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  源氏物語「葉」
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|AGR MAR 11|4 3/8 x 40|coh-hk|$62.05/12|算出:−1|香味:0|

 この箱の物をもう三本試してみたけれど、トリニダッドらしい優しげな杉の風情こそあるものの、やはり駄目な葉巻だ。小柄らしいといえばそうかもしれないのだが、トリニダッドだからこそこのサイズでこそ静かであってほしかった。レイジェスは喧しいだけで凝縮感もさらさらないトリニダッドであり、寝かせて静かになるタイプでもなさそうである。枯れるまで待てば静かになるはずだが、フンダドレス一本を三本に切ってしまえば済む話かもしれない。実際には二本にしかならないが、何故か三本という気がする。
 小柄らしさが似合わない香味である為、小柄らしからぬ調合を待つ。十二本に一本はそんな調合に当るはず。
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|3.62 x 22|NextCigar|$24.40/10|重量:−1|算出:+9|香味:+5|

 かれこれ四缶目のはずだが、相変わらず、依然、水母の脚が伸びるような美味しさに驚いてしまう。ミレニアムらしい燻し銀の恍惚感はさることながら、甘い匂いに腰が据わっている。味ではなく匂いが大変甘い。柳腰がこれでもかと膨らむほど美しく縊れている。まるでデブのように。
 ミレニアムの中でも一番良く出来ているというか、一等期待に満ちているというか、期待に於いてのみ既に期待が結実している。この極小サイズにも当たり外れはあるらしく、ただ十本に一本は確実に当たる。この一本で二千円だといわれても納得してしまうような。九本が不甲斐ないとしても余りある。
 白ワインはとても合う。
名状し難くえも云われず筆舌に尽くし難く比類がなく名状し難く筆舌に尽くし難くえも云われず比類がない。全く全き紛う方なき古き佳きものだ。キ印だ。煙っぽさのみを抽出するとこういう事になるかと思う。
|7 1/2 x 38|NextCigar|$168/10|重量:+1|算出:+5|香味:+4|

 羽毛の粉だった。柔らかさや軽さや優しさが極北に至り、冬に温かい。しかもその柔らかさや軽さや優しさが葉の香ばしさそのものである不思議。水のように純粋な葉に、ときどき松茸などを思い出すぐらいで、香味が変化したり他の香味が加わったりしない。「ダビドフに似ている」と沢山書いてきたけれど、ダビドフに似ているのはダビドフだけのよう。この序盤だけで十分で、次の一本もまた序盤は水であってほしいと思う。
 つまり木犀やバターが加わって、煩くはならないのだが、水を覆ってしまう。トリニダッドに似た杉もややあるか。
 コクはすっかり凪いでいるのだが、終盤では狂おしいほどの甘い匂いとスパイスが利いてくる。甘い匂いと同時にスパイスが利くのでまったく甘ったるくない。このスパイスの美味しい事といったら比類がない。
 しかし、葉っぱから羽毛が出るとは思っていたが、本当に出るとは思わなかった。

 初回のNo.2ほどの感動は結局永久に得られそうにないものの、爾後のNo.2の十数本よりもこのNo.1のほうがその記憶に近い。かつてNo.1を一度だけ試した()が、あれはハズレだった。ダビドフだからハズレない、という事はなく、当りのダビドフというものを待ちうるのである。今回のこれが標準だとして。
 ドローも美しく、灰のリングも美しい。「ドローの美」ってなんだか良い。ラギート1でのみドローは美しくなる。

 nextcigarではミレニアムロンズデールで酷い目に遭って()いるのだが、$40引きのクーポンに負けたのだった。$250以上買って$40引きなので、この箱の価格$200から$32引いて$168の計算にした。アメリカで買う価格と差はないが、送料が無料なのでこちらのほうが安くはなる。
|AGR MAR 11|4 3/8 x 40|coh-hk|$62.05/12|算出:−1|香味:0|

