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  源氏物語「葉」
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|BME JUL 11|7 1/2 x 38|coh-hk|$215.90/25|重量:−1( 9.80g)|算出:+2|香味:+2|

 到着後一ヶ月、荒野感は消えていないが、やや豆に近づいている。重心は低くないが、ある種のモンテクリストらしいシャンプーの芳香が漂う。洗剤臭くはなく、むしろ美人が風呂に入っているらしきあの感覚だが、湯気の湿り気などは感じられない。それが花と入り交じり、なおかつ甘味と入り交じって杏仁豆腐やココナッツミルクのようなデザートの感覚もある。芳香が鼻から脳髄を通って顱頂から抜ける感覚は青緑色である。
 本当に味が変わってしまったのか、昔の濃密な土緑色のキャラメルという感じはよみがえらないが、これはこれで美味しい。
 終盤はハーシュになるが(どうして英語を雑えねばならないのか、しかし「ハーシュ」に該当する日本語は思いつかない。グラッシー(硝子かも)だのナッテー(渾名か)だのウッドィ(鈴木かも)だのアーシー(地球!)だのスパイシー(普通か)だのポプリー(これはなかなか良い)だのムーディー(これは葉巻の記述で読んだ事がない)だのというのはこそばゆさ以外の何ものでもない)、白い旨味なども生まれ全体に生き生きとしてきて美味しかった。「ハーシュ」については、「ハーシュノイズ」と言われる音を聞けば瞭然なのだが、キメ細かく柔らかいシャンパンの泡のようでもありただの雑味のようでもあるものである。
 変梃な経験値がものを言っているだけでこの葉巻は昔からこのような葉巻だったのかもしれない。
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|SAR MAR 12|5 1/2 x 54|cigarOne|$76/5|重量:+1(15.??g)|算出:+3|香味:+3|

 ここまで出来立ての葉巻を吸うのは初めて。出来立てというか、一番吸ってはいけない時期なのかもしれない。
 量った重量を忘れてしまったが、思いのほか軽い。そして味は昨日のコイーバに似ている。一口目は『おお、パルタガス」と思ったが、太さの所為か昨日とそっくりな部分が随分ある。
 サロモネスとルシタニアスの中間かなぁ。サロモネスほど大人しくなく、ルシタニアスほど旨くない。中間といっても悪いところを採った中間のようで、かといって悪いのもないし、なんだかたぶん既に飽きている味であるらしい。昨日のコイーバで飽きたのか、もっと早くに飽きていたのか、木犀であれ八角であれココナッツであれ色濃いが、なんだか平凡である。
 パルタガスが太くなっただけの味、というには、ルシタニアスの枯淡の風味もないし、プレシデンテの荒さや渋さもない。ペティ・コロナス・エスペシアレスのようにルシタニアスを小型化したようなものでは当然ないし、898のような突出した苦みもなく、なによりパルタガスにしては旨味が薄く、やや荒野感も出ている。悪くないので、本領でこの程度なのかもしれない。悪ければ期待もできるが。
 一番似ているのはD4かもしれないが、あんな意味不明な美味しさは放たない。
 というのが生後二ヶ月である。二ヶ月でキューバから一旦スイスに行って日本に来たのか。……この葉巻は実に疲れた様子かもしれない。
 ともあれ5本入は良い。中途半端な人の為に、もっと5本入ばかり生産してほしい。25本以上のボックス買いこそ本格的だし、一番楽しいのはシングル買いだが、5本入には何故か惹くものがある。
 中盤でハーシュノイズのようなものが音を上げる。ルシタニアスの終盤のようなものが中盤で来た。実にパルタガスらしくて頼もしいが、これが中盤で来て良いのか。太い所為で早産してしまったのだと思うが、芋風の旨味も増している。細身のserie du connaisseur No.1を廃止にしてこんなみっともない形の物を作った事に文句を言おうとしていたらこれである。太いだけで侮るわけにはいかない。
 一旦ノイズが消えて旨味だけが残るのは大物の馴初めか、これも昨夜のコイーバに似ている。
 パルタガスらしくなったものの、変化の時期が太さによって前後しているだけで、特別美点は感じなかった。パルタガスの中盤にパルタガスの終盤が来てほしい人には良いかもしれない。最々終盤は中盤にあった終盤が輪をかけて荒々しくなり、ここまで荒いのはパルタガスでも初めてである。それでいて面白く吸えるのだから凄い。
 しかしパルタガスがパルタガスらしいとはどういう事なのだろう。他の銘柄も同様の変化をするはずなのに、パルタガスの変化はそれらよりもわかりやすい。わかりにくい物が奥深いなどという事はありえない。
|MES AGO 11|6.5 × 56|cigarOne|$508/10|重量:+2(21.73g)|算出:+4|香味:+4|計:+10|

