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  源氏物語「葉」
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|gestocigars|(467CHF+ship36CHF+tax¥13600)/20≒¥3500|2019/3/18・arr 3/25|
|UER NOV 18|165mm x 55|17.48g(-0.31g)|香:2.1~4.3 ave3.6|残19|

 今回から上記項目が変っています。『方式』の項()をご参照ください。

 到着日に着火。

 前々回の話の続きですが、トリプルリングのみを計量したところ、0.31gありました。どうでもよいかな、どうでもよくはないかな。どちらにしてもどうでも良いような気が致します。

 パンチカッターは三日坊主であまり使っていなかったのですが、こういうスカスカらしき重量の物に出くわせば透かさずパンチです。実際、パンチでもスカスカでした。スカスカなものはどう切ってもスカスカで(獄細のパンチがありますが)、きついものはどう切ってもきついです。
 ついでに発表してしまいましょう。ドロー難に関して前々から思っていたのは、『細い筒型の注射針で余分な葉を引き抜く装置』を開発して欲しいなぁということです。日本の下町の職人芸に任せるしかないとしたら、日本の葉巻市場の規模を考えると、いつまでも完成しそうにありません。日本葉巻愛好家連盟で開発案・開発費を負担するしかなさそうです。多少良い特許になるでしょうか。
 一方でハバノスはすべての葉巻の中心部に変な角材を仕込み始めます。これはハバナ葉で出来た角材なので、ドロー難が無い場合は引き抜く必要なし、きつい場合にのみ引き抜いて下さいというものです。

 さて、味は、一口目はおいしげです。それからしばらくは荒んだ空っ風に耐えました。耐えたご褒美はバターキャラメルです。はっきりとモンテクリストの味がするバターキャラメル。モンテクリストの味というものは「緑青や金木犀」を多く含有し、バターキャラメルを引き立てています。バターキャラメル自体、モンテクリストらしい。いや、含有物がバターキャラメルを甘くしているというか、含有物こそがバターキャラメルではない何か素朴な物をバターキャラメルに変えているのです。それでなおバターキャラメルに回収されない緑青と金木犀を残存させて遠景を塗り込んでいる。バターキャラメルの輪郭に重ね塗りが起こって、目を凝らさなければ重ね塗りと気付かせない濃密な雰囲気です。
 かと思えば白い薄荷とでも言いたくなる爽やかな、甘くない風味がくる。ここもモンテクリストらしいです。
 草が絡まって金木犀が消えて蜂蜜に変る、かと思えばより官能を増して金木犀が蘇ってきます。豪華ですから、土などは潜まっていますが、たしかに下の方に土壌のコクがあり、非常に柔らかく肌理細かい。
 さすがに時差ぼけで暴れる部分もあるのですが、到着日の睡眠不足でも魅力を隠しきれないと言いますか、肥えた女王の風格です。葉巻の火種をもってマリーを火刑に処している気がしてくる、ということはないのですが、これは大人のお菓子です。
 途中、片燃えして鎮火すれすれになってしまいました。追火によりまた美味しくお菓子をこんがり焼けるようになりました。大人なお味でありながら、お菓子を焼く少女のような気分です。今日のお菓子は成功です。ごほごほ。しっぱいしたかもしれません。ごほごほ。今日は焼けば焼くほど失敗したかもしれません。なんで最後の最後に焼けば焼くほど失敗するのかしら。ふつう上達するものでしょう? これが一度成功したお菓子職人の奢りかしら。かくしてお菓子職人のわたしはいっとき高ぶったのでありました。
 今日はキャラメルバターを中心に考えてみましたが、最期はまるで落武者の猛者の土左衛門が生きて岸辺を上がって干上がったかのような、ほとんど珍しいほどの荒さが痛快なほど出ました。これはこれで快感なのです。
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|—|153mm x 53|montefortuna|€25/1|重量:+1(16.79g)|算出:+2|香味:+3|計6点|

     

