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  源氏物語「葉」
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|箱不明|3.5 x 44|cigarOne|$9|重量:−2(6.23g)|算出:+2|香味:+2|計2点|

 紙を燃したような辛さと強さの中に、薄らと花やぐ土地の芳香。「味が濃い」という意味でなく「煙が強い」という意味でのフルボディの中に、花やモンテ香が幽かで、幽かさが奥ゆかしいけれど、さるにてもあれあれという間に終ってしまう。健康さを感じさせるほど終始只管強いので、三年睡眠コースが妥当かと思う。雑味なく、純粋培養の強さを感じる。
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|BME JUL 11|7 1/2 x 38|coh-hk|$215.90/25|重量:0( 11.61g )|算出:+4|香味:+3|計7点|

 漸く吸い頃を迎えて、もう2本しか残っていない。
 染みっぽいコクと極度に乾燥したような褪せた風味が併存している。湿った汗は乾き、染みた染は薬箱で薄く包まれて、いちいち淡い細身。ふと金木犀の押し花が一枚のみ来る。やがてミントを思わせる青緑の芳香が閃く。何が来ても全体は乾き切った木で、乾いた菰が厚い。蜜を思わせる甘さも乾いて、ほの甘くつづく。山椒を噛んだような、その殻の雑味を伴う風味がぼうっと漂っている。
 中程から、カスタードの空気に包まれて満々と咲き始める。
 時々酸味が出てくる。大抵吸い込みの悪さに因る酸味だと思っているが、事実はわからない。
 終盤は藁束など軽い物が全部失せてモンテクリスト特有の極上キャラメルに整っていく。こういうものはナッツといったって土といったってなんといったって同じ意味。金木犀も風向きによって満開になり、喉と鼻腔がこってりしてくる。古典。
 葉巻葉巻した印象(初めて葉巻を味わった時の記憶に準じる)はないのだが、ラッパーとバインダーの割合が高いからか、これも事実不明だが、銘柄を超えて共通するプレミアムフィラーの味や変化をあまり感じず、モンテクリストの持ち味が貫かれている。吸い込みの悪さも重なって爆発力はしょぼいが、細さでしか感じ取れない刻々としたものを堪能できる。
 最終盤に至る前に葉巻が死に、死んだ葉巻を吸えば人体も死ぬ。7センチぐらい残して終了した。それなりの香味は出たものの、当りの箱ではないと思う。

残1本
|TUR JUN 08|6 2/5 x 42|cigarOne|$215/25|重量:0(10.61g)|算出:+6|香味:+4|計10点|

 箱最後の一本。
 なぜかモンテクリストは白カビが付きやすい。ヒュミドールの中で各種モンテクリストばかりに白カビが栄えている。葉の質に特有なのだろうか。
 7年経ち、匂いは減衰しているが、空吸いしていても舌に甘い。ドローはやや固。口から古いものが出てくる予感。
 化粧水に白粉、煙のような花の粉(花のような煙とは違う)。鼻の奥に香り濃密でありながら、その爛熟に枯淡の境地を加えている。枯淡というのは土や革や木といった要素について。土を木と紛うような淡さがある。味わいは粉が舞う軽やかさ。花の色が刻々と変化し、やはり翡翠葛のような青緑色の金木犀に至る。
 起承が急転し、焼きたてのバター・クッキーのような風味、あるいは蜂蜜を塗ったマドレーヌか、素朴なはずの焼菓子のふくらみに異常さを感じ、加えて甘いカラメルが香ばしい。これもカラメルかキャラメルか、どっちつかずで左右に幻惑され、蕩けつ驚きつ、急激に旨みが増している。そこへもって花の切り返しの盛り。凄い。
 おかしなナッツオイルを使った、一個2000円の大人びたケーキの味わい、といえばまさにそんな味わいでしかないのかもしれない。
 終盤は甘やかに濃いハバナ葉のこれでもかという風味が主体となって積み重なり、もっとも花も濃い。
 最後の3センチで緑色の豆が出てきます。可愛い。
 根元まで美味しい久々のもの。
 一体全体読んでいて何処がモンテクリストなのかと言われれれば、「翡翠葛のような青緑」というところにしかないように思う。色域は絶大で、全体を覆うのだが。どのビトラなのかと言われれば、タイトルからしかわからない。でもロンズデールというのはやっぱり一番具合が良い。
 昔のハバナを知らないので、2008年産でも古き佳きものを味わった心地がしてしまう。台風の日。
|TEB DIC 08|6 2/5 x 54|cigarOne|$218/10|重量:+2(18.22g)|算出:+3|香味:+3|

