忍者ブログ

  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

|OPM NOV 09|184mm x 57|coh-hk|$103.70/10|算出:+2|香味:+2|

 6本目。甘くてスパイシーでまろやかな床屋。6本目で漸く当たったのだが、何処までも床屋はついてまわるらしい。
 これまでの5本にしても大ハズレはなく、どれも+1にはなった。安定感は高いのに、5本目まではどれも吸い込みに難があった。吸い込みばかりが要因ではなさそうだけれど、今回だけは吸い込みも良い。小さめにカットしたが、リカットの必要もなさそう(味を変えたい時にカットすれば良さそう)。
 花もあまり濃くなく、ハバナっぽさも薄いのだが、そういう薄さの中にある甘さとまろやかさがクァバの特徴のような気がする。むろんそんなものより遥かに床屋が鼻につくのだが、大当たりらしい事もあって、えも言われぬ色香を醸し出している。まろやかなクリーム色のような、透明なアイボリーのような、床屋のような。
 中盤でスパイスに草が混じると雑味も感じる。草は雑草らしい。
 結局大当たりではなかったが、小当たりも+2止まりで、丁寧に作られている感じまでするものの、やっぱりクァバはあまり好きになれない。
 『Zaya 12年』(ラムなのにメープルシロップのようでいけ好かない)を併せたら駄目な物と駄目な物とでどうでもよくなった。よくなったのである。切れが悪い甘ったるい酒の方が合う。
PR
|GOT SEP 10|4 4/5 x 50|coh-hk|$62.90/10|重量:0|算出:+5|香味:+3|

 昨日のトリニダッドが美味しくてついでにシグロ6を今日の昼に試してしまったのだが、なんだか最近コイーバの諄さに好感が持てない。パルタガスは諄過ぎず、トリニダッドとコイーバの中間のような規律がある。中央のカトリックでも中央のプロテスタントでもなく土臭い何処かの修道院といったふうの。何を言っているのかわからないが、修道院のイメージはベルギービールの影響だと思う。現在ヱビスビールを呑んでいるのだが、折角なのでトラピストを呑みたいし、それはきっと合うと思う。
 トラピストビールは七つとも呑んでいるが、どれが合うかはわからない。簡単に買えるシメイか、メンマ臭いオルヴァルか、紫の花のロシュフォールか、甘いウエストフレテレンか、元気なアヘルか、キメ細かいラ・トラッペか、トラピストらしからぬウエストマールか。白っぽい方が合うと思うのでシメイ白かオルヴァルを選びたい。

 これで若いうちに十本消費し尽くした。今回の十本目は久しぶりに美味しく+3。一本目は+3で二本目は+4、他七本は+1程度だった。平均すれば1.7になるけれど、キューバ産の葉巻の事なので諦めは肝心であり、総じて+3にはなる。どこに若さがあるのか、はっきり言ってわからない。若くして十分ではあった。

 優しい花(木犀ではない!)に土っぽい芳香、芋っぽい旨味、これは安くて美味しい。
|OUS OCT 09|6 x 50|cigarOne|$198/12|重量:+1|算出:+7|香味:+5|

 最近つまらない物ばかり吸っていたから、そんなものを一箱買うぐらいならこれを五本買った方が良いのだとひしと納得させられる。ドアを開けるとからんと鳴る喫茶店の鈴のような、期待が常に美味しい。その音のような、軽やかな甘味。加えてえも言われぬ黄色い芳香と優しいスパイスがずっと続く。これは喫茶店を丸ごと食すよりも美味しい。+5にするには地味だが、地味という言葉が似合わなくもある。

 無論、御供は清酒だった。これ(白鴻 純米吟醸 沙羅双樹)は池袋の西武デパートでよくよく吟味して手に入れたもの。

 あまりの贅沢に、内田百閒が残り少ない一升瓶を片手に空襲避難した話を思い出した。
|MUA NOV 09|4 x 40|coh-hk|$107.10/25|算出:−1|香味:0|