「はい隊長! 全く以て馬鹿げた、けしからん大きさであります!」
「わしはリンゲージ60だって吸った事があるのだからね」
「恐れ入ります、隊長!」

やめた。

 美しい外観を伴う巻きや粘りつくふうなドローは完璧でしかない。一服目からほとんど落ち着いている。透明感を感じるほど柔らかいが、葉っぱらしい香ばしさもしっかりある。花の香には八角のようなものがひらめいている。五分もすると、雑味が完全に消える。甘味は、淡い香が置き残していくよう。旨味もこれといって無くて淡く、全体がなにも突出させずに穏やかに纏まっている。が、時間をかけて2センチも進むとカカオ百パーセントのコクの風を纏った岩が来る。これが来るとこれは完全にコイーバである。恋の悩みも忘れてしまうだろう。これを毎日銜えていれば恋などせずにすむ。なるほどチョコレートのようなキャッチコピーだが、ほろ苦く甘いチョコというのとは全然違う。ほろ苦く甘いチョコでありながら。
 中盤は(まだ序盤のような気がするが)、八角が薄らいで、もともとはっきりとしないものが薄らいで、金木犀に変わる。極めて当りのロブストに近い味である。一服毎に違い、八角が戻ったり、ココナッツを薄めたような旨味を感じもする。四季折々めいたものが口の中で風を起こすとは、実に葉巻というものはミニマムではないか。
 段々序盤の味わいに戻っているかもしれない。
 或いは、酸味ではないが、酸味のようなものが立ってくる、ややも穏やかでない竜巻の雑味のように。この葉巻は中盤で死ぬのかもしれない。長く長い序盤が良すぎるだけに衰えは目立つ。吸い進まないだけに中盤で鬱積が現れるのかもしれない。もっとも、この夫婦はヨリを戻すのである。変化しているような事を書いているが、この葉巻は始終似通った味で、変化に乏しくもある。
 54と52に比べて明らかにコイーバっぽい味がする。
 灰は4センチほどになって故意に落とすまで一回目は落ちなかったので安心していた、2回目は3センチほどで自然に落ちた。「灰が落ちないのが良い葉巻」というのは全く信じていないが、思いのほか脆い。
 中盤で現れて消えた鬱積が、終盤でも現れる、当り前のような気がするが、終盤の初頭である。
 終盤の終盤は、ぴりりとした辛みが立つ。雑味とも受け取れる辛みだが、変化の妙を感じて炭酸のように心地よい。これでもまだエントレアクトぐらいは残っている。こうして死のような苦みが朗らに乗ってくるのである。

|算出:+4|香味:+4|が示す通り、これなら4000円払っても良いかな。コストパフォーマンスが良いとか、そういう事はない。まったく価格どおりの味。

 リンゲージ50ぐらいにカットすれば良い。すると、リンゲージ50のロブストを50にカットするようなものでなく、滑らかに膨らみ、口当たりは角ばっていない。つまり、50までしかカットできないカッターに差し込んで切断すればちょうど良いのであった。

AGOといわれても何月なのかわからない。メモ。この葉巻はまだ巻かれて9ヶ月だった。AGOとENEはわかりにくい。
ENE 1月
FEB 2月
MAR 3月
ABR 4月
MAY 5月
JUN 6月
JUL 7月
AGO 8月
SEP 9月
OCT 10月
NOV 11月
DIC 12月
|MGA NOV 10|4 x 48|puro-express|€97.50/12|重量:−1(9.55g)|算出:+6|香味:+4|

 最近荒野に取り憑かれていたから、これに荒野感がまったくないというだけで非常に美味しく感じる。赤ワインを邪魔しない。昨日のべガスロバイナの荒野は赤ワインを邪魔した。というかトリニダッドはどんな飲物をも邪魔しないらしい、このリミターダに於いても。
 木の小便臭さが褐色になるほど濃いところが違うが、杉が滑らかなバターの芳香を放ち、基本的にロブストエクストラに準じる。褐色感も酸味なくキレを増すばかりで、そういう嫌味のない優しい味だが、何だろう、あれの薫りがするが、あれが何なのか思い出せない。佃煮の中の山椒の粒を噛んだ時のような、だがもっと緑っぽいけざやかな色なのである(。それが特徴的に始終ずっと続く)。
 この葉巻の欠点は短さであり、よしそれを傑出とするなら、24本は必要だと思う。手軽に手に取ってしまいそうな短さだから、特別な強者でなくても一週間で無くしてしまうだろう。
 あんまり美味しいからか、短かさの所為で不要と思ったからか、灰を落とす行為を忘れてポロリとやってしまい、雑巾掛けする羽目になった。
 非常に美味しいのに、傑作ではないような。何故だろう。欠点がないというだけでは傑作にはならない。どんなに論理を駆使した文章も川端康成の文章には及ばないという感覚に近い。『水晶幻想』だけは大失敗だと思うのだが。
 案の定、特別な変化もなく最終盤に突入して美味が衰える。消火するまで、雑味が加わってまで、根元まで美味しいが、物足りなさが残る。
 私は酷評が好きではない、どうしてもっとこう美味しそうに書けないのか不審に思う。

