海時代の美味しさといえばなんだか美味しそうだけれど、グラニュー糖を舐めるような美味しさ。胡椒がもはや平凡であるように、グラニュー糖ももう平凡なのである。
 そろそろ気付いてしまうのだが、私はロメオが好きではないのではないのか。でもぺティプリンスは私ごときがロメオに求める味わいそのもので美味しかった。
|4 x 40|cigarOne|$6|+5|+3|

 少しよぼよぼした外観だがピッチリ巻いてある。着火直後は少し緊張しているが、「葉巻だよね、ロメオだよね」とひとりごちる軽やかな葉巻らしさがある。葉巻っぽさがなんだか純情で、進むと少し甘くなってくる。はじめてシガリロを吸った時のことを思い出しそうな。壮観に並べられた大きい葉巻群に想像を膨らませているのである。実際は裏切られること屢々なのに、これは小さいけれど裏切っていない。気持ちばかり大きくなった分丁度期待どおり美味しくなっているような。
 ライトだが味はしっかりと乗っていて、終盤早々には花やバターが見えるが薄く、かえって序盤から中盤の薄さにロメオ独特の木香がして一番美味しい。他に比べる濃いものがない独特の薄さなので、薄いというのは誤謬なのだろう。終盤は濃い葉巻を薄めたようになってしまう。
 安いし、小振りだし、涼しい夏のようないい葉巻だなぁ。最高気温を更新するような夏の方が好きだけれど。
|5 x 42|cigarOne|$28/5|−1|0|

 これを求めていたかのような薄黄土色の懐かしい香りがする。しかし思い当たらない。季節の変わり目の温度のような香りのない香りに近いのだが。着火すると懐かしさは無くなってしまった。
 程良さそうな堅めにしっかりと巻かれている、ラッパーもなかなか丈夫そう。吸い込みは少し難で、その所為か煙も少ない。
 味は薄い。薄いというより楽といった方が良いかもしれない、薄さが本領のようなので。
 どことなくフルーティーなのだが、純朴に木という感じのほうが大きい。辛夷だとかハナミズキだとか百日紅だとかの、何処でも庭に植えられている類の。まだ懐かしさには思い当たらない。しかしほっとする感じがある。はじめらそのようなぼうっと満ち足りた感じがして買ったのだけれど、買った時から間違えていたのかもしれない。軽いのにミディアムボディぐらいあり、楽なのに「これこそが葉巻だよね」という感じがある。しかしこんなこともべつに懐かしくはないのだからおかしい。
 べつに美味しくもなかった。ラッパーとバンドが一体化していたし、美味しさに関しては微妙なハズレを引いただけっぽいけれど、依然不思議な懐かしさの靄が抜けない。既視感があるのに既視感すらないのだった。

 こちらの方が重要に決まっているのに関係ない話になってしまうが、チューブから出して保管した方が良いのかもしれない。

 ロメオには他のキューバ産から隔たったおかしな魅力があるとは日頃から考えてはいるけれど。高度な安っぽさとか。

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