 総じて±0程度。なんだかモンテらしさが薄くて、このボックスが悪いのか、甘くカラメルを纏ったナッツの香ばしさもあるし当然モンテに似てはいるものの、これまでのモンテの印象とは随分違っている。床屋と洗剤がほぼ常に邪魔をする。特別不味くはないが、いつも美味しさの片鱗のみに終わる。片鱗がかなり美味しかったりするのでよくわからないのだが、舌が肥えたのかもしれない。
 バラツく美味しさはあるが、全体的にクリーニング屋というか、芋っぽい旨味のモノが多く、その時にはあまりモンテっぽくない。パルタガスの香りには芋は合うが、モンテの香りには芋が合わない。芋が出ない時は美味しいが、それはそれで荒い。それで憎めないのはトレペティコロナの可愛いところか。大ハズレも無いが、とんでもなく美味しい一本というのにはいくら吸っても当たりそうにない。
 コクは全体的に強いが、甘味は弱い。逆接ばかりで、辛味はなかなかある。一瞬大変美味しいが、冷静になれば特別美味しいものでもなく、かえって根本まで衰えない良さがある。

 結局到着日から一ヶ月休ませる云々よりも当たり外れの方が大きい気がする。1本目は落ち着きなくも美味しく、2本目以降は一ヶ月経つまで全部外れたが、約一ヶ月後に1本だけ美味しいのがあって、その後はまた外れが連続した。外れるだけでなく味のバラツキもかなりのもの。美味しいモンテクリストがどんな物だったかすっかり忘れさせるほど。だが15本目で漸くモンテクリストを思い出した。ただし香味は堅く木っぽい。木のエグ味も僅かにある。焦がしたキャラメルのような風味も微かにあり、美人のシャンプーはしっかり薫ってくる。
 まともなのは3本で、あとは−1。総じてクラブを買った方が断然良かった。大量生産の皺寄せがNo.5に畳まれているのかもしれない。
 二ヶ月も休ませれば特別不味い物は激減し、美味しくなるのだが、美味しくても「これぞモンテクリスト」という感じはしなくて、濃厚なモンテクリストらしさが出ても、酸味が立ったり、クリーニング屋のようにあったかくなってしまったり、必ずどこか不抜けている。肝心のハバナっぽさが辛くて苦くてしかも嘘くさい。明らかに偽物ではないから、これが五番の特徴なのか、安く買って早々消費し尽くした感想はこんなもの。色々な余裕があれば少し評価が上がるかもしれないが、この箱にてハズレが多い事は確か。

 何故か今思うとアップマンマグナム50が美味しかった。高級ブランドで失敗するとそういうものの価値が上がってみえる。見えるだけでなく特別美味しいのではなかった記憶が特別美味しかった記憶に変わるとはどういう事だろう。
|--- ENE 10|129mm x 42|coh-hk|$109.65/25|算出:+1|香味:+1|

 一ヶ月を過ぎた頃から、ほぼ外れなく美味しかった。上段の13本が悉く吸い込み難だった所為もあるかもしれない。下段の12本は巻く人が代わったか、巻く気分でも変わったか、それほど吸い込みに難はなく。ペティコロナって練習生上がりの一番下手な人が巻いているか練習生そのものが巻いていそうだけれど。何故か上段はどれもバンドの部分だけがカチカチに詰っている。熟成過程でバンドが巻いてある部分だけがカチカチになるものなのか、バンドの部分だけカチカチに巻けるものなのか、わからない。
 味は総じてナッツに醤油をかけたような、美味しいのか美味しくないのかよくわからない味。味は濃い。
 以下、作者自身あまり興味はないが、とにかく覚え書き。

