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  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

|Neptune Cigar|$14.95(+¥900/1)|2023/1/5・arr 1/25|
|—|5’ x 52|14.77g|香:3.3~3.6 ave 3.4|残0|

 最初から甘口の佃煮を思わせるしっとりした風味。華やぐとともに軽やかに、まるで楽しみにしていた佃煮をぶら下げて花咲く小径を小走りに帰る少女のよう。ただ、ドローが悪いのでこの少女はコケて水溜にハマってもがくのである。コケたまま蛇のように這いずって家に帰ろうとしている、執念深い喜びへ、まだ佃煮の楽しみが勝っているのだ。それでも、打ちどころ悪く少女は死んだ。
 ああ、お日様が照ったわ!逃げる雲に連れられてお家まで飛んでいく気分だわ。雲の上にも金木犀って咲いているのね。やわらかい。
 な、なんて低い雲かしら。わたしが重いの? また泥水にハマりそうよ。生き返りそうよ。生き返ったほうが死ぬの? あべこべな世界ね。はやく佃煮をお母様に届けなくっちゃ、死んでなんていられないんだわ。
 泥水が口に入ってたみたい。なんか美味しいの、大きな朽木が浸ってて、美味しい水になってる。ああ!違う!佃煮が転んだ拍子に破けちゃって水に溶けちゃったんだ。これじゃもう家に帰れないじゃない。でも佃煮と泥水の栄養で朽木も蘇りそうよ。やっぱりこれ美味しい佃煮なのよ、みんなを美味しくしちゃうなんて、泥水全部飲んじゃいそうよ。低い雲も金木犀も混ざってた。わたしまだ死んでるのかしら。ちゃんとご飯に乗せて食べたらなんて美味しそうなの! でもillusioneの佃煮もTatuajeの佃煮もいつも硬いから、泥水でふやかしたらイイんだっけ、違うわ、硬いからコケて歯が折れたんだわ。佃煮買って帰るといっつもコケて歯が折れて泥水で溺れるんだった、わたしコリないの。
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|6 x 56|seriouscigars|$8.70|重量:+2(20.51g)|算出:+2|香味:+2|

 銀紙にくるまれて中身が見えないこれをtatuajeとばかり思っていて、開ければ出てきたのはillusioneであった。まるで雪国へ向かうトンネルのようで、開けてみれば包まれていたわりに匂いは薄い。臭みは落ち着いて甘い匂いを醸し出している。mj12にはナチュラルとマデューロがあり、ナチュラルを買った筈なのにマデューロにしか見えない。
 空吸いするとやはり藁っぽさが奥まってではあるがある。それが不思議な甘さに包まれている。
 着火すると一息に焼いた藁に緑色が萌し、これもしかし不思議な甘さに包まれている。ただ煙は鑢のように粗い。最初から極端に強く、強者であれ紙巻の如く吸い込めば咳き込むに違いない。
 追々ただの甘い煙草という感じだが、この甘さにえも言われぬ深みがある。この葉巻の美味成分が全部甘さに溶けてしまって、あとは強烈な煙草感が只管ある。しかも甘口ではないので甘さが奥床しい。
 2センチを過ぎる頃に変化が来る。花かな。花が甘さを持っていってしまわないか。……持っていった。花が途端に増え、ココナッツ入りの杏仁豆腐が煙と空に消えて行方不明になってしまう。身に染み込む奥床しい甘味ではなくなる。以降は、この、良いような悪いような右にも左にも振れやすい差し引きが続く。
 なんだかこれがイリュージョンなのか他の銘柄の物なのか、どうでもよくなってしまう。何処と無くどうでもよいという感覚は一体何処からくるのだろう。おそらく単に「ハバナではない」という感覚なのだが。
|5 3/4 x 40|seriouscigars|$7.90|重量:−1(9.31g)|算出:0|香味:+1|

 前回のイリュージョンから15ヶ月以上経っている。半年ぐらいだと思っていた……1年がごっそり抜けているのは何でだろう。このように日々書き留めているから尚更不思議かもしれない。書けば書くほど記憶を過つという事か。

 一口で説得力のある葉巻だと感じる。しっかりと葉巻独特の風味があるからだと思うが、「葉巻独特の風味」は「ハバナ」に似ているという意味であるはずが、この葉巻の場合別の要素でハバナに似ているというか、葉巻独特感自体にハバナの血を持ちながら完全に別の血が流入しているというか、非ハバナ特有の藁や草の感じが安っぽくない所まで進んでいるのか。
 白バンドは優しいのかと思っていたが、そんなことはない、このエレガントなサイズに於いても存分に強さを発揮してくる。マデューロの染みのような味もするが、完全にドライであり、それがふてぶてしい。前回のドンペピン・ブラックラベルのほうが安逸であった。
 どことなくというか、確実にどことなく疲れるイメージのある味わいである。染みくささもそうだが、どちらが先かわからないが、咽も疲れる。風邪を引いた時の鼻の奥や痰の香に感じられなくもない。
 通常の変化としては終盤に向けて花が徐々に咲いてくる程度である。
 序盤恐ろしくも期待させた。終局で満開ともならず、結局花の気配だにない序盤が一番良かった。
|6.25 x 44|AtlanticCigar|$7.42|算出:−1|香味:0|

 甘いチョコのような苦い芝生、着火前も着火後もそうである。チョコが苦く、芝生が甘い。

 これ以上何も言わせない。段々不味くなったのでハズレたけれど、出だしは悪くなかった。私は胡瓜が嫌いなのだが、何故かそれっぽい匂いがある。

 これで三種類買ったイリュージョンを三種類試したが、一番小さい物が一番良いような気がする。外れてもあまり残念ではないし、イリュージョンには全体的に茶飯事のような取っ付き易さがある。強いのだが、飽きが来ない。