 モンテクリスト2010はどうなのだろう。モンテクリスト2008で嫌になったが、トリニダッド2010とパルタガス2010がこれだけ美味しいとなるとモンテクリスト2010も気になる。2010が全て同傾向のリミターダならば、たとえ傑作でなくてもそれなりに楽しめるはず。全て皮だけを変えて中身を同ブランドの特徴的な高品質物と変えていないならば。何処をどう弄ったのかわからないが、バインダーをも変えているような変化率である。
 それにしても安く買った。今では40%増の価格になっている。あの投げ売りは何だったのだろう。

 ロブストエクストラが廃止というのは本当なのだろうか。あれを廃止にするとは思えないのだが。

|EMA OCT 07 (19444/20000)|5.5 x 50|coh-hk|$198/10|重量:0(12.33g)|算出:+1|香味:+2|

 温かい葉の薫り。一口目に緊張させ、二口目で安心させる味であるが、初めからやや荒野感もあるか。
 ムスクがなんなのかはわからないが、ムスクというのはこれだろうというようなムスクの薫りがある。
 ロバイナではない。どちらかといえば最近燻らせたハズレのモンテクリストエスペシャルに似て、ただこれにはハズレた感じがなく、ムスクが贅沢である。荒野感も乾きすぎず、やや湿潤なコクがある。ムスクで香付けしたロバイナペーストを荒野で包みました、とでもいうような、一粒300円以上のチョコの説明文がよぎるが、残念ながらあまりチョコっぽくもない。
 初回の「とろける甘味」など影だになく、それでも、乾いているのに花が芬々と匂うのである。しかも非常に優しく濃く匂う。この匂いは段々甘くなってくる。この場合、荒野が全てを台無しにしている。荒野を期待していれば良かったかもしれないが、まさかロバイナにチョコを期待しても荒野を期待するわけにはいかない。
 甘味は嗅覚にはあるが、味覚はまるで甘くなく段々乾ききってくる。
 一体何がこの一本を荒野に変えたのか、思い当たる節はいくつかあるが、まるで不明。
 巻きはこの上なく良い。
 ムスクが白木の芯のような黄金に変わる。竹取物語を思い出す。白木の芯が黄色く輝いている。すると荒野感が漉したようにこなれてもくる。
 悪い葉巻ではない。でもロバイナではない。
 最終盤での減衰は早かった。
|LOT JUL 10|4 4/5 x 50|coh-hk|$141.10/25|重量:0(13.42g)|算出:+3|香味:+2|

 約二週間空けて二本目。
 木が空気に変わるまでに丁寧に挽き続けたコク、土とも空気とも区別がつかない。コクのものとしての苦味が、或いは土のものとしてある。花なども来なくはないが、ミツバチが花に近づくというよりは、花がミツバチに近づくようで、この葉巻特有の群を抜くシンプルな静かさを毛羽立てたりはしない。甘さも、微かなハチミツが遥か昔に土に垂れたものだ。バニラは薫らないが、それのように柔い。カカオがバニラのようなのか。
 ああしかし、これを頻繁に味わうのはいかがなものか。これを忘れるほど毎日欠かさず別の葉巻を手に取るとしても、半年は他の煙とのみ戯れたい。半年は間隔を開けたい気がする。……
 すると一箱無くすのに十二年かかる。これぞ案の定、この葉巻は十年以上の熟成が推奨されていたりする。
|UBE SEP 11|4 4/5 x 50|coh-hk|$62.90/10|重量:0( 10.96g)|算出:+3|香味:+2|