 環境の変化で死滅したのか、2本目以降9本目ぐらいまではひたすら不味かった。
 吸い込みは悪いが、一ヶ月も過ぎて10本目以降は普通に美味しい。マデューロ臭さも落ち着いて醤油っぽくなり、微かなココアっぽさに添えられる。ココアに醤油を入れたら不味いに違いないが、煙の事。
 美味い膨らみがないではないけれど、焼いたような香ばしさの方が勝っている。生葉巻を直火焼きした焼葉巻のような感覚で、バーベキューのように所々焦げて苦い。
 ブラインドでパンチだと当てるのは難しそうだが、パンチっぽい旨味だとは思う。
 終盤ではかなり甘い木犀が焦げた香ばしさの中にも漂う。更に進むと木犀が茎っぽくなり、雑味も増える。特別不味くなるのではないが、この減衰はプチコロナらしいといえばそう納得できる。
 「パンチ・マデューロ」とは命名されていないが、コイーバにマデューロシリーズがあるようにパンチにもこのマデューロがあるという印象は動かない。プチコロナであるばかりにヘコいマデューロ。
 二ヶ月も経つと大分落ち着いて、それでもパンチ止まりの美味しさなのだが、マデューロ臭さは若干の苦味を残しつつハバナのナッツを思わせる香味へと纏まりつつある。花も大分軽やかになって、随分香りが甘い。膨らみも出てきたし、程よく濃厚ではある。
 プチコロナとしては文句のない出来で、安くて濃厚な赤ワインが合う。

 インヘニオスにも似ているけれど、価格差を考えれば断然こっちの方が良い。価格差を考えない人でも団栗の背比べだと思う。特殊な香りならややインヘニオス、旨味ならこちら。どちらも良い香りでも良い旨味でもないけれど、不味いものではない。どちらもどちらかといえば美味しいような。

 19本目だけ+3だった。18本目までの特徴はほぼそのまま、ハバナっぽい美味い膨らみが出て、そのぶん欠点が薄くなっただけの事なのに、まるで別物。葉巻に求めるのは銘柄の個性よりも結局「ハバナっぽい」という事だけなのか。結局どの銘柄もハバナっぽくなければならないらしい。木犀が滅茶苦茶甘くて濃く、この銘柄特有の深い苦味が失せれば+4だった。全部この品質だったら一箱2.5万円ぐらいで文句は出ない。$109.65/25なので結局こんなところに落ち着いた。

2本目
 木をナッツの衣でこんがり揚げたような味わい。揚げ物のしつこさはなくむしろ木の爽やかさが感じられる。白い粉のような旨味を吹いた草。藁とか、農家系の味はしない。もっと森の雰囲気で、湿った土と木葉隠れの涼しさもある。昨日の1本目よりも落ち着きが出てきてつまらなくなっており、不味くはなっていないが、あんまりパンチっぽくないというか、今日もまたこの葉巻は本領発揮していないと思う。好みでいうと、マデューロっぽさと木質があまり良くない。コイーバのマデューロとサンクリストバルの掛け合わせみたい。旨味もハバナっぽさも濃くなりそうで、贅沢を言わなければ少し美味しい。
 ペティコロナらしい雑さがあるというべきか、普段使いとして気軽で飽きにくそう。長くも短くもなく美味しくも不味くもない。無難で使い道がなく、当たりをひたすら待つのに適している。当たった時にもきっと長くも短くもないのである。
 バンドの部分に火種がさしかかると強烈な雑味を発する。
(2本で飽きてしまったというかこの後ハズレが連発したので3本目以降の記述はない)
|6 × 52|AtlanticCigar|($99.99/20)|+1|+1|

1本目
 バンドの他にフット部分に紙が巻いてある。紙の匂いとラッパーの匂いが違っていて、紙の匂いが甘いクッキーのようで非常に良い。この紙に味に寄与する秘密でもあるのだろうか。
 着火すると、初めて飲んだ豆乳を思い出す、吃驚するほど不味い麦。昨日のマデューロと同じ。