 正月は長い物が適しそうでそうでもないのでこんなちびっこを正月用に買った。これで来年の正月は気楽だろう。長い物を用意したりするとかえって気が重くなる。寝かせる気は毛頭ない。
 何故か出だしはダビドフのような松茸か下駄箱が香り、味がないのに強烈に辛くて強い。これまで二本シングル買いしているが、レイジェスはいつも荒々しい。シグロⅠも当たったためしがないし、毎回このサイズには見放されている。それでも中盤辺りでトリニダッドらしい健やかな凪を感じさせてくれるはず。
 ……ダビドフっぽかった松茸臭さがハバナ葉の香ばしさに変わっている。ついでに花も染み出ているが、依然辛くて強い。いつもこうだが、この葉巻はこういうものなのだろうか。
 やはり、バターと杉が覗き始めると辛味が減って煙が辷るような感触に変わる。花が鼻に沁みる。鼻が木になってしまったようである。辛味が消えて完全に辷る煙に変わっても、強さは減らない。
 美味しくなったのは中盤のほんの僅かの期間で、中盤から終盤に掛けてまた味気なくなり、辛味が復帰したまま終わる。松茸も復活した。トリニダッドのコクの薄さでこれだと、確かにトリニダッドではあるものの、何も良いところが無い。
 こういうものなのだろう。何なのだろう、あまり好きな葉巻ではないが、他に正月用として丁度良い物も無い。こういう事もあろうかと思い、ダビドフの各種プチコロナサイズを三本買っておいた。正月への執着は毎年ただならぬ。
|SMO JUN 11|4 4/5 x 50|coh-hk|$258.40/25|重量:0|算出:+6|香味:+4|

 コイーバのロブストを箱で買う行為は初めの閾だと思っていた。嘗て一本買ってみたのみで、あまり憶えていないが、滔々と記憶が蘇る。この完璧感は他では得ない。完璧な物などあるはずがないが、完璧感があるばかり。安く買ったが、特に難はない。
 シグロⅥを凝縮したもののよう。あまり古典的なコイーバという感じはせず、柔らかく、カフェオレのようにまろやかで、まだまだ弱すぎるが、三年寝かせれば欲しかった強みがきっと出る。ハバナっぽさというものがあまりなく、ハバナっぽさというよりもコイーバっぽさがある。要するに「岩」なのだが、カフェオレ味の岩に草が生えているにとどまっている。中盤以降、草が見えなくなるほどに花が咲くが、そこで草が雑味として微かに残る。それでも平気で美味しい。美味しい空気とか、美味しいコシヒカリとか、そういう当たり前の感じである。二年もあれば二十五本は無くなってしまいそうだが、三年後に十本は残したい。色々な意味で恥ずかしい算段だが。
 そうではないのだ。算段をしている場合ではなかったのだ。中盤から終盤に至るより早く、なんと花が乳白色のまろやかさを帯びる。なんたるコーティングだろう。その乳白色が珈琲の香ばしさを忘れないのだ。カフェオレなのである。なんたる非文学だろう。カフェオレなんかが出てくる書物がおもしろいはずがない。
 終盤は衰えた。
|LAG FEB 11|170mm x 43|coh-hk|$197.20/25|重量:+1|算出:+6|香味:+4|