森をほとんど焼き終わったところに覚めるのかと思っていた。一面焼け果てた森に、荒く燠が星のように遍満したところに初めから転がって。ところがコクのある焼き炭を口中に放り込まれて覚めた。懐かしい味わい、幸福な炭の味わい。懐かしさの出所はすぐにわかった。白い光が横切り思い出を二つ裂きにする。これも懐かしい白い光は、往復し、八つ裂きにし、反復の膂力で川を遡行して爽やかな上流へ行く。病的に付かず離れず、後をつけることになって、距離が保ち難くなり、ふわりと上り詰めて花の咲く高原が広がる。開花を幻とする、味気ない絶壁の少し奥、滝壺の真上を浮いてたわめるものもなく落下しつつあった。全く残念なことだ。こんなふうに落下しても、魚だったら死なないのだろうか。滝は階段一段分ぐらいの死なない滝で、旅は矮小化されつつある。空中にて空中の部外者である矮小なパイナップルが口に入ると、以上の行程を繰り返すような気がしていた。気づいた時には繰り返していない。身が軽く浮いていて、燠の焦げた匂いが荒く充満する、最初以前の場面に戻りたい気がしていた。代わりに軽く焦げた茶色の面持ちと追い越さんばかりの緩慢さで高原らしき楽園が下降してくるのであった。いまいち振るわない天国、流石の下降、ふやけた天国を足場に蹴って少し上昇する気がしてきた。耳には夜中にしか弾けないような変なピアノの曲が響いていた。
|—|165mm x 55|montefortuna|€30/1|重量:+2(18.31g)|算出:+4|香味:+4|計10点|

 先日49,53の試食を終え、今日の55でひとまず締めくくり。今日の結果でどれを一箱買うか決めたい。

 55(レイエンダ)のみ端からモンテ香がくゆり来る。すぐに甘さが乗りすぐに強さが出てくるも荒さもまったりして強すぎず、白餡を包んだようなふくよかな茶色い葉の香り。リネア1935なる特別製ゆえの特別味という表情より、普通に美味しい葉巻によくある普通に美味しい味わいで、かえってこのような葉巻を思い出せない。
 エスペシャルやNo.シリーズなどの重厚タイプのモンテを軽やかにした感覚だからか、それら重厚なモンテには符合しないし、ダブルエドムンドを究極まで重く凝縮したものにしては唯物論的に太い。
 花五月蝿いか、金木犀が出始めるとキャラメルキャラクターも強まる。嬉しい叫びで、経験上、花が出ると豆類は減退してしまうはずなのだが、このキャラメルは奇跡的に負けない。
 面白さは49,53に劣るものの美味しさは55が圧倒している。極めて濃密なのにふわりとして、激しいのに優しい。変化率は目がチカチカするぐらいながら流麗で、全ての変化において美味しいものばかりを忍ばせ注ぎ込んでくる。ひととき鉄の味などが出ても濃厚な旨味の一面に過ぎず春菊には至らない。キャラメルコーティングされた鉄、鉄キャラメル。茶色い風味が占めているが、緑色が美味しく差さないわけでもない。
 これだけ美味しいと飲み物を選ばず、あっという間に黒ビールで通し終えた。

 コイーバ全般とBHK56の関係、モンテ全般とリネア55の関係、この二つは似ている。BHKなら中間の54を選ぶのだが、中間のリネア53は一本不発に終って、不発を引きずるつもりなのか、49と55のどちらを箱で買うか悩ましいところ。特殊な荒さと熟成の妙を試すなら49、ひたすら美味しいモンテクリストが欲しいなら55。いずれもすごそうな葉巻だから、大きい方が嬉しいとか、安い方が良いとか、あまり考えず、香味のみで勝負させたい。どちらがより多くの一瞬を喰らわしてくれるのか。(両方買えばいいだろ)