2本目
 空吸いしているとウイスキーの風味が感じられる。10日ほど経って麦臭さは治まったものの、荒さと強さは消えていない。マデューロとの色の違いが出たのか、こちらは随分ハバナ寄り。序盤から木犀めいているし、辛味も荒さも似ている。
 スパイシーな木質で、古木の古びた落ち着きも無くはない。苦いエグ味がある。中盤早々、魂が抜けるように味が抜けるところもハズレのハバナに似ている。ハバナに似ているというかハズレのハバナに似ている。
 更に進むと復活して若干トリニダッドのようになり、熟れて鄙びた辷るような葉に薄いコクが掛かる。ロッキーパテルの中で一番難しい葉巻か。

4本目
 一本目はあまりにも麦臭くてかなり面食らったが、三ヶ月経ってほぼ完全に落ち着いた。それでも、これで四本目だが、まだ特徴がつかめない。
 麦がチョコに変わってきていて、荒さも落ち着き、ベガスロバイナに似たものになっているのだがハバナっぽさはない。麦チョコの柔らかく軽い旨味はあるもののかなり淡白な乾いた感触で、1992の特別湿ったような特徴はなく、それでいて1992と同じメーカーのものだなと思わせるようなところもなくはない。ボディは奇妙な軽さのある1992に比べるとかなりはっきりとしている。
 すぐに木犀が咲いてくるのでやはりハバナ寄りなのか、麦にはハバナの土に近づこうとして近づけなかったかのような挫折した印象もある。こんな事を書いていたらなんだか1992が妖しいままにハバナに近づいたような香味にも感じられてきて、これはこれでなかなか凄く妖しい葉巻なのかもしれない。吸い進めると霧のような湿り気も増してきたようだし、ロッキーパテルの高級銘柄は独特のエキゾチシズムを醸すものなのかもしれない。国単位のエキゾチシズムというよりは、別の国の湖という感じで、湖など何処の国にもあるものだから、遠い国と近い湖とが奇妙に融合している。
 この葉巻はどうも中盤早々エグ味を伴う苦味が増すが、今回はなんとか許容範囲に収まった。前半は+2、後半は0。悪くはないけれど、グタッと続く梅雨の土曜の夜中、明日も雨で何もできない、眠くもない、そういう時にしか吸えないような、トロだとそれでもキツく、ロブストで十分すぎると思う。
 マデューロとの近似は段々薄れてきている。
|6 × 52|AtlanticCigar|($99.99/20)|+3|+2|

 アトランティックの『ビルドAボックス』でロッキーパテル4種×5本=20本を詰め合わせて約100ドルで購入。1箱買うとdecadeは180ドル前後するし、1992やオールドワールドでも140ドル前後だから20本で100ドルはかなり安い。安さがどういう事を意味するのかわからないが、箱入りではないので箱が欲しい人には不向き。箱で届く気がしたのだが、そうではなくて少しだけ残念だった。当然なるべく高いモノを詰め合わせた。

1本目
 到着日早々。かなり爆裂な麦の風味で、マデューロの焦げて苦くて塩っぱいようなコクと、木を飴色になるまで煮たような味もする。ボディはミディアムよりも強い。しばらく経つと麦がやや褪せてスパイスとマロミと木犀まで出るが、そういうものが悉く麦臭くて嫌になる。

2本目
 到着後10日も経つと麦臭さが奥まってスパイスが出てきたような、大航海時代の胡椒のような雰囲気がなくはない。ある種の香辛料の甘さがあるけれど、香辛料に詳しくないのでなんなのかわからない。
 ロッキーパテルらしく葉巻という感じがほとんどしない薬膳のような不思議な香味がある。何か変なものを竜宮城か何処かで吸わされているような。鄙びた麦に加え、新鮮な草のようでもある。美味というのとは違う別世界の味がある。煙が多い方が美味しいはずなのだが、煙の量を少なく細く吸いたくなるような香味がある。終盤には揮発性のチョコのようなコクが出てきて、揮発性が内気なのであまり気にならない。
 マデューロで良い思いをした事はないけれど、マデューロっぽい苦味が巧く引き締めているような気もする。引き締めないほうが良かった気もする。
 麦が弱くなった分スパイスを感じるが、わざわざスパイスというほどでもない。何処かの国の主食のようなもので、変な主食があったものだなぁと嫌々ながらに感心している。
 藁とか麦とか干し草とか、そういう枯れた籾殻のような風味が嫌なのである。白米や小麦粉はなく殻なのだから。旨味がなければ香りで済むが、旨味があるのでいっそうそういうものを食している感じがする。それが1本目とは違って少しは穏やかで、少し奥床しい。苦味が燃え疲れた中盤頃に出てくる。

