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4.63 x 49|NextCigar|$17.44|+5|+4|
火を点けずに吸っているとシナモントーストに蜂蜜の味。通は臭い物にこそ食指を動かされるかもしれないが、これは葉巻など吸った事がない人でも美味しく感じられそう。硬く分厚そうな葉がしっかり巻いてあって吸い込みも良好。
火種が整う前から落ち着き払った芳香で嫌味がない。確かにダビドフを茶色く濃くしたようなギリギリの上品さがある。ダビドフが茶に白であればこちらは茶に黒のような。マデューロっぽさとかそういう煩いものも当然のようになく、非ハバナの底力が感じられる。ハバナの味は出ていないが、別の比肩する木土革が出ている。バターの感じなんかはハバナにそっくり。そこにスパイスが乗って着火前のシナモンの名残をとどめている。朝のようでもある温かい味わい。突然タイ風ココナッツカレーのようなまろやかな昼食の風味が出てきて滅茶苦茶美味しくなる、なんだこれ。
前半の終わり辺りに小便の十分に染みた木の味わいが出てくる。小便を済ませると気品のある香りを纏う柔らかいコクの珈琲が薄らと。よくわからないが煎った麦だがピーナッツだかそういう旨味をそれとなく感じている気がする。
前回(◉)失敗して最低一年寝かせるといって三ヶ月ほど寝かせたが、たった三ヶ月でも正解だったようで、あのキツい味の名残が微かに出るような気がしなくもないが、それらしい香味がうまい具合に熟成している気がするのだった。丁度半分の辺りでそれが再び小便となって戻ってきてモンテクリスト並に花が咲きそうになる。結局咲きそうで咲かないのだが。
甘くないのに甘いような気分になるのは蜂蜜が香っているからかもしれない。蜂蜜が少し草混じりで判別し難かったが、終盤ではべたっとしたような甘味が増す。火傷しそうな部分になると粉っぽい甘さと美味しさに変わる。
バターも序盤に出ただけで強まる事なく、しつこさがない。素朴というよりもけっこう華やかで、只管美味しい。何かが濃い事も薄い事もない、香味が引き際を心得ているというか、こういうものを作ろうと思って作れるのだから頼もしい。
火が点きにくく片燃えさせてしまったのだが、崩れた灰(ラッパーの灰だけがそげ落ちた灰)を見る限り最初の印象が正しかったかのように何枚もの葉が原形をとどめて急峻に切り立っている。片燃えのお陰かもしれないが、灰が落ちにくい。
恍惚というより、なんともあっさり深々と腑に落ちる美味しさだった。
火を点けずに吸っているとシナモントーストに蜂蜜の味。通は臭い物にこそ食指を動かされるかもしれないが、これは葉巻など吸った事がない人でも美味しく感じられそう。硬く分厚そうな葉がしっかり巻いてあって吸い込みも良好。
火種が整う前から落ち着き払った芳香で嫌味がない。確かにダビドフを茶色く濃くしたようなギリギリの上品さがある。ダビドフが茶に白であればこちらは茶に黒のような。マデューロっぽさとかそういう煩いものも当然のようになく、非ハバナの底力が感じられる。ハバナの味は出ていないが、別の比肩する木土革が出ている。バターの感じなんかはハバナにそっくり。そこにスパイスが乗って着火前のシナモンの名残をとどめている。朝のようでもある温かい味わい。突然タイ風ココナッツカレーのようなまろやかな昼食の風味が出てきて滅茶苦茶美味しくなる、なんだこれ。
前半の終わり辺りに小便の十分に染みた木の味わいが出てくる。小便を済ませると気品のある香りを纏う柔らかいコクの珈琲が薄らと。よくわからないが煎った麦だがピーナッツだかそういう旨味をそれとなく感じている気がする。
前回(◉)失敗して最低一年寝かせるといって三ヶ月ほど寝かせたが、たった三ヶ月でも正解だったようで、あのキツい味の名残が微かに出るような気がしなくもないが、それらしい香味がうまい具合に熟成している気がするのだった。丁度半分の辺りでそれが再び小便となって戻ってきてモンテクリスト並に花が咲きそうになる。結局咲きそうで咲かないのだが。
甘くないのに甘いような気分になるのは蜂蜜が香っているからかもしれない。蜂蜜が少し草混じりで判別し難かったが、終盤ではべたっとしたような甘味が増す。火傷しそうな部分になると粉っぽい甘さと美味しさに変わる。
バターも序盤に出ただけで強まる事なく、しつこさがない。素朴というよりもけっこう華やかで、只管美味しい。何かが濃い事も薄い事もない、香味が引き際を心得ているというか、こういうものを作ろうと思って作れるのだから頼もしい。
火が点きにくく片燃えさせてしまったのだが、崩れた灰(ラッパーの灰だけがそげ落ちた灰)を見る限り最初の印象が正しかったかのように何枚もの葉が原形をとどめて急峻に切り立っている。片燃えのお陰かもしれないが、灰が落ちにくい。
恍惚というより、なんともあっさり深々と腑に落ちる美味しさだった。