備考
 あんまり美味しいので、つい吸い込みすぎて、一度目の灰を落とすと火種が真っ赤なマッターホルンになっていた。凹は不味くても凸突は不味くならない。
 「灰を落とさない方が良い」という葉巻をたしなまない人でも知る話があるけれど、その一番の効能は『火種を大きく保つ事』にある気がする。空気に晒された裸の火種はすぐに燃え尽きて灰化してしまう為、灰で蓋をして、灰化速度を抑える。結果として美味しい火種の大きさを長く持続させてクールスモーキングに至るのではないかと。
 灰を落とした直後に美味しく感じることもよくあるし、十分に検証したわけでもありませんが。
|—|153mm x 53|montefortuna|€25/1|重量:+1(16.73g)|算出:+2|香味:+3|計6点|

 傾向はデュマスと同じ。こちらは若干ドロー難あり、燃焼不良なのかいまいち味がはっきりしない。
 終盤は滑らかに練り上げた土料理に、もやし。強烈な焚火、火事を恐れぬ農家の焚火。現に葉を燃しているのだから当然ではあるけれど、こうも煙を顔に浴びる機会はあまりなく、他の葉巻よりも農家の焚火に香りも似ている。あの農家なのだが、何を栽培する農家なのだろう。人参だったような。
 葉巻が大きいため、終盤のつもりがまだ中盤で、または終盤が二倍ある。味の変化からすると、終盤だけが二倍に伸びると言った方が的を射ていると思う。序盤、中盤、終盤、最終盤、この4段階で、三等分はできない。土の風味は長持ちしなく、ところどころ気の抜けたままだらだら終る。

 おつまみにアーモンドミルクチョコ(粒入りではない物)を用意したら一気に風味が引き立った。チョコが溶け去ると元の荒くれに戻り、またチョコをつまむと風味が引き立つので、ミルクめいたチョコが必携品と思われる。不思議なことにチョコの後味がある限りは成りを潜めていた金木犀まで咲き戻っている。チョコのコーティングによって荒さに防御態勢を取る必要がなくなるから煙をふんだんに味わえるのかな。飲み物も刺激物はよしてカフェオレやココアが良いっぽい。
|—|130mm x 49|montefortuna|€20/1|重量:0(11.39g)|算出:+5|香味:+4|計9点|

 〈モンテフォルチュナ〉という怪しげな店で買う。ツイッターでフォローされて知るのだが、葉巻について呟いた覚えがない。店舗サイトの日本語は機械の訳文そのままで、これも怪しい。この店に関する日本語の情報も出回っていない。ただ、英語の情報も少ないながら内容は悪くなさそうだし、商品は適正であろう価格だし、垂涎こそ危険ながらなによりモンテクリストのリネアを置いているし、心配ない店だと判断した。
 後日、好みの梱包で無事送られて来る。
 リネア三種一本ずつ計三本で75€(約1万円)、2セット買う。20€+25€+30€で計算。

 2日午前2時頃着火
 序盤荒くも即刻煎りたてナッツを渋皮ごとながら頬張り、乾藁などのつまらない風味を圧し潰す。抜群の焼きの香ばしさに、芋栗の類の食感も即刻ふんだんに膨らみ、少し花が添う。花はふつう出れば出たで主張が強すぎて煩くもなりそうなところ、花でない何かに感じられていて、香味全体として「ツチノコの大判焼」とでもいうなんとでもいう‘単一のもの’の紐帯となっていた。全てを『弁当』ならぬ一塊に結ぶ紐が花だったのである。花を花と気づいたのは咲いて5分も経てからで。花が木犀に接近して次第に蜂蜜そのもののように甘く濃くなっても紐のまま、はちきれそうになりながら、ひたすら濃密さを膨らますばかり、花に負けじとする香味強く、ものは「膨らむほどに重くなる綿菓子の幻」を安定させている。幻が安定するとはどういう了見だろう。元旦からツチノコを捕まえた正夢を見ている。
 ふむふむと安寧に納得しているところへ草が広がりくると、さっと土も隠見し、さらに加わる極上焙煎の焦風味があからさまに土を晒す。肥沃なコクで、ものは黒土で育つ。終盤の雑味に至りそうな要素がいつまでも雑にならないまま練りこまれている。
 根元の根元まで美味しく啜ったのに香味点+4に落ちつけた。現時点での荒さが引っかかるのかもしれない。そわそわして美味しさに置いてけぼりにされたような気もしつつ、どちらがそわそわしているのか、葉巻の方にも落ち着きのない荒さを感じた。荒くてもずっと美味しいものではあって、本気モードのハバナ感は充溢しているし、濃厚さが貫徹して息をつく暇もない。従来のモンテ風味の有無について、それが濃過ぎて逆に分からなくなりそうで、ある部分では濃くなって、ある部分では消えている。消えているのは青緑色の芳香だった。
 非常に豊かで強くて荒くて滑らかな濃い煙だから、寂しさの要素がまるで無いが、秋の焚火を大いに感じさせるところは強烈に寒くて寂しい。寒さは真冬深夜に窓を開けっぴろげて煙を排出しているからかもしれない。下半身を電気毛布に包めば寒さはほぼ感じないのだが、ワインセラーの温度がどうしても下がってしまう。