 かなり独特で、珍しいほど苦い。ロバイナのファモソスよりも苦く、不機嫌な太々しいコクが黄色い芳香を塗り潰す筆圧を持っている。D4を一本買いしてこれに近い重圧を感じた事もあるが、この細みの不機嫌さの優しさはもっとわかりにくい。わかりやすく優しくはないが雑味も辛味も酸味も感じない。甘味もない。苦いが、どことなくまろやかで、穏やかで、ここにパルタガスらしい芋の風味をも感じるのだが、やはり画面は土よりも苦いカカオ色に塗り潰されている。ちょっと砂糖を入れてほしくなるほどである。曖昧ではないが、光の薄い絵である。醜い職人と、その職人の手になる美しい物とが一体化してしまったような、一瞬葉ではなく人を吸っている気になる。コクのある暗色で塗り潰された画面に花弁が厚い花が波のように押し寄せて明るい色を現したり暗く引いたりしている。この味で花が出てくるのが異様である。
 898は熟成させると強くなると聞いていたから、若いうちは軽いのかと思ったが、香味は既に重々しい。呑み込んでみると味よりも軽いが、確かに手強い物の味がする。
 到着日の一本目なので全身が尻尾である鰻の尻尾を掴むようなものだが、不敵な魅力に気圧される。重心が目眩がするほど低く、「マデューロ」なるものを簡単に尻目にかける。好き嫌いが割れそうではあるものの、一本試してみるのは面白い。たとえこれが嫌いでも誰もが五指に数えてしまうような。面白さにしてもインヘニオスを超えている。イメージがまるでそぐわないが、ゴーヤほどに苦い。
 飲み物は白シメイとオルヴァルがあったが、当然苦味を掛けてオルヴァルを選んだ。オルヴァルの苦味が増し、オルヴァルの渋みが増しただけで、葉巻は表情を変えない。吸う前から、呑む前から頭痛だった為、二重三重の苦味に疲れてしまった。あまり良い想い出になりそうにないのに、+4は付けねばならず、また、鏡に映して−4にしても差支えない。アタリなのに−4になるのだったらそれは凄いが、これはハズレなのかもしれない(他の方の記述を調べると「甘味」と「スパイス」がよく出てくるのに、それが無かった。他はほぼ同じらしい)。葉巻のほうは根元まで平然として疲れを見せなかった。最後の最後には頭痛が治ってしまったのである。
 モンテクリストNo.1(セルバンテス)より若干太くて長い(ダリア)。比較好きとしてはまったく同じサイズだったほうが嬉しいが。
|5 x 43|AtlanticCigar|$113/25|重量:−1|算出:+5|香味:+3|

 14本目にして漸く当たった。当たったのか約三ヶ月の熟成が必要だったのか判然としないが、たぶん三ヶ月が必要だったのである。プリトスも三ヶ月後に大変化けたし、今回のこれは漸くその化けたプリトスに追いついたという味である。化けたプリトスが美味しかったからこそこの箱を買ったのだが、この箱は13本目まではプリトス以下だった。
 微かに苦味のある、その苦味がまったく嫌味ではなく濃さに繋がって、木の芳香が充実している。木は果実を実らせるものだが、葉巻においては木が木を実らせる。しかもその木が綿のように柔らかい。実際には葉なので木ではないのだが、確かにただの木ではない。馬鹿の葉の木というか、馬鹿の木の葉というか。葉の木の馬鹿であろう。この馬鹿から、中盤辺りで花が咲くのである。馬鹿な花だ。馬鹿ほど優しいものもない。葉巻は馬鹿になりたい人のものなのだろう。では本物の馬鹿が葉巻を吸ったらどうなるか、それはわからない、自分の頭の事はわからない。他人の頭もよくわからない。
 ダビドフ風の松茸はあまり感じない。或いはダビドフよりも品質が良いような気がしなくもないのである。アヴォの‘クラシックは’ハバナの裾野のような穏やかさがあるので、富士山の裾野で富士に登るつもりもなく燻らせたらどんなに美味しいだろう。私は昔から富士山を見ると笑ってしまう。富士山があんまり馬鹿なので。
 三ヶ月以降、全部この手の当りになるのだったら早々分かり易いのだが、この事については残りの10本でおそらくほぼ完璧に確認できる。甘さや旨味の欠如も感じず、白湯スープめいた完璧なバランスを保っている。優しさはスープに小麦粉を溶いているのか。
|LOT MAY 10|4.5 x 36|cigarOne|$71/25|重量:−1|算出:+1|香味:+1|