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|5.6 x 44|cigarOne|$9|+2|+2|
薄く脆そうなラッパーでみっちりと巻いてある。みっちり吸い込みが悪いのでボディも煙の量も弱い。フロボディだという噂だけれど。
本領を発揮できていないに違いないが、ハーブの効いた麦の味わいがする。土を温めて食べているような素朴な感じ。有難いほど真面目なハバナっぽさに、なんとも絶妙なハーブが爽やかに瑞々しく食欲をそそる。染みた木の味わいも出ているので吸い込みさえ良ければ花も沢山咲きそう。モンテクリストに染みが似ているような。
薄く脆そうなラッパーでみっちりと巻いてある。みっちり吸い込みが悪いのでボディも煙の量も弱い。フロボディだという噂だけれど。
本領を発揮できていないに違いないが、ハーブの効いた麦の味わいがする。土を温めて食べているような素朴な感じ。有難いほど真面目なハバナっぽさに、なんとも絶妙なハーブが爽やかに瑞々しく食欲をそそる。染みた木の味わいも出ているので吸い込みさえ良ければ花も沢山咲きそう。モンテクリストに染みが似ているような。
|5 1/8 x 42|cigarOne|$6|+3|+2|
よく熟れた葉巻の香りがする。皺っぽいラッパーなのにみっちり巻かれていて、しっとりすべすべした肌触り。
序盤、本当にモンテ4に酷似している。似ているのは序盤だけではなさそうだが、エグ味が立っていてよくわからない。ハズレだろうか。ハズレだったら似ているも何もない。
モンテ4とばかり比べていると粉っぽい旨味よりもバターっぽい風味のしつこさが目立ってくる。私はあまりバター味の葉巻が好きではないのだが、これはこれでなかなか老練な味。一本購入しただけなのでよくわからないが、かなり年季が入っていそうなのである。
それから焦がしたパン。灰にはあまり興味がないのだが、松のように変化に富んだ灰。
バターから花が咲きそうになる。金木犀とも少し違う、爽やかさを伴う浮遊感のある香り。バターから咲くのでそれがまろやか。バターがバターの趣を残したまま木に変化し、エグ味が木のエグ味になる。
結局ハズレでもなかったけれど、モンテ4とは少し似ているだけだった。なかなか美味しく、特別美味しくはない。
よく熟れた葉巻の香りがする。皺っぽいラッパーなのにみっちり巻かれていて、しっとりすべすべした肌触り。
序盤、本当にモンテ4に酷似している。似ているのは序盤だけではなさそうだが、エグ味が立っていてよくわからない。ハズレだろうか。ハズレだったら似ているも何もない。
モンテ4とばかり比べていると粉っぽい旨味よりもバターっぽい風味のしつこさが目立ってくる。私はあまりバター味の葉巻が好きではないのだが、これはこれでなかなか老練な味。一本購入しただけなのでよくわからないが、かなり年季が入っていそうなのである。
それから焦がしたパン。灰にはあまり興味がないのだが、松のように変化に富んだ灰。
バターから花が咲きそうになる。金木犀とも少し違う、爽やかさを伴う浮遊感のある香り。バターから咲くのでそれがまろやか。バターがバターの趣を残したまま木に変化し、エグ味が木のエグ味になる。
結局ハズレでもなかったけれど、モンテ4とは少し似ているだけだった。なかなか美味しく、特別美味しくはない。
|5.3 x 52|cigarOne|$12|+4|+3|
エドムンドとプチエドムンドを並べるとプチの方がごつごつしていているし色も斑っぽく黒い。エドムンドは薄黄色い薄いラッパーで巻かれている。大分異なる外観だが、中身もまったくの別物らしい。
香りもあまりしないし、ちょっと若いような気がするが、前にナンバー4を箱(但し10本入り)で買って到着後三週間目が一番美味しかったのでこれも三週間目に着火。
味が薄い。しかも辛い。オープンシリーズに雑味を加えたような味。まだ1センチだが、このままではオープンの方が全然マシという事になってしまうが大丈夫だろうか。よくよく味わうと確かにモンテクリストの薫香が立ちのぼっている。雑味も少しずつだが減ってきているし、期待できそう。そして期待を裏切りそう。それにしてもほんの僅かモンテクリストらしさが出てくるだけでどうしてこんなに美味しくなってしまうのだろう。不味いのに美味しくなってしまう。金木犀などとっくに咲いている。それにしても雑味が多く旨味がほぼ無い。雑味と香りとで相撲をとっている。しばらくこのまま。
二度失敗したきりのナンバー2に似ているが、底力も低そう。あまり評判を調べていないが、これはモンテクリストの不発弾なのではないかな。