ーー
正月なので酒類はなかなかなかなか豪華で、これによりこちら側のそわそわ感も増す。

『五橋 極味伝心』(清酒・純米大吟醸)
葉巻にやられて死亡。酒質が繊細すぎ、葉巻を高めているとも思えない。苦味が少し強く残る水。パイナップル香も弱めなのでトリニダッドにも合わないと思う。おせちに合わせて止めるべき。

『マルク・コラン サントーバン1級』(ワイン白)
葉巻にやられて死亡。こちらも繊細すぎる。葉巻を消した途端美味しさが蘇り、着火前より美味しくなる。ワインが開いたわけではなく、紫煙の分厚い雲が一気に晴れた時の輝きが眩しい。葉巻のほうも高まらないが、喉を潤す液体の効果はある。晴れた途端、嫋嫋たる酸味とまろやかさが液体に静かに漲る。たいそうなワインではないものの、五橋の最高峰と似た価格で、それと並べていたからか、高貴な米でも入っているのではないかと疑わせる透明感を湛える。抜栓直後はどことなく甘ったるくていやなワインだったが、今はそれを感じない。

『シャトー・ディケム 2009』(貴腐ワイン)
葉巻にやられて半死。黄金は綿になっても飛ばないはず。その黄金が飛んでしまう軽さと重たさ、その低い浮遊の趣が死んでしまったが、甘さは生きて葉巻のほうは一方的に高まったかもしれない。
(貴腐ワインにありがちな杏が濃過ぎず、あんずの後に、焦がした糖蜜が素早くよぎる。素早さを酒の若さと思う。重厚な灯油も極力軽快で、ほんの一滴のマスカットとほんの一滴の桃のまろやかさを静音で奏で、マスカットをも拒絶する葡萄感が奇跡的に滞留して、葡萄というしかない比喩を絶する高ぶりがある。余韻はなるほど永遠で、実際にエキスを口腔の隅々に残しながら、浮遊感が忘れがたく歯磨き後にも浮く。)
一生に一度は味わってみたいと思い、一生に一度のものとして納得できない味ではなかったが、一生に二度となれば、もう要らないとは思う。なのに1988と2001を保管中の身は、古いものを味わうよりもまず、若いディケムを知りたかったのであります。

リネアに合わせる飲物は難しい気がした。赤ワインが欲しいような気もしたし、コーヒーに合う葉巻だとも思う。
|EOT DIC 16|6.1 x 50|cigarOne|$122/10|重量:+1(15.73g)|算出:5|香味:+4|計10点|