 このサイズの重量は10.96gで好適らしい。好適の内の下限か。吸い込みさえ良ければ上限はないが、10.90〜12.10gぐらいが適当だと思う。
 前回よりも雑味が多いが、大体同じもの。甘さが弱い分、フルーツも充溢しない。葉の感じはあり、ロメオの葉の感じはこれはこれで独特だと思う。薄味なのにしっかりしているというか、けっして醤油が濃くて出汁が薄い関東と出汁が濃くて醤油が薄い関西とに喩えられない。出汁と醤油という二種の比率ではなく、一種の葉がまるで関西風なのである。出汁の味がするという意味でなく。(「出汁」という記述は日本の葉巻レビューでよく見るけれど、私は気分に固執するあまり、葉巻に鰹を見たくないらしい。)こんな括弧事を書いていたら雑味がまるで下手な出汁の雑味のように感じられてきた(出汁を採った後の鰹を噛んだようだ)が、そこを花が救ってくれた。
 関西というのは水々しいという事なのかもしれない。水々しい葉の感じがフルーツ感を増幅するのかもしれない。とはいえ新緑が水々しいのではなく枯葉が水々しいのだからなんとも言葉の選び方に窮するのである。しかもその水々しさは薄さをも意味し、かといって薄くはなくしっかりしている。こうも面倒になると、吉田健一に葉巻の批評をやらせたら良いと思う。死人に口無しだから、偉そうに命令できるが、あの文体は確かに煙い。煙たさの中にしか鮮やかさがない。それよりも、たとえば金沢を葉巻に近づけてしまった吉田健一よりも、葉巻を金沢に近づけてしまった吉田健一を読みたいのである。
 花がフルーツを呼ぶ。木から花が咲くのは納得できるが、花からフルーツが咲くのはなぜか納得できない。生きた植物ならそれこそ納得どころか当然であるのに、葉巻は死物なのか、花からフルーツが納得できず、その納得できない感が美味しい。花がフルーツになる葉巻は実に美味しくて珍か。
 ロメオには旨味がないが、ロメオは旨味の欠如を感じさせない。フルーツだから芋やナッツは不要なのである。こんな事を書いているとミルクっぽい旨味が香る。
 ワイン用の葡萄品種でいうとピノノワールのような物だろうか。何本飲んでもワインをほとんど知らない私は「フルボディ」と書かれたピノノワールに何度騙された事か。ピノノワールは全部「ライトボディ」という表記にしてほしい。騙し屋のピノノワールにしても最近憶えたのである。
 今日も、ピノノワールではないが、それに似たワイン(シャトー・カロン・サンジョルジュ・サンテミリオン 2007)に騙された。フルボディと書かれていたのに、ピノノワール的な軽やかさなのである(ピノノワールとは書かれていなかった)。ロメオに似ているワインがロメオに合うというわけでもない。単体で美味しい物同士を合わせてこその相性なのか。できれば葉巻単独で味わいたいが、雑味がある場合などは特に水では役不足で、美味しければ美味しいほど美味しい飲み物が欲しくなる。
ポゴレリチのピアノリサイタル。リストのピアノソナタロ短調で、一本ずつ弾かれて四本ほど弦が重なった時に、人の声が聞こえた。原理的には可能だろうけれど、不思議だった。まったく煙に通じない話だが。
|3 7/8 x 24|近所の煙草屋|¥1600/10|重量:−2|算出:+5|香味:+3|

 購入して加湿して二週間が経つ。クラブにしても開封直後の一本目が一番美味しい事がままあり、加湿で美味しくなるという常識さえ信憑性を疑っているのだが(長期熟成は別として)、一本目は乾いているのか乾ききった味がしてそっけなかった。舌が肥えただけかと思っていたが。……
 この2本目はコイーバのパナテラ風の皮(焼き立て珈琲豆、岩)にロバイナの中身を足したような、カカオの深くてほろ苦い風味まで絡まる逸品だった。これ以上ないほどの葉巻の皮の香ばしさに、香ばしさそのままの濃厚なコク。これがこれならパナテラやEL2011を買う必要がまるでない。
 クラブに当りがあるとはどういう事なのだろう。
 「ああ、クラブには時々美味しい葉が混ざるよ、考えてもごらん、当り前じゃないか」と巻く機械が喋っていた。

 小さすぎて扱い難さがあるので+3にしたが、香味はもっと上質だった。香味のうち70%ぐらいが最上級の葉を砕いた感じというか。30%の混じりけがあったかというと、まあわからないがあった気がする。細いだけにラッパーの比率が高いから、ラッパーが当ったのかもしれない。コイーバのラッパーが当ったら、不味い訳がない。フィラーが足を引っ張る事もない。
|SEP FEB 11|4 1/2 x 26|coh-hk|$101.15/25|重量:−2( 2.55g)|算出:+7|香味:+4|

 挽きたての豆の太く濃い香ばしさに極細の甘味と旨味、このサイズの美徳を完全に備えている。細さは終盤で八角に近づきつつ膨らんでいく。膨らみきって弾ける事なく終わる。ニジンスキーの跳躍の原理か、天空に消えるようで、お昼にぴったり。就寝前なら最終盤は凋んでしまわねばならない。

 前回のエスペシャルの話だと一番難しい年頃のはずだが。久しぶりに晴れた昼だから良かったのか、細いから一週間で十分だったのか、掴みきれないほどの色々な要因が重畳作用するにしても、結局のところ単純に当り外れの方が大きいのではないかと改めて思う。

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