中盤からのバターの感じがトリニダッドのまろやかさに似ている。と思うと金木犀が空中で咲いていたのが木から咲くようになる。なんとも上品な木香が突如吹き出してきた。序盤から少しずつ強まってきていたバターのまろやかさが瞬時に消えている。木と花の乱舞になっている。軽やかな乱舞。これは美味しい。余計な布石も美味しかったと思えるほど。こんなに香味が変化した葉巻ははじめて。正直今まで「変化」など馬鹿にしていたけれど。序盤の不味さが無かったらこれほど美味しく感じなかったかもしれない。できればとんでもない美味しさからとんでもない美味しさへガラリと変化してほしいのだが。そんな葉巻が欲しければ自分で勝手にロブストAとロブストBのラッパーを剥いで裸のAとBを接合して何処からか剥いできたダブルロブストのラッパーでくるめば良いのだろうけれど。こういう長々しい一文を面倒臭いなと思っているとバターっぽさが復帰する。少し草のような感じが出てきて、草から金木犀が咲いている。雑味も少し復帰。矢継ぎ早に粘土っぽさが出てきている。もう終盤である。
ボディと香りは強いが、旨味は始終薄かった。エスペシャルで経験した「キャラメルをまぶした金木犀」とはいかなかった。
絶頂時のナンバー4には到底敵わないが、面白さではこちらが勝っている。大雑把な印象はトリニダッドとオープンを混ぜたようなもの。まだプチエドムンドをふかしていないが、『エスペシャルだけを箱買いする』ところに凝固しそう。
雑味と辛味が増えて、まだ金木犀が咲いている。
焦って吸い込み過ぎた秋の空気のようで、名残惜しいのか厭きたのかよくわからない。根元まで吸い尽くさせる物ではあった。根元では金木犀ではない可愛らしい花があまやかに香っている。火傷をするような可愛らしさである。
エドムンドとプチエドムンドを並べるとプチの方がごつごつしていているし色も斑っぽく黒い。エドムンドは薄黄色い薄いラッパーで巻かれている。大分異なる外観だが、中身もまったくの別物らしい。
香りもあまりしないし、ちょっと若いような気がするが、前にナンバー4を箱(但し10本入り)で買って到着後三週間目が一番美味しかったのでこれも三週間目に着火。
味が薄い。しかも辛い。オープンシリーズに雑味を加えたような味。まだ1センチだが、このままではオープンの方が全然マシという事になってしまうが大丈夫だろうか。よくよく味わうと確かにモンテクリストの薫香が立ちのぼっている。雑味も少しずつだが減ってきているし、期待できそう。そして期待を裏切りそう。それにしてもほんの僅かモンテクリストらしさが出てくるだけでどうしてこんなに美味しくなってしまうのだろう。不味いのに美味しくなってしまう。金木犀などとっくに咲いている。それにしても雑味が多く旨味がほぼ無い。雑味と香りとで相撲をとっている。しばらくこのまま。
二度失敗したきりのナンバー2に似ているが、底力も低そう。あまり評判を調べていないが、これはモンテクリストの不発弾なのではないかな。
中盤からのバターの感じがトリニダッドのまろやかさに似ている。と思うと金木犀が空中で咲いていたのが木から咲くようになる。なんとも上品な木香が突如吹き出してきた。序盤から少しずつ強まってきていたバターのまろやかさが瞬時に消えている。木と花の乱舞になっている。軽やかな乱舞。これは美味しい。余計な布石も美味しかったと思えるほど。こんなに香味が変化した葉巻ははじめて。正直今まで「変化」など馬鹿にしていたけれど。序盤の不味さが無かったらこれほど美味しく感じなかったかもしれない。できればとんでもない美味しさからとんでもない美味しさへガラリと変化してほしいのだが。そんな葉巻が欲しければ自分で勝手にロブストAとロブストBのラッパーを剥いで裸のAとBを接合して何処からか剥いできたダブルロブストのラッパーでくるめば良いのだろうけれど。こういう長々しい一文を面倒臭いなと思っているとバターっぽさが復帰する。少し草のような感じが出てきて、草から金木犀が咲いている。雑味も少し復帰。矢継ぎ早に粘土っぽさが出てきている。もう終盤である。
ボディと香りは強いが、旨味は始終薄かった。エスペシャルで経験した「キャラメルをまぶした金木犀」とはいかなかった。
絶頂時のナンバー4には到底敵わないが、面白さではこちらが勝っている。大雑把な印象はトリニダッドとオープンを混ぜたようなもの。まだプチエドムンドをふかしていないが、『エスペシャルだけを箱買いする』ところに凝固しそう。
雑味と辛味が増えて、まだ金木犀が咲いている。
焦って吸い込み過ぎた秋の空気のようで、名残惜しいのか厭きたのかよくわからない。根元まで吸い尽くさせる物ではあった。根元では金木犀ではない可愛らしい花があまやかに香っている。火傷をするような可愛らしさである。
|5 1/2 x 42|cigarOne|$10|+4|+3|
クラシコスとファモソスに比べて焦茶が目立つラッパー。キューバシガー全般がどれもこれも薄茶色いなかでちょっと精悍な印象。湿った感じはなく渇いた紙のような質感で、パドロンに似ているが、こちらの方が荒削り。香りはほとんどしないぐらい薄く、僅かにシナモンのよう。