 モンテクリスト・ダブルエドムンドは多分良く出来ている。ツチノコ君が時々顔を出すところなど、葉巻の文字通りの土台の部分がかほど渋くまったり肥沃であることは稀の稀で、この土の味は日本の野菜畑などから漂うものと違って、ハバナの土壌を味わっていると思い込ませるに足る。苗をドミニカに持って行っても、気候が全く同じだとしても、ハバナと同じ味は出ないのではないかと思わせるに足る。そうして土のコクがツチノコ君のように出てくる。
 モンテクリストの煙にはハバナ随一の白さがあるのに、もっとも土をも感じる。
ここまで言って、実は発酵過程等の製法のみの違いが正体なのかもしれない。明日工場長に聞いてみよう。
 真実はともかく、(嫌いな言葉だ)、この箱は全て同じように吸い込みが悪い。もし吸い込みが通ってこれが不味くなるのであったら、とんでもなく秀逸なトルセドールが居ることになる。


|EOT DIC 16|6.1 x 50|cigarOne|$122/10|重量:+1(16.74g)|算出:−1|香味:+1|計1点|

 この頃、先日出たチェリビダッケ指揮『クープランの墓』をよく聴いていて、久しぶりに音楽で狂おしくなっている。名演という言葉の雲を下方に突き抜けたような、もう秋の領域で、特に今年は秋がしみる。どうしてか今年は無性に悲しい。今日は昼、部屋の底に森々と入る涼気を床に寝そべって全身で感じる、要するに風の態で聴いて悲しさを膨らませていた。ベランダの格子越しには花水木の赤い実があり、音楽にもそれと似た粒粒がある。可愛い実りもあるから余計に悲しい。世代交代の年齢なのか、死の距離を非常に意識した。ちなみにこの段落は非常に心地好かった今日の思い出として書いています。
 連夜そのクープランの墓が夢に出てくる。こうした感覚は七年ぶりぐらいの久しぶりで、ジャン・コレのシャブリの異様なシルキーさが夢に出て以来のこと。あれは特別美味しいワインではなかったのに、シルク感だけが妙に静かで印象深くて、液化シルクが記憶に嵌ろうとして脳の皺の上をいつまでも滑っていた。

 何が悲しいのか、風に誘われて二日連続で同じものに着火した。秋風に相応しい物としてモンテクリストのみ浮かぶ。悪しき箱にして、なんと今日は吸い込みが爽やかに通る。

 吸い込みが通れば味が悪く、片燃えも始終酷い。全てが良い状態の物は何故か無い。

 火の回し方が巧くなったのか、近年片燃えをとんと見なかったのに、何回着火し直しても延々と竹槍のように尖っていた。だからこの箱の葉巻を巻いた人に竹槍を刺す妄想をしそうになったかもしれない。寝そべったまま音楽の終演とともに昼寝してしまえばよかった。
 片燃えと味の悪さの相関は不明ながら、昨夜の一本とだいぶ変って、激しく、粗く、そればかりで味と香りは延々薄い。結局ドローもだんだん詰まってくる塩梅である。今度からこの工場の箱は取り寄せないように計らおうと思う。

 あと、今日は昼でしたので、モンテクリストは夜の葉巻なのではないかとまた思いました。昨夜の方がずっと魅力ある。

 残1
|EOT DIC 16|6.1 x 50|cigarOne|$122/10|重量:+1(17.24g)|算出:5|香味:+4|計10点|

 間もなく吹き飛ばされそうですが、今年の金木犀が咲きました。ということで葉巻の中で最も金木犀に近いと思うモンテクリストから、エスペシアレスNo.2があれば一番良いのですが、ダブルエドムンドしかないのでこれになりました。Aも秘蔵していますが、飄々と着火できるものはこれのみです。
 葉巻の中で、葉巻の中の花の中で、葉巻の中の花の中の金木犀の中でも最も金木犀に近いので、モンテクリストばかり年中燻らせていたら、今日は「今年のモンテクリストが咲きましたね」と言い間違えたかもしれない。
 久しぶりのモンテクリストの香は冷感を伴って脳髄に沁みますから、金木犀と全く同じ悲しみに似た効能があります。
 「秋の夜長」という言葉を思い出すと、ルシタニアスも恋しくなります。おかしな言葉です。