 取り留めのない気分でこんな事を書いていたら、終盤やや復帰した。それで、サー・ウォルツという、クミンかコリアンダーの香りがかなり利いた、薬草酒にしては珍しい無色の酒を開封して併せたら、当然何も言わせない葉巻にも複雑さが増した。この酒は葉巻ではヴェゲロスに近い。

Country Of Origin: Nicaragua
Wrapper Type: Nicaraguan Habano
Color: Colorado Maduro
Binder / Filler: Nicaraguan / Nicaraguan
|5.62 x 46|AtlanticCigar| $7.20|重量:0|算出:+5|香味:+3|

 illusione は68をこれまで三本消費したのみで二本は不味かったのだが、これはまた出だしから固く美味しい。本当は三ヶ月は寝かせたかったけれど、試しに一本買いしたようなものなので小手調べである。
 基本的な質感はほぼ68と同じと言って良いと思う。微妙な差異を言葉にできるほど精通していず、精通してもやっぱりこれはイリュージョンだと思うに違いない。ニカラグアのコイーバという感じの。ハバナっぽさがあるからコイーバなのか、ハバナの中で特徴的なコイーバのようにニカラグアの中でコイーバのように特徴的なのか、半々だと思う。
 ラッパーの印象そのままか、皮が黒くて強い味がする。その黒く強い陰に佳きコクが平然と充満しているのである。つまり陰が表で、裏が明るみなのである。陰と黒さの、黒さは太陽を燦々と浴びた黒んぼの黒さだし、陰は反対に木陰の貴婦人かもしれない。芋ほどのコクがあり、花がそこから充溢している。それでもむろん柔軟ではなく、強くて辛い。
 勿論、香味の差異こそ定かではないものの、68と比べれば性急ではなく、緩慢過ぎもしない。実に気の合うテンポ。
 灰はかなり崩れ易い(灰のように崩れ去りたいと思う歳は疾うに越したが、私はむしろ崩れ易い灰に好感を持つ)。
 辛味は雑味とも捉えられるが、とくに嫌味はない。それはずっと続いて、花と芋がまろやかに混じってきても続いている。焼芋の皮が焼芋の半分近くを占めるような印象である。ハバナ葉の枯淡っぽさはさすがにないが、元気でもなく、哲学者でいえばヴィトゲンシュタインのような、精悍な皺と落ち着いた焦燥が見える。パイプを燻らせるデリダならまだしも、ヴィトゲンシュタインには怒られるかもしれない。ともあれヴィトゲンシュタインには葉巻と喧嘩する余裕はないだろう。
 これより大きくなって優しくなっても辛味(ニカラグアらしい辛味?)は消えそうにない。これぐらいのサイズのものを十分に寝かせるのが一等良いような気はする。この微かな灰のような苦味を伴う辛味はいずれ珈琲のような香ばしいコクに回収されるはず、という希望的観測である。液体の珈琲にしても雑味が完全に消える事は珍しい。

Country Of Origin: Nicaragua
Wrapper Type: Nicaraguan Habano
Color: Colorado Maduro
Binder / Filler: Nicaraguan / Nicaraguan
|4 x 44|AtlanticCigar| $27/5|重量:−1|算出:+5|香味:+3|

 一本目を到着日早々に試して寝かせないと駄目だろうなと思っていたが、数日後の二本目にしてそうでもないらしい。
 tatuaje VI Angeles()を思い出す。思い出すといってもほとんど憶えていないが、似たようなサイズだし、辛味や強さが似ている。
 大黒寺納豆系の黒く醗酵した染みの味がする。そこに何故かどことなくケーキ屋のような明るい印象が乗っている。かなりの量の草を燃している。小柄な葉巻だが、何か、「かなりの量を燃している」という感じがする。花は萎れつつ黒ずんで、黒ずみの中に黄色が栄える。黒いし辛いし強いのだが、重くない。濃い事は確かで、重いのだが、黒いというほど重くない。重さが茶色いというか。それにしては茶色い印象は薄い。滑らかな黄色が黒ずんでいる。
 ハバナっぽさはないのだが、どことなくナッツのようでもあり、大黒寺納豆と併せて珈琲にもなる。若干渋くイガイガしているが、これらしい。
 土よりは革、革よりは木で、進むと辛味が丁寧に挽いたスパイスになる。
 甘味は染みた花の香りに変わり、染みた香りから旨味に変わる。旨味はパルタガス等に比べると遥かに薄いが、花の香りが柔らかさを幾重にも纏って復帰してくる。かと思えば土の味。それから柔らかさを纏った甘味がふわりと復帰する。小柄らしくめくるめいて、安定していないといえばそれまでだが。
 きりりとした苦くもあり辛くもある強さの横でまろやかになった花が終に恍惚に誘う。最終盤では恍惚が棚引きつつ草とカカオに落ち着く。黒ずんだ大黒柱の横の、落ち着きの後にも花の宴がたゆたう。大黒柱というほど太くもないのだが、コンパクトな大黒柱なのだが。
 
 ハバナかダビドフかこの手のニカラグアものか、これが葉巻の三国志らしい。ニカラグアものをたくさん試したわけではないし、イリュージョンは試した事すらなかったのだが、「この手のニカラグアもの」にして「ニカラグアのコイーバ」といった方が腑に落ちそう。強いが濃くはないパドロンはどちらかといえばニカラグアのダビドフだと思う。良くも悪くも大黒寺の大黒柱が「この手のもの」の支柱らしい。

Country Of Origin: Nicaragua
Wrapper Type: Nicaraguan Habano
Color: Colorado Maduro
Binder / Filler: Nicaraguan / Nicaraguan

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