煙はやや甘いハーブの香り。香りが基調で、味わいにハバナっぽさが薄らと感じられる。土も木も乾いているがハーブが瑞々しい。非常に繊細な感じ。はっきりとした繊細さというか。少し進むと大量のハーブに大量のスパイス。脂っこさやしつこさがまったくないのに、あまやかで物足りなさもない。四角いビリガーなどをも思い出してしまうが、断然こちらの方が美味しい。ビリガーを思い出すようなどことなく懐かしい感じも美味しいのである。
微かにバターが出てくるが、オリーブオイルと化し、アルコールに溶け込んで水で薄められてしまう。諄い味が出てきても完全防御されている。
久しぶりに感心してしまった。はっきりとしたハーブはありがちだがこれほどよくできたものは他に知らないので重宝しそう。ボディはこの香味にして軽すぎも強すぎもしない絶妙なミディアムだった。サラダランチを食べたくなるような。
クラシコスとファモソスに比べて焦茶が目立つラッパー。キューバシガー全般がどれもこれも薄茶色いなかでちょっと精悍な印象。湿った感じはなく渇いた紙のような質感で、パドロンに似ているが、こちらの方が荒削り。香りはほとんどしないぐらい薄く、僅かにシナモンのよう。
煙はやや甘いハーブの香り。香りが基調で、味わいにハバナっぽさが薄らと感じられる。土も木も乾いているがハーブが瑞々しい。非常に繊細な感じ。はっきりとした繊細さというか。少し進むと大量のハーブに大量のスパイス。脂っこさやしつこさがまったくないのに、あまやかで物足りなさもない。四角いビリガーなどをも思い出してしまうが、断然こちらの方が美味しい。ビリガーを思い出すようなどことなく懐かしい感じも美味しいのである。
微かにバターが出てくるが、オリーブオイルと化し、アルコールに溶け込んで水で薄められてしまう。諄い味が出てきても完全防御されている。
久しぶりに感心してしまった。はっきりとしたハーブはありがちだがこれほどよくできたものは他に知らないので重宝しそう。ボディはこの香味にして軽すぎも強すぎもしない絶妙なミディアムだった。サラダランチを食べたくなるような。
|6 x 38|cigarOne|$19|+3|+3|
一口目からやっぱりコイーバだなぁと感激を込めて思ってしまう。やや草寄りの香。柔らかくて甘やか。やさしい味がする。乾いた蜂蜜のような、やや疲れた風味がある。鼻の奥につんとくるような感じもあるのだが、ボディは結構弱い。途中、所々で金木犀も木からではなく草から咲く。モンテほどではないがかなり咲く。
全体的に旨味が弱すぎると思っていると終盤では粉っぽい、ささやかに薄荷の乗った旨味が出てくる。この薄荷の旨味は細くて短い葉巻でたまに感じられるものだけれど、火種が近づいたからというわけではなさそう、まだ二十五分は残っている。ボディはかなり強くなっている。
シガーワンで一本買いしたのだけれど、回転が悪いビトラなのか、良心なのか、かなり熟成が利いているらしき退色したバンド。一本買いを二十本、その内六本がコイーバなのだが、これだけが退色している。ラッパーも他のコイーバより少しすべすべというかツルツルで全体的に薄らと緑がかっている。ちなみに今回は二十本いずれもこれ以上はないというようなミテクレのものを届けてくれたのだった。
枯淡の境地に片足を突っ込んじゃっているが、なんだか安心して吸える一本だった。サイズはこれこそ最適だし、本気で箱買いできるなら迷わずコイーバからはこれを選んで熟成の妙味を愉しむことだろうと思ってしまう。ロブストとランセロが気になるけれど。あとコイーバっぽさがあまり強くないのも気になるが、枯淡の所為かもしれないし、コイーバっぽさを考えなければやはりこれが箱。ただ、コイーバっぽさが薄いからかモンテクリストのエスペシャル(●)を薄めたもののようにも感じられた。もっともあのエスペシャルがたまたま異常な美味しさを備えていたのかもしれない。
前回の記事(●)を読むとなんだか前回の方が美味しそう。美味しいのはこちらだが、美味しそうなのはあちらなのだろう。
一口目からやっぱりコイーバだなぁと感激を込めて思ってしまう。やや草寄りの香。柔らかくて甘やか。やさしい味がする。乾いた蜂蜜のような、やや疲れた風味がある。鼻の奥につんとくるような感じもあるのだが、ボディは結構弱い。途中、所々で金木犀も木からではなく草から咲く。モンテほどではないがかなり咲く。
全体的に旨味が弱すぎると思っていると終盤では粉っぽい、ささやかに薄荷の乗った旨味が出てくる。この薄荷の旨味は細くて短い葉巻でたまに感じられるものだけれど、火種が近づいたからというわけではなさそう、まだ二十五分は残っている。ボディはかなり強くなっている。