4本目
 今更だが、ラッパーはかなり薄くかなり黒い、やや赤みがかった黒。ヘッドのキャップは漆黒の葉で留めてある。
 フットに巻いてある紙に因るもののような気がしてならないのだが、新宿伊勢丹一階化粧品売場のようないい匂い。
 口当たりの軽い大量の煙が吹き出し、着火しても化粧品売場の香りが残って、大量の煙に紛れている。ラッパーに薄く巻いてあるのみらしくマデューロマデューロしていないが、また黒っぽい苦味などはあるものの、化粧品の中にマデューロが多少閃いている程度。化粧品は一方では洗剤に落ちそうだし、一方では花と舞いそうだが、安定して化粧品っぽさを保っている。
 過日の麦はすっかり何処かへ消えて、チョコなども薫らず、苦い微かな輪郭に華やかな静かなデパートの一階、たぶん閉店後の化粧品売場の、要するに真夜中の芝生に通じる化粧品売場とでもいうような、気分だけが刻々と変化する変化がある。実際に変化しているのは葉巻の方だが、気分だけが変化する落ち着きがある。化粧品売場をいつまでも徘徊していては変態だし、もっとも芝生に近づいて、化粧品が濃く舞う花のようにもなってきて、甘くもなってくる。
 更に進むと化粧品は仄かに薫るだけになり、花も失せるが、チョコのようなほっこりした風味が出てくる。微かに麦の風味も感じられてしまうかもしれない。
 購入から三ヶ月寝かせたからか過去四本中もっとも美味しく、全然香味が違っている。こういうものがあるとハバナのみに止まるわけにはいかなくなる。全体的にキメ細かい粉を吹く感触で、物足りなさはあるし最終盤には疲れてしまうが、春の夜の木陰のような憶えておきたい一品だった。
 消火しようと思っていると野原が焼けて再び大量となった煙とともに水のような化粧品が復帰してくる。火事の荒くれた苦味の所為か、化粧品が粉から化粧水の水に変わっている。
|MOA DIC 09|5 × 33|Cigars of Cuba|$199/25|0|+1|

 最近の経験からすると海外店舗で購入した葉巻は到着後5日〜30日ぐらいが一番不味い。到着日なんかはけっこう美味しく(どうも蔵出し直後の美味が完全には失せずに、それと旅の疲れとが笑えるぐらい混在しているらしい)、5日も経つと旅の疲れにまして環境の変化に耐えられないらしく、かなり弱る。復活に1年ぐらいかかる気がするほど不味くなるのだが、通説どおり大体30日で半ば美味しく復活するような。人体でもヨーロッパなんかに行ったら変になるのだから植物が変になるのは当たり前なのか。しかし茎と千切られた葉に生き物らしさが残っているのか不明だし、人間は意識の方が変になるのだろう。
 疲れの研究は兎も角、到着日の一本目。

 巻きはやや緩い。ボックスコードで一ヶ月違いだからか、先月到着のモンテNo.5に似て、温めた洗剤のような香味がある。この感じがモンテNo.5にあまりにも似ているのでコイーバというよりモンテを吸っているような気にさえなる。といってもモンテに似ているわけではなく先月到着のモンテNo.5に似ているだけだが。一口目は紛れもなくコイーバだったけれど、火種に温まるとこの葉巻が温かい馬鹿になってしまったような傾向が増す。
 香港で買えば二三日で届くので5日間は美味しいが、スイスだと八日かかるのでもう駄目なのかもしれない。