 13本目。極めて豚小屋のように臭い。葉巻が臭いというよりも、フォンセカを巻く紙が臭く、葉巻はあまり臭くない。
 学生の部室のような、乾いた汗の芳香、その部室で玉蜀黍を喰っているような味がする。フォンセカに限らず、こういう味がする葉巻はあるのだが、海外の店舗で買って到着した日に燻らせた場合に感じ易い香味であるので、今回のこれはけっこう意外だった。「麦臭い」とか「干草が爆裂している」と言いたくなるのだが、これまでそういうものが非常に疲れた印象を齎していたのは、部活の疲労の所為だったのだと気付く。土っぽさも校庭の土でしかない。ハズレではあったが、発見でもあった。しかし「部活」というものはいつから始まったのだろう。日本文学に限らず訳書でも部活の話など読んだ事がない。文学者がボールを蹴るのはいかにも奇妙だが、「部活」と「文学」とが相反するというわけでもなさそうだし。
 こんなハズレも悪くないハズレで、この箱は今まで買った箱の中で一番全体的な満足度が高い。箱としては+4ぐらいになってしまう。
|EMA OCT 07 (19444/20000)|5.5 x 50|coh-hk|$198/10|重量:0|算出:+3|香味:+3|

 やはりとろける不思議な甘味がある。おそらくこの葉巻の美はこの甘味にしかない。
 本来なら嫌であるはずの「揮発性の木」が秘密に与しているらしい。ロバイナらしい土とチョコの混じった温かい味わいもあるが、脇役で、とろける甘味を抜群の相性を超える当然の相性をもって支えている。
 吸い込みはギリギリ許容範囲に収まる硬さ。レギュラー品ではクラシコスに一番近いと思う。吸い込みの硬さもあり、あまりパワフルではないが、序盤を過ぎると調子に乗ってくる。それでも穏やかに花が咲き、温かい味わいが少し膨らむぐらい。枯れてしまったのか、かなり優しいタイプで、優しいが、優しさを売り物にしていないらしく、優しさが中途半端である。
 終盤には辛味と苦味が微かに乗るものの、全てが丁度良くなる。
 とろける不思議な甘味は始終消えないが、序盤で一番目立っている。揮発性の木も同様。全て一本目と同じだと思う。美味しいが、もはや限界が見え始めた。こんなものをデイリーシガーにできるなら申し分ないけれど。

 シガーカッターを新調したため折角なので良い物を切りたく「とろける不思議な甘味」の検証を兼ねてみたが、結局「とろける不思議な甘味」でしかない。「不思議」というのは「悲しみ」と同じぐらい適当な方便だが。「適当な方便」というのも方便的に適当だけれど。要するに適切だと思っている。
 気になるシガーカッターが昔からあって、有名らしいのにレビューもあまり見つからず、自分で買ってしまうしかなかった。「関の刃」を大いに謳っているので切れ味に心配はなかったが(三島由紀夫の首を斬ったのも関の刃だ)、問題はリンゲージで、最近の太くなる傾向にそぐわず、50の仕様である。ベイーケ54をあてがってみたが、キャップ部分が微かに細いのでギリギリ切れそうというぐらい。54を54に切りたいというなら切れない。イムコロナの定価5250円の品物。
 ちなみに前代のカッター()の寿命は一年ぐらい(400本前後)だと思う。二年近く使ったけれど。約三倍の価格の物が三年もつかどうか。説明書には「構造上、研ぎ直しができません」と残念ながらしっかり書いてある。研ぎ直ししてくれそうな気がしていたが。メーカーが無理な事でもやってくれる人はきっと何処かにいるだろう。……半分も関係ないが、CDプレーヤーはメーカーや輸入代理店で修理してくれるのは十年までで、後は何処かのやってくれる人に頼むしかない。ティアック(エソテリック)は十年経つときっぱり打ち切りに処される。次に新品を買うとしたら永久的に直してくれるアキュフェーズ以外は怖くて買えない。

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