シガーワンで一本買いしたのだけれど、回転が悪いビトラなのか、良心なのか、かなり熟成が利いているらしき退色したバンド。一本買いを二十本、その内六本がコイーバなのだが、これだけが退色している。ラッパーも他のコイーバより少しすべすべというかツルツルで全体的に薄らと緑がかっている。ちなみに今回は二十本いずれもこれ以上はないというようなミテクレのものを届けてくれたのだった。
枯淡の境地に片足を突っ込んじゃっているが、なんだか安心して吸える一本だった。サイズはこれこそ最適だし、本気で箱買いできるなら迷わずコイーバからはこれを選んで熟成の妙味を愉しむことだろうと思ってしまう。ロブストとランセロが気になるけれど。あとコイーバっぽさがあまり強くないのも気になるが、枯淡の所為かもしれないし、コイーバっぽさを考えなければやはりこれが箱。ただ、コイーバっぽさが薄いからかモンテクリストのエスペシャル(●)を薄めたもののようにも感じられた。もっともあのエスペシャルがたまたま異常な美味しさを備えていたのかもしれない。
前回の記事(●)を読むとなんだか前回の方が美味しそう。美味しいのはこちらだが、美味しそうなのはあちらなのだろう。
5 × 52|Milan Tobacconists|$16.30|+1|+2|
前回のコロナから五ヶ月、約半年寝かせてみた。たったの半年なのだが、こんなに寝かせた事はない。
ダビドフらしい下駄箱の香り。これはクラシックもマデューロも変わらない。いつもよりそれが少し褐色がかっていて、少し蜂蜜っぽい。カット後に着火せずに吸っていてもやっぱりダビドフらしいもので、なんともいいようがないがダビドフらしいといっておけば良さそう。というのもトイレで熟成させた感がなきにしもあらずで、美味しくなさそうに聞こえかねない。
着火すると下駄箱の軽やかな足取りをそのままに、ニカラグアだかホンジュラスだかわからないがそういうドミニカ外の味わいがツンとある(サングロウンニカラグアンラッパー仕様と書いてある)。ツンとしているはずであるのに、下駄箱がそれを実に奥深くしている。バターの味は薄らとしかしないのにバターを沢山食べてしまったような感じの濃厚さ。下駄箱が香ばしい。旨味は弱くないが甘味は弱く、底の方で押しが強いのか軽くもなく、変な分厚さがある。間違いなく高級な味、というかダビドフの味。
辛味が出て少しぴりぴりしている。もっともまだ7ミリぐらいしか進んでいない。
辛味はすぐに消えて、下駄箱も少し静まり、凡庸なスパイスなどが出てくる。なぜだかマデューロコロナではなくミレニアムトロを思い出している。相変わらず旨さは無いが、そんなもの無くて良いと思えるほどの期待を齎す香りがある。
微かに酸味や絵具が出てくる。恍惚へ導く香りの代わりにそういう旨味が出た。なんとも変な料理である。料理にしては旨味が不足しているが、なぜかしつこい。Gran Habano corojo #5 Rothschildの春菊らしさもあり、ニカラグアはニカラグアでも安いニカラグアに近づいた印象。安いニカラグアというか嫌いなタイプのニカラグアに。春菊にダビドフらしい下駄箱が絡まるのが憎い。かと思えば春菊が変化して粘土と混ざって百合のような香りが漂う。バターで煎った百合のようなしつこさを伴って。そうなるとスパイスが引き締めるのである。難しい。
下駄箱は木に他ならないが、基本的な木革土の味わいに乏しい。
ダビドフだという事はあからさまなのだが、美味しいのか美味しくないのかよくわからない。そういえばパドロンにも似ている。恍惚だとか極度の旨味だとか、そういうものを期待せずに落ち着いて吸うべきものなのかもしれない。しかしまだ半分なのでまだ落ち着くには遅くないのだった。ここで書くのをやめてもう落ち着いて吸おう。書けば書くほど不味くなるのだからね。
複雑さや旨味や香気では劣るにしてもコロナにはもっと端正な優しさがあったような。書くのを止めてもあまり美味しくならなかったのでまた書き始めたのだが、書き始めたらまた少し美味しくなった。灰にはあまり興味を持てないのだが、かなり落ちにくい。そもそもダビドフにしては吸い込みが若干悪いのかもしれない。香味が安定していない。複雑さも無駄に複雑という感じだし。
特別maduro Rを買う必要はないかな。
前回のコロナから五ヶ月、約半年寝かせてみた。たったの半年なのだが、こんなに寝かせた事はない。
ダビドフらしい下駄箱の香り。これはクラシックもマデューロも変わらない。いつもよりそれが少し褐色がかっていて、少し蜂蜜っぽい。カット後に着火せずに吸っていてもやっぱりダビドフらしいもので、なんともいいようがないがダビドフらしいといっておけば良さそう。というのもトイレで熟成させた感がなきにしもあらずで、美味しくなさそうに聞こえかねない。