 エキゾチックな匂いがします。熟成の賜物でしょうか、独特のココナッツが変じてか、オーパスⅩのような完熟シナモンが匂い立っています。
 終ってみれば、安定して何も突兀とせずに終ります。ずっと山場だったのかもしれません。
 あと一本、来年の夏か、再来年の夏か、次に買うならば真っ先に520をと思います。夏のこれの代わりになるでしょうか。私にとってこれは夏の小粋な風物の一つでした。
 円安の所為でなく、此処一年は葡萄酒ばかり購入していた為に新しい葉巻を持たず、着々と在庫を減らすのみでした。
 一番美味しい物にしか興味がなければ、2009年のボルドー産を細々と買い集めずにはおれません。ロマネコンティを買えればいつだって済む話です。葡萄酒だって葉巻のようにパルタガスルシタニアスで済むのかもしれませんが、やっぱりロマネコンティは美味しそうです。買い集めてみると、どうもボルドー産よりもブルゴーニュ産の方が好きなようです。
|SUB AGO 11|6.1 x 52|coh-hk|($99/6=$16.5)|重量:0(12.01g)|算出:+5|香味:+4|

 ああ懐かしい、そうだこれがモンテクリストだ、四種五種それぞれに懐かしいが、モンテクリストの懐かしさばかりはモンテクリストの懐かしさだとわかる。藁や土に紛れても初めから緑青が栄えている。
 これもグランレゼルバ級に美味しい気が。グランレゼルバはもっと薄口で丁寧なイメージではある。セレクションは銘柄それぞれの銘銘とした味がし、野放図な野性味を失わず、おとなしすぎない強さと濃さがあり、それを若干ビオフェルミンが押え、只管レギュラー品の当りを引いたような美味しさ。
 少し藁の乾きがするが、青緑が清流となって潤している。下手を打つと青緑は大嫌いな胡瓜と瓜二つになってしまう香でも、カスタードの甘さが黄色を帯びて色を変えている。川底のカスタードが迫り上がると清流は空に混じり、花が散る。黄色の正体は半分花。要するに乾いた藁を青緑が潤し青緑に黄色が混じってモンテクリストの三角マークとなっている。で、全体キャラメルにも通じるハバナ葉の味わいも濃い、いつものモンテクリスト、基本に忠実完璧なモンテクリスト。
 どの葉巻でも花といって金木犀が咲くけれど、やはりモンテの金木犀は全然違う。本当に屋外から金木犀がそよそよと雪崩れ込むような不思議な錯覚を催す。室内を屋外に変じさせる室内の為の葉巻か。おそらく金木犀だけでなく同時に屋外の色々な香も混じって薫っているのだろうと思う。完全に日本の秋の話だが。日本の空、日本の木、日本の土の香がするのだと思う。それでいて確かなキューバンぽさと胡瓜の危うい色気。日本とキューバとの間の海に何か孤島でもあるのではないか。明日は東京でも雪が降るかもしれないという夜の頃。
 金木犀の特異さ、腑に染みとりとめなく涙と流れ出て自分の物ではなくなる感覚は評判の悪いオープンシリーズでも同じと覚えるが、この香味がオープンはもとよりNo.2よりもずっと濃い。ただ少し藁が目立つ欠点があるものの、あとは有るべき要素が有り濃くあるべき要素がひたすら濃い。しかも吸い疲れず、無限に誘う。突如、空からカスタードがマシュマロの形をして降ってくる。マシュマロの触感を煙で与えるという至難の業を体現している、しかもモンテクリストならではで、空から降ってくる。すると薄荷のような風が吹き、マシュマロの軽さの上にもまた甘ったるくさせないのであった。マシュマロを含んだ口が空を飛んでいるよう。まったく夢物語でもなく、眉間に皺を寄せながら、だから確かに飛んでいる。マシュマロは金木犀味である。寒くて黒い空飛ぶ夜に、落葉味の湯葉も薫る。適当に書いているが、屹度精確に書けば書くほど屋内と屋外が共存してしまうだろう。
 12.01gのお陰か、リカットせずに終える。14gを超えた前三本は吸い込み難も無いけれどリカットせねばならなかった。しかしこれも残6センチでリカット。
 この箱で残7センチ以下まで美味しいのは未着火のロメオを除きモンテクリストのみ。それでも残5センチで酒の味がまったくわからなくなるほど荒くはなる。
 愛嬌か、コイーバを除く三本は片燃えした。巻きは美しいが、内部に偏りが有るのだろうか。それでも、葉巻の内臓を熟知した外科医がなんとしよう。