 ところが、この箱は実に吸い込みが悪く、せっかくの香味を台無しにしている。同じ箱に同じ巻き手の葉巻を入れるのをやめてほしい。
 それでも一口ごとに来る味わいは購入時よりはるかに高ぶり、もう多少の吸い込み難を許すほど高まってしまった。『吸い込みに合わせて呼吸法を変える技』を身につけろ、と思って自らいちゃもんを諌めてしまう。既に身につけたのか葉巻が美味しいだけなのかは判別不能。
 色々な葉巻に手を出してみると、結局モンテクリストにはコイーバと並んで突兀とした独特さがある。ハバナ土壌特有の味わいが濃いのに、乾いた味がすることなく底知れずしっとり湿り、何処かへ浮遊してしまうような品を持ち合せている。
 キャラメルに一番近いのもモンテクリストで、青空であれ夜空であれ空に最も近いのもモンテクリスト、白い粉を最も多く含んでいるのもモンテクリスト、ふと蕎麦を抓みながら山葵を突つく映像が浮かぶ。重厚にして軽快で爽やかささえある。紙のような新聞紙のような風味は、滅多に目覚めた事のない朝の、ゆったりした記憶まで呼び戻す。
 微妙さではコイーバにも勝っていると思う。
 この煙と窓に染み入る秋風との区別がつかなくなったら、もう何も言うことはなく、松尾芭蕉の口にこの葉巻を突っ込みたいというおおらかな気持ちになる。
 古池の句をずっと「古池」というふうにきちんと憶えていながら、句を知って以降つい最近までその映像はすっかり「古井戸」だったのである。おそらく池よりも井戸の方が蛙の飛び込む音がよく響くからで、井戸の中には池があり、池の周りに金木犀。井戸はもちろん葉巻なのである。
 口径により味がぼやけるかと思っていたし、実際に新聞紙味ということもあるし、オープンとエスペシアレスの間の子のエドムンドかと感じる部分もあるが、これはラギート並に力強くモンテ蛙が跳ねている。軽やかにぽちゃん。そして管見で空を見上げる。円くて青い。
 中盤から、金木犀も実物の木に寸分違わぬ出来となり、期待通りすぎて驚きがないほど。どうして、此方の方がちゃんと木の匂いもする。
 終盤おとろえはやく、残9センチで無味と化していがいがする。

 終盤はともかく、吸い込みが通って、さらにもう一年も経てばというところ、そういうものは狙ってもなかなか無いと思う。何故か無い。寝かせることしかできないし、そうではなくて、何故か無い。

 金木犀をキャラメリゼしたくありません?
|EOT DIC 16|6.1 x 50|cigarOne|$122/10|重量:+1(17.61g)|算出:+3|香味:+3|計7点|

 一口目から懐かしくモンテクリストの味がする。モンテの一口目の特徴でしかなくて中盤のモンテの美味しさの欠片もないのだし、その一瞬、悲しくなる荊の香り方をするのだが。菊だろうか。
 二口目以降は、あっという間に荊が抜けていき、美味しい類の懐かしさが一口毎に次々に加わる。
 革と土を精妙に配合したキャラメルのキャラクター、青緑色をした芳香(なんの香りか喩えようがないのでいつも青緑と言っている……共感覚なのか)、5ミリも進むと完全なモンテクリスト体として合格している。但しかなりの吸い込み難。
 これはあまり記憶していないのだが、これもときどきモンテ特有のものであったような、なんだっけ、和音の一つとして、やや高音部でキンキンスースーと響くような。薬箱のような? 小学生の口臭のような。やや白いが、クリーミーで軽い不思議なロメオとは違った、痩せて重厚な白さがある、痩せて重厚というのも不思議だが、全体の重厚な層に薄い層を挟む感じかもしれない。
 これはいつもと全く違う、ダビドフのような、松茸のような、洗練された黴臭い香味も出ている。
 美味しげだが吸い込み難のせいでいじらしい。これでも不味くないのだからちゃんと吸い込めればとても凄いのかもしれない。美味しいだけに、中盤以降はいじらしさに対しての苛立ちが募ってくる。
 女性の風呂から漂うシャンプーのような香り(女性に扮した男性かもしれない)。
 カスタードが乗ってくると青緑色のクリームブリュレに早替り。料理に青は禁物だが、煙ではワケが違う。吸い込み難のために強く吸い込むと黴が強まる、この黴がなかなか一興である。
 太い葉脈が見当たらないので吸い込み改善不能。