着火すると下駄箱の軽やかな足取りをそのままに、ニカラグアだかホンジュラスだかわからないがそういうドミニカ外の味わいがツンとある(サングロウンニカラグアンラッパー仕様と書いてある)。ツンとしているはずであるのに、下駄箱がそれを実に奥深くしている。バターの味は薄らとしかしないのにバターを沢山食べてしまったような感じの濃厚さ。下駄箱が香ばしい。旨味は弱くないが甘味は弱く、底の方で押しが強いのか軽くもなく、変な分厚さがある。間違いなく高級な味、というかダビドフの味。
辛味が出て少しぴりぴりしている。もっともまだ7ミリぐらいしか進んでいない。
辛味はすぐに消えて、下駄箱も少し静まり、凡庸なスパイスなどが出てくる。なぜだかマデューロコロナではなくミレニアムトロを思い出している。相変わらず旨さは無いが、そんなもの無くて良いと思えるほどの期待を齎す香りがある。
微かに酸味や絵具が出てくる。恍惚へ導く香りの代わりにそういう旨味が出た。なんとも変な料理である。料理にしては旨味が不足しているが、なぜかしつこい。Gran Habano corojo #5 Rothschildの春菊らしさもあり、ニカラグアはニカラグアでも安いニカラグアに近づいた印象。安いニカラグアというか嫌いなタイプのニカラグアに。春菊にダビドフらしい下駄箱が絡まるのが憎い。かと思えば春菊が変化して粘土と混ざって百合のような香りが漂う。バターで煎った百合のようなしつこさを伴って。そうなるとスパイスが引き締めるのである。難しい。
下駄箱は木に他ならないが、基本的な木革土の味わいに乏しい。
ダビドフだという事はあからさまなのだが、美味しいのか美味しくないのかよくわからない。そういえばパドロンにも似ている。恍惚だとか極度の旨味だとか、そういうものを期待せずに落ち着いて吸うべきものなのかもしれない。しかしまだ半分なのでまだ落ち着くには遅くないのだった。ここで書くのをやめてもう落ち着いて吸おう。書けば書くほど不味くなるのだからね。
複雑さや旨味や香気では劣るにしてもコロナにはもっと端正な優しさがあったような。書くのを止めてもあまり美味しくならなかったのでまた書き始めたのだが、書き始めたらまた少し美味しくなった。灰にはあまり興味を持てないのだが、かなり落ちにくい。そもそもダビドフにしては吸い込みが若干悪いのかもしれない。香味が安定していない。複雑さも無駄に複雑という感じだし。
特別maduro Rを買う必要はないかな。
3.9 x 30|Cigars of Cuba|$81/25|+3|+2|
「これだ!」と思うほどのハバナ感が一口目からある。キメ細かい粉のような白い甘味も。初っぱなから強く、厳しい乾きを感じる。革や木よりも凡そ土だが、甘い粉の白さに紛れて土っぽさは薄らいでいる。しかし乾きが土っぽさを強調してもいる。沙漠で立往生してしまったようなどうしようもない気分になる。故障した車のオイルの劣化まで感じられるような。素朴というのとも違うし、鼻で吹かしていると仙人掌のようなものから金木犀のようながぐわしい花も咲くし、美味しいのだが、しかしこの疲れは何だろう。オイルをドライヤーで乾かすような虚しさがある。雑味の所為かもしれないし、雑味にボディの強さが加勢しているような気もする。
グロリアクバーナに位置が似ている、モンテクリスト寄りのグロリアクバーナといった感じ。白くて甘い粉は、ダビドフのエスキジトスや、モンテクリストのホイタスで一度感じられたものにそっくりの美味しさ。
小さいものの内でも絶妙なサイズで、太さもそれなりにあるので煙の量もなかなか。この鬱病のような底無しの空虚さもかえって面白い。ただデイリーには向かないような。最後には短くて良かったという安堵感まである。
イガイガしさは抜けないが、一ヶ月過ぎに突然どれもがまともな味になった。乾きも若干薄れたが、疲れも若干薄れた。良くも悪くも平凡になったというか、一ヶ月経つ前の疲れ切った感じの方が印象深い。
後記:
まだ二ヶ月も経っていないのだが、吸う毎に一方的に美味しくなっている。疲れ切った感じは炭火焼の焦げの香ばしさに変わっている。焦げと互いに引き立てあうかのように枯葉の旨味が只管美味い。白い甘味がどことなく爽やかさを保水パックのように保水しながら黄色くバターめいてきている。枯れているのに爽やかで旨い。最高の秋刀魚に合うような。生臭さは皆無で、香草を添えて饗される。
最後の一本(購入から二ヶ月半で終わり)。疲れを少し残したまま、なんだか氷漬けのミントのような爽やかさに変わっている。連日吸える小さいものの方が簡単に葉巻の変化を感じられるのか、小さいからといって奥行きがないこともないらしい。バターだの花だのチョコだのスパイスだのといわしめる美味しい葉巻に厭きたら好きになりそうな銘柄。晩夏の蝉の啼鳴のような克明なしつこさとアイスキャンデーのような克明な爽やかさ。そういうものがしみじみとしている。
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グロリアクバーナに位置が似ている、モンテクリスト寄りのグロリアクバーナといった感じ。白くて甘い粉は、ダビドフのエスキジトスや、モンテクリストのホイタスで一度感じられたものにそっくりの美味しさ。