 これも限りなく+5に近い。
|GUT JUN 12|6.1 x 52|coh-hk|$102/10|重量:(--g)|算出:−2|香味:0|

 夏の高温熟成を経てこの箱の六本目。一言でいえば不味い。紙巻煙草同等の品質というか、まるで長い紙巻のように吹かしていた。そのままいつの間にか終ってしまった。おそらく高温熟成が悪いのではなく、ただのハズレである。しかし葉巻をこれほど紙巻っぽく自然に吸ったのは初めてである。慣性の葉巻。もしかしたら本当はほんの少し美味しいのかもしれない。しかしそれよりは慣性の方がほんの少し美味しいようではある。老人が平然と恰も一万本目に見える葉巻を吸っていたらそれは美味しそうに見えるだろう。
|TEB DIC 08|6 2/5 x 54|cigarOne|$218/10|重量:+1(17.99g)|算出:+3|香味:+3|

 味の構成は良いけれど、ケムリ少なく、不発に終る。巻き硬く、悪しき揮発性の木がちょろちょろ顔をのぞかせる。その顔は蛇の舌のような火で、吸う人の舌焼を誘う。
 褐色にしてはハバナの葉の味が濃く、ココナッツに合いそうなその褐色の味わいを呈しもし、何故か懐かしいほどモンテクリストの味がする。最近故知れず懐かしい葉巻ばかりだが、この純粋な懐かしさは酷く、二年ぶりに海を見た。着火前の様子からして懐かしかった事を覚えている。二分前の事を覚えている。着火後二分ぐらいで確かにココナッツの懐かしさもが葉巻本体から遊離して口中に馥郁とし始める。海に至るまでの防風林は短い。潮風があるというより、浜辺の賑わいがあり、しかも人けがないのである。ただ結果は冒頭のとおり、美味しそうで美味しくないような状態に終始する。潮風があるというよりも、浜辺の賑わいがあり、しかも人けがない、といったものが美味しいかは兎も角、寂しさを紛らわせるか、これを吸い終えて子供を明日本物の海に連れてってやろうといった気にもなりそうである。「明日海いこうか」「どうしたの急にパパ」「いや、なんだがね」「明日海いくって」「わーい、わーい」……私は孤独の方である。というより後者こそが孤独に因る短絡的な妄想である。家族が大量に居たって、孤独は孤独だろう。舌は交換できないのだから。(私は、耳なら、交換する方法を知っている。)
 波は盛り上がらず、安定したまま夕凪の海。余計な味が一度もしなかったが、海の疲れは最後にしっかり雑味となって加わる。

 後二本しかないけれど、どうしよう。吸い頃っぽいし、しかしこれはきっと夏に合うので、もう夏は終りなので来年の夏を俟とうか。リミターダとはいえ侮れず、遅ればせながら520は買おうと思う。
|MPE FEB 10|235㎜ x 47|coh-hk|$92.65/5|重量:(+2)|算出:−1|香味:+1|

 夏至付近、昼、雨。
 葉巻をはじめる前から葉巻に抱いていた印象を蒸し返す蒸した匂いがする。雨だからだろうか。ビニールに包まれたまま三年が経過したからだろうか。だが今やこの大きさは小さい、はじめる前はそれこそこれは偉大だった。
 いつもの(といってもまだ6本目)Aより吸い込みがすんなりして、初っ端からなかなか濃い味わい。知る限り全盛期のモンテクリストの味わいである。なんだか懐古的で、葉巻独特の香ばしさが濃い。
 5ミリも進むと香ばしさは後退し葉巻全般と同様の変化が来てしまう。濃い香ばしさは白木にしらけて、草などが生え薄荷のように爽やかに甘くなり、でもかろうじて革の威厳は残している。革のニュアンスを残して、葉(及び革)そのものが主役ではなくなった。胡椒のような革。中低域が弱く、揮発性の木のような、うわずったハスキーボイスのような薄味の雑味。中低域が弱ければたいてい高域の伸びも駄目である。
 しばらくつまらないが、ふと甘く黄色い花が飛んでくる。一輪だけ。
 Aというのは世界の批評を集めても「美味しい‘と思いたい’」というのが大半で、実際には美味しくないのである。ハズレ難いという事もなさそうで、巻くのが難しい物でもあるからハズレやすさは通常品の倍ぐらいではないかと思う。
 突如煙の量が増し、煙濃く、金木犀が満開になる。たったの一口で一息に満開になる。世界の批評を集めるだの言っていたが、これでやっと序盤が終り、一段落着いたのである。兎に角Aは変化が遅い。Aの特徴はそれに尽きる。されど金木犀は二口ですべて枯れ落ちる。
 かと思えばまたしばらくして同じように咲く。どうもこのような不安定さは吸い込みの悪さに起因しているらしい。ドローは悪くないのにドローが悪いという、A特有の現象のような。つまり巻きが悪いのではなく吸い方が悪いのである。吸う人に対して厳しい葉巻なのである、たぶん。だが誰が誰を下手といえるだろう。上手く吸っているつもりの者が味音痴かもしれないではないか。どんなに巧い人でもこのAを前にしてはあまり上手く吸えないかもしれないではないか。そもそも葉巻自体の欠陥かもしれないではないか。なるべく間隔を広く取って、吸う時は強く吸う、それぐらいの事しかできない。すると自分勝手なペースは崩されて、人が葉巻に合わせなければならなくなる。ここまで気難しい葉巻に集中するなら別にやる事があるに違いない。葉巻の方から勝手に惹付けて来るという物ではない。本当に惹付ける葉巻なら、此方が勝手に合わせてしまう。合わせたくなくても合わせてしまう。
 数百口吸ったが、美味しいのは三口ぐらいだった。加えて序盤三口、計六口が美味しい。吸う前の香が一番美味しそうだった。
|GUT JUN 12|6.1 x 52|coh-hk|$102/10|重量:+1(15.34g)|算出:+2|香味:+2|