 大変有望な葉巻だから、巻いた奴が早替りすればいいのではないかと思う。モンテモンテしてくれながらブラッシュアップしてくれた加減の妙を感じる。ロイヤルサロモネスを試して以降、そればかりが頭から離れなかったが、ロメオ、モンテときて、やっぱりハバナも美味しい。たまたまかもしれないけれど、パルタガスとベガスロバイナではなかなかロイヤルの圧勝を覆せなかった。
|GUT JUN 12|6.1 x 52|coh-hk|$102/10|重量:+1(15.02g)|算出:+2|香味:+2|計5点|

 空吸いしていると湿布のような風味が微かにある。薬箱。
 着火しても薬箱の印象からしばし外れないが、次第に熱気を帯びてくる。
 最初甘いかと思ったが、甘味は伸びない。いろいろなものが伸びないが、美味しくなくはない。一瞬、旨味が抜けてペッパー風になると、ペッパーの香気まで抜けているものの、キャラメルなどがやや感じられるようになる。
 だがどうもこのモンテクリストは薬箱に閉じ籠りがちになる。薬箱は良い熟成を思わせないでもない趣向なのだが、枯れた感覚に重畳の層を成す場合に限り良いのか、枯れていない場合には単に迫力を欠いたものとなる。
 吸い込みが悪いわけではなかったが、リカットしてみると美味しく噴き出す。結局これなのである。初めから深くカットしていれば。トルペドに用いる人は居ないだろうけれど、パンチカッターなど、こうなると全く用途がわからない。堰を切ったように完全なモンテクリストの味が吹く。胡椒キャラメルに青緑色の金木犀、この変幻の粉に甘味が彩られ、甘味が潰されるほど濃密に彩られ、こうして強靱になってなお薬箱の軽やかさ。凄い。薬箱だから木なのだが、土のように凄い。

 箱終了。三年寝かせ、深くカットすれば先ず平均点以上にあり残念でない葉巻だと思う。強面ながら芯が弱いような印象はある。no.1のスマートな膨張やno.5の凝縮感に比べるとなんとも無骨で弱々しい。強くあって欲しいと思うほどに。
|箱不明|6.9 x 47|cigarOne|$31|重量:0(13.32g)|算出:+2|香味:+3|計5点|

 一本買いした物をごった煮に放り込んでいる箱の中で外観が群を抜いて美しい。ややゴツゴツしたラッパーだが、淡い黄土色をまた淡く赤色に光らせて、まっすぐ端正に伸びている。隣のアップマン・チャーチルが貧相に見えてしまう。
 ドローも完璧。枯れたか、枯れてなお強まる荒野の辛味を含んでいるが、滑かに辷る煙。
 しばし同じ。……後半に入ったと思わせるほどに、穏やかだったものが急にエステル香の花を咲かせる。そこから一瞬にして整って、土キャラメルも来て、花金木犀、青やかに、モンテクリストらしくなる。
 何故か辛味が復するが、一方モンテ香は風のない春めいてほのぼのとしている。キューバの春の花は青いか。辛味が強いのが不思議な。
 香辛料を加え過ぎたか、しかし窒素のように無味無臭純粋な辛味の刺激である。エキゾチックとはさること、モンテ香の辛味がモンテ香の辛味ではないように思うのである。穏やかさ枯れ寂びた風合いのみならず、意識を刺激するこんな層状の組成にも熟成(おそらく八年熟成)を感じる。
 シナモンと錆も感じたか、わからない。
 熟成を見込んで元より超辛の葉を組んでいたのかもしれないし、熟成で辛味が増すのかもしれない。根元に辿り着くには未だに強者の血が必要で、5センチは残してしまった。

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