小さいものの内でも絶妙なサイズで、太さもそれなりにあるので煙の量もなかなか。この鬱病のような底無しの空虚さもかえって面白い。ただデイリーには向かないような。最後には短くて良かったという安堵感まである。
イガイガしさは抜けないが、一ヶ月過ぎに突然どれもがまともな味になった。乾きも若干薄れたが、疲れも若干薄れた。良くも悪くも平凡になったというか、一ヶ月経つ前の疲れ切った感じの方が印象深い。
後記:
まだ二ヶ月も経っていないのだが、吸う毎に一方的に美味しくなっている。疲れ切った感じは炭火焼の焦げの香ばしさに変わっている。焦げと互いに引き立てあうかのように枯葉の旨味が只管美味い。白い甘味がどことなく爽やかさを保水パックのように保水しながら黄色くバターめいてきている。枯れているのに爽やかで旨い。最高の秋刀魚に合うような。生臭さは皆無で、香草を添えて饗される。
最後の一本(購入から二ヶ月半で終わり)。疲れを少し残したまま、なんだか氷漬けのミントのような爽やかさに変わっている。連日吸える小さいものの方が簡単に葉巻の変化を感じられるのか、小さいからといって奥行きがないこともないらしい。バターだの花だのチョコだのスパイスだのといわしめる美味しい葉巻に厭きたら好きになりそうな銘柄。晩夏の蝉の啼鳴のような克明なしつこさとアイスキャンデーのような克明な爽やかさ。そういうものがしみじみとしている。
5 1/8 x 42|Cigars of Cuba|$64/10|+5|+3|
1001で買って得をした事がある(◉)が、改めて10本入りボックスを買ってみて二ヶ月で吸い切った。動機も結果も前回のロメオのミルフルール(◉)とほとんど同じ。三週間目に吸ったものが一等美味しく、他は少し美味しいぐらい。全体的にミルフルールよりも好みだった。
バンドがどれも箱に糊付けされていて取り出し難い。わざと糊で固定しているのだろうか。糊がはみ出てしまったのだろうか。
調子が良い時のこの葉巻は私を喜ばせて何の得があるのかと訝しくなるほどで、革とカカオ粉と土煙と金木犀とバターとスパイスと少しの砂糖と微かに豚臭い旨味とが渾然一体となって訳のわからない華やかなコクマロの美味しさを構成するのであった。他の調子の良かった葉巻銘柄に比べると、コイーバやパンチと同等の粉っぽい旨味にモンテクリストらしい花らしさが支配していて、しかもうらぶれて雑多。都会の賑やかなところの路地裏に住む少女の隣に住むオジさんが吸うような愉しい味わい。
雑多な目眩の内での変化に富み、時々少女に話し掛けられるような花やぎや、少女の母親に御裾分けされるおはぎめいた味わいが突出する事がある。得体の知れないおばさんのおはぎなど食べたくもないが、あの少女の母親のおはぎなら毒の代わりに砂糖が入っているのだろう。
ハズレても不味過ぎることがない。恥ずかしげな形容をすれば葉巻のスパゲティのジェノベーゼ(私は三日だけジェノバで暮らしたことがある)であり葉巻のポロネーズでもある。時間の移ろわない夜にこういう恥ずかしげなことを想像して楽しんでしまったのだった。ジェノバに少女がいれば、私はいなくてもよいかも知れない。自虐的になるほどの美味しさなのである。ちなみに、こういう妄想は一度きりである。他は何も考えずに吸い切った。
どれも平均以上には美味しいし、特別高くもないし、味にばらつきがあるので、五百本あっても飽きそうにない。冬なら昼、夏なら夜に吸いたい。
1001で買って得をした事がある(◉)が、改めて10本入りボックスを買ってみて二ヶ月で吸い切った。動機も結果も前回のロメオのミルフルール(◉)とほとんど同じ。三週間目に吸ったものが一等美味しく、他は少し美味しいぐらい。全体的にミルフルールよりも好みだった。
バンドがどれも箱に糊付けされていて取り出し難い。わざと糊で固定しているのだろうか。糊がはみ出てしまったのだろうか。
調子が良い時のこの葉巻は私を喜ばせて何の得があるのかと訝しくなるほどで、革とカカオ粉と土煙と金木犀とバターとスパイスと少しの砂糖と微かに豚臭い旨味とが渾然一体となって訳のわからない華やかなコクマロの美味しさを構成するのであった。他の調子の良かった葉巻銘柄に比べると、コイーバやパンチと同等の粉っぽい旨味にモンテクリストらしい花らしさが支配していて、しかもうらぶれて雑多。都会の賑やかなところの路地裏に住む少女の隣に住むオジさんが吸うような愉しい味わい。
雑多な目眩の内での変化に富み、時々少女に話し掛けられるような花やぎや、少女の母親に御裾分けされるおはぎめいた味わいが突出する事がある。得体の知れないおばさんのおはぎなど食べたくもないが、あの少女の母親のおはぎなら毒の代わりに砂糖が入っているのだろう。