 この箱の4本目にしてやっとモンテクリストらしくなってきた。この一本がたまたまモンテクリストにしてモンテクリストらしいというだけかもしれないし、私が少しはよく知っているNo.1に近づいてきたというだけかもしれないけれど。
 薄く叩いた白粉のような香の粉砂糖の甘さにいつもの濃厚な葉っぱ感と、いつもの青緑色の空というか、時を告げる鐘に埃のように沈着しはじめた緑青である。それからココナッツ寄りのカスタードの予感。パンを焼く窯が鐘なのである。それで未だ全然パンは焼けていない。窯の扉が開くように梵鐘を開く事はできない、堅牢な綴じ蓋である。いつの間にか鐘の中のクリームパンを期待していた。一体何処からパンが来たのか、兎に角葉っぱでパンを燃している。葉っぱを燃しながらも葉っぱを燃していないからパンを燃す事になるのだろう。
 濃くて強そうな感じはするが、淡さと軽さもある。味は濃くニコチンは弱いような。序盤3センチでニコチン1.0ミリグラムの紙巻煙草程度の喉越しで、最終的には20.0ミリグラムぐらいの感覚にはなると思う。
 中盤以降、残念ながらこの葉巻がハズレだったといわしめる方向に向かう。
|TUR JUN 08|6 2/5 x 42|cigarOne|$215/25|重量:0(11.45g)|算出:+6|香味:+4|

 しばしばモンテを「青緑」と書いているが、これはふと「胡瓜」ではないかと思った。私は胡瓜が大嫌いである。だがこの胡瓜は悪くない。ただただ不思議な色の青空のような浮遊感があるのである。むろん別の惑星の青空という事になる。煙の温度も何故かひんやりと感じられる。
 この葉巻には革や土や木がないという宇宙的な場合が多々ある。勿論どれでもあるのだが、あまり葉っぱっぽくなく、勿論葉っぱだから葉っぱなのだが、全然関係ない芳香が常に空に溶け込んでいて宇宙的なのである。
 あまり青緑の味がしないNo.2とは大違い。No.5の濃さも感じ難いが、No.1が文字通りNo.1という気がする。No.3は試した事がなく、No.4は1と5の中間でしかない。1と5の中間は3なのかもしれないが。それにしても2には繊細な香気が欠けているように思えてならない。また1にはどことなく4よりも取っ付き難いところがあり、それは胡瓜かもしれない。
 今回の一本はたえなる甘さも乗っていた、青緑の空に浮かぶ雲が綿菓子と化したのではない、それこそ革や木や土が甘いかのようだった。こうした青緑と茶色の対照がいつも悦だったのかもしれない。
 残2センチになるとまことにえも言われぬ、それでいて何か言いたいような強い芳香を放つ。草のような、花のような草、茎ではなく草の先っぽから花が咲いている。そして魅力的な土壌の雰囲気。まめまめしき空。

 残二本。今5年弱だから、ちょうど6年目で無くなってしまう予想。日が経つにつれ美味しくなっていくようだった。しかもハズレがなくなって安定してくるような。同じボックスコードの物を千本も買って週に一本、二十年もすれば確実な事がわかるはずだが、そんな事をせずとも大体の経験で大体正しいのだとは思う。

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