 5本パックで買った時にはクリーミーな蜂蜜を感じたものだが、これは焼いた皮のような(それでいてかろうじてコイーバらしい岩の)香ばしさばかりが荒く目立っている。荒野系のハバナにも少し似ている。この状態で吸ってしまうのは勿体無いが、ひと月経過する迄に5本ぐらい消費してしまうに決まっている。
 信憑性はないが、この工場のこの辺りの製造年月は避けたいような印象。巻きの緩さにも難があったのかもしれない。巻きが緩いと味が温かくなってしまう気がする、クリーニング屋のような風味に。形はトレペティコロナより断然好みだからエスキシトスの悪口はあまり言いたくなく、ハズレを引いたのであってほしい。

 と書き終えてみたら工場がMUAとMOAとで違った。あてにならない……。
|4 x 30|NextCigar|$21.25/10|重量:−1|算出:+5|香味:+3|

 八本吸ってみて最初の一本は美味しかったものの他は不味かったのだが、今回久しぶりに九本目を手に取ったら美味しかった。ドメインと同じ傾向。
 大雑把にいうと「プリトス・ドメインがダビドフ風」で「プリトス・クラシックがハバナ風」なのは変わりない。クラシックをハバナ風といってもハバナよりはダビドフに近い味がする。鰹節のような木が絶妙に朽ちて、レイデルムンド寄りのダビドフという感じの、乾いた荒野で強風に舞った土煙が目や鼻に入るような、それでいてかなり甘くて美味しいような味わい。荒野なのだが、どことなく緑も生えている。乾いているのに爽やかで、旨味も足りなくない。
 こんなものが丁寧に巨大化されたらと思うとアヴォの大物に目が行ってしまうし、本当にそんな巨大化が起こればダビドフの消費量を大分減らせるかもしれない。こんな小さいものは寝かしたくないが、寝かせて美味しくなるようなのだから仕方がない。買ってしまったら寝かせるべし。(前回の消すべき酷評記事は一応とっておくけれど、今回のが本領だと思う。)
 最終盤ではパルタガスのように芋と花との甘くて美味い混淆が見られる。葉の枯淡らしさも。ドメインも最終盤には芋の旨味が出てきたが、他の香味に因るのかこちらの芋の方が美味しく纏まった料理のよう。
 ヒューガルデン缶は小麦ビールの中でもかなり淡白で、ビールか発泡酒かといえば発泡酒っぽいのだが、この葉巻に良く合う。そういえばルシタニアスの時も小麦ビールを呑んでいた。
|4 x 30|NextCigar|$21.25/10|算出:+3|香味:+2|

 八本吸ってみて最初の一本は美味しかったものの他は不味かったのだが、久しぶりに吸ったら過去九本中一等おいしい。全部これなら文句なくマストアイテムなのだが、単なる当りなのか熟成によるものかわからない。軽々しい木の、しかも木から生えるはずのない松茸の生えた木で、上品な出汁がでて、えぐみも少なく、薄化粧のような甘味と香、程よい辛味が吸いごたえの確かさになってる。クラシックの土よりもドメインは木、それも湿った木で、松茸とも下駄箱ともいわれぬ特殊な風味に甘味がふんだんに乗っている。小さくて複雑すぎて落ち着きがないが、これならダビドフNo.3を忘れられるかもしれない。忘れようとしてかえって思い出すけれど。ガラリとした変化はないが、ほんのりと花が緩やかに濃くなり続けるのもよい。
 他の酒は試す暇がなかったが、カルヴァドスで互いの特徴を消さず、しかもえもいわれぬ芳香を醸して、二つで三種の香がした。熟れた果実のような煙も感じたが、カルヴァドスのせいかもしれない。美味しいセメダインのようでもある。

 なんて面倒な生きものだろう。葉巻が犬だったら「今日は可愛い」「明日は可愛くない」ということもないのに。人が巻いただけのことはある。小さいながらに変化はあって、最終盤では芋のような旨味を感じた。

忍者ブログ [PR]