ハズレても不味過ぎることがない。恥ずかしげな形容をすれば葉巻のスパゲティのジェノベーゼ(私は三日だけジェノバで暮らしたことがある)であり葉巻のポロネーズでもある。時間の移ろわない夜にこういう恥ずかしげなことを想像して楽しんでしまったのだった。ジェノバに少女がいれば、私はいなくてもよいかも知れない。自虐的になるほどの美味しさなのである。ちなみに、こういう妄想は一度きりである。他は何も考えずに吸い切った。
どれも平均以上には美味しいし、特別高くもないし、味にばらつきがあるので、五百本あっても飽きそうにない。冬なら昼、夏なら夜に吸いたい。
5 1/8 x 42|Cigars of Cuba|$45/10|+1|+1|
大きさはよくある5 1/8 x 42のプチコロナ。モンテの4やロメオの2と同じ。
10本入りのボックスを購入し、到着後二ヶ月で10本吸ってみた。「到着後一ヶ月は寝かせなければならぬ」という話が神話に思えたので。結果は、この葉巻に限ってはどうでもよいものだった。判別不能だった。到着後一週間以内に吸ったものは確かに酷く不味く、三週間目に吸ったものが飛び抜けて一番美味しく、他はどれも少ししか美味しくないか、少し美味しくないかのどちらかだった。最後に吸った一本は二番目に美味しかったけれど、それでも少ししか美味しくなかった。大当たりは稀にあるものの、この葉巻には底力はないのだと思ってしまう。
キウイにも似た発狂したくなるようなキンキンとした嫌味が出るものが多い。銀紙を眉間から脳髄に差し込んだような。味が薄くて苦味やいがらっぽさが目立つモノが多い。味は薄いものが多いのにボディはけっこう強い。濃厚な味を伴わず、不味さに因る強さという感じ。薄さが優しさであれば文句も出ないが、雑味が際立っている。
もっとも美味しい一本は、歪みがほとんど和らぎ、甘味が目立つようになり、ロメオ流のふわついた木香(土や革ではなく木)やふわついた花も再現されるのだけれど、舌が肥えたのか説得力に欠ける。ふわついている物に動じなくなったというか、ふわついていない物に動じるようになったのかもしれない。それでもなかなか美味しい。蜂蜜を綿飴にしたような。原料の蜂蜜は普通の安い蜂蜜らしい。独りで楽しむには重厚さに欠けるけれど、素人将棋でもさしながら葉巻などそっちのけで敵と吸うのには丁度良いかもしれない。美味しいけれど、なんだかどうでもよい美味しさなのだった。胡椒を舐める大航海時代の美味しさといえばなんだか美味しそうだけれど、グラニュー糖を舐めるような美味しさ。胡椒がもはや平凡であるように、グラニュー糖ももう平凡なのである。
そろそろ気付いてしまうのだが、私はロメオが好きではないのではないのか。でもぺティプリンスは私ごときがロメオに求める味わいそのもので美味しかった。
大きさはよくある5 1/8 x 42のプチコロナ。モンテの4やロメオの2と同じ。
10本入りのボックスを購入し、到着後二ヶ月で10本吸ってみた。「到着後一ヶ月は寝かせなければならぬ」という話が神話に思えたので。結果は、この葉巻に限ってはどうでもよいものだった。判別不能だった。到着後一週間以内に吸ったものは確かに酷く不味く、三週間目に吸ったものが飛び抜けて一番美味しく、他はどれも少ししか美味しくないか、少し美味しくないかのどちらかだった。最後に吸った一本は二番目に美味しかったけれど、それでも少ししか美味しくなかった。大当たりは稀にあるものの、この葉巻には底力はないのだと思ってしまう。
キウイにも似た発狂したくなるようなキンキンとした嫌味が出るものが多い。銀紙を眉間から脳髄に差し込んだような。味が薄くて苦味やいがらっぽさが目立つモノが多い。味は薄いものが多いのにボディはけっこう強い。濃厚な味を伴わず、不味さに因る強さという感じ。薄さが優しさであれば文句も出ないが、雑味が際立っている。
もっとも美味しい一本は、歪みがほとんど和らぎ、甘味が目立つようになり、ロメオ流のふわついた木香(土や革ではなく木)やふわついた花も再現されるのだけれど、舌が肥えたのか説得力に欠ける。ふわついている物に動じなくなったというか、ふわついていない物に動じるようになったのかもしれない。それでもなかなか美味しい。蜂蜜を綿飴にしたような。原料の蜂蜜は普通の安い蜂蜜らしい。独りで楽しむには重厚さに欠けるけれど、素人将棋でもさしながら葉巻などそっちのけで敵と吸うのには丁度良いかもしれない。美味しいけれど、なんだかどうでもよい美味しさなのだった。胡椒を舐める大航海時代の美味しさといえばなんだか美味しそうだけれど、グラニュー糖を舐めるような美味しさ。胡椒がもはや平凡であるように、グラニュー糖ももう平凡なのである。
そろそろ気付いてしまうのだが、私はロメオが好きではないのではないのか。でもぺティプリンスは私ごときがロメオに求める味わいそのもので美味しかった。
銘
囹
月