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  源氏物語「葉」
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|BME JUL 11|7 1/2 x 38|coh-hk|$215.90/25|重量:( 9.35g)|算出:+6|香味:+4|

 初期に一本買いした一本の想い出には及ばず、粘り着くキャラメルのような葉の強さが感じられないが、微かに青緑ではあり、終盤に至って見事に変化する。植物化した小学生の口臭が近づいてきたと思うと、徐々に花が咲き始め、最後には「これが花なのだな」と思う。今まで偽物の花を嗅いでいたのだ。
 口はまったく甘くないが、鼻が見事に甘い。鼻が沙羅双樹になってぽたりと顔から落ちてしまいそうである。これで序盤が見事なキャラメルだったらと思うと別の箱に異様な期待を寄せてしまう。
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|TAU JUN 11|166mm x 52|シガーオンライン|$490/10|重量:+1( 17.43g)|算出:0|香味:+2|

 三本目にして気付いたが、箱の右三本がオスクーロ寄りの黒さ。左の物と全然色が違い、右に惹かれたが、左の物を一本取る。約半年ぶり。熟成の妙味に期待して、今後は一年間隔にしようと思う。
 最初からしばらくコイーバの味がしない。
 巻きの関係にも因るのかもしれないが、思い切り吸うとちゃんとギャングが吸う葉巻の味になる(イメージ)。
 熟成させた枯芝というような味である。にもかかわらず緑だった頃の記憶も宿している。強く吸うと強さとともにきちんとした味が出る。でなければELにありがちな水で薄めたようなふやけた葉巻のままである。
 冒険でこのような調合にしているという感じがしないのは、どのELも似ているからだろう。この水で薄めたような葉っぱは何なのだろう。冒険なら許せるのだし、強く吸えば良いのだが。
 その水はカスタードや香水で微かに色付いている。
 岩が水に流れている、というと水流がとても強い土木流のようだが、清流で、岩はちゃんとした岩であり黒ずんでさえいる。中盤からどんどんコイーバらしくなってくる。やはり、シグロ6やロブストのようなまろやかなカフェオレタイプではなく、パナテラタイプのハードな味。ハードといえば最初からハードだったのだが、その外貌と中身の水に中身が加わってくる。苦みばしったカフェオレが加わってくるような。但し苦味はない。
 吸い込みを加減しなければならないとしたら、ちょっとばかり上級者向きという事になるのかもしれない。だがせっかちな初心者向きともいえる。
 特別美味しい葉巻という感じはまったくない。「良い酒は水に似る」と云うように、水っぽさに葉巻の高級感を感じうるなら私が間違えているのだが。
 ところがカスタードに水という組み合わせが変ではあった。そんな変なものが美味しくならないわけがなかったのである。これは飲み物やケーキでは得難い魅力で、同時に花も咲く。ただこの美味しさは一瞬だけだった。
 葉の味わいに、紅茶っぽさが出たりする。ダージリンの渋さを伴う。この美味しさも一瞬だけで、この葉巻は時々一口スプーンサイズで完結する葉巻なのである。
 ハズレという感じではないし、おもしろくはある。
 三種類ぐらいの一口が入れ替わり訪れる。もっともその間にそれぞれ物足りない二口三口が加わるのである。
 黒岩にカフェオレ
 水
 水
 カスタード水に花
 水
 焼き香水
 水
 紅茶に砂糖黍に焚火
 水
 水
という具合である。
 残六センチぐらいで完全に衰える。水は終盤には弱く痛みやすい。雑味も水のように透き通っているのだが、瑕だらけの水晶である。
|MLO DIC 11 (2022/4000)|7 1/5 (182mm) x 50|cigarOne|$247/10|重量:+2( 18.24g)|算出:+1|香味:+2|

 ERでも一筋縄にはいかない。サンクリストバル(またはべガスロバイナ)によくあるような、揮発性の木のエグミが出た。こういうエグミは寝かせて消えるものなのだろうか。十年もあれば消えそうな気がする。十年など無いに等しいが、クローゼットの中を調べたら九年寝かせた『十年熟成麦酒』が出てきた。
|GKI NOV 04|4.9 x 50|coh-hk|($98/5→$0)|重量:+0(11.15g)|算出:+7|香味:+5|

モンテ  13.12g
オヨー  13.86g
コイバ  12.06g
パルタ  12.77g
ロメオ  11.15g
 ロメオというブランドはわざと緩く巻いているように思えなくもない。ショートチャーチルを量っても12.00gどころか11.00gを上った事がない。ロブストを巻くのはたぶん中級ローラーだから、中級にそのような芸当ができればだが、初級でもできるかもしれないし、それは馬鹿な事で、そんな馬鹿な事をする人はいないかもしれない。でも、馬鹿ではないと思う。ロメオは吸い込みが軽くなくてはならないのかもしれない。
 ビニールの梱包に因って照ラ照ラした赤褐色のようなラッパーが先ず目を引き、着火すると昨日のパルタガスの嫌な重々しさと似た香味であるのにどことなく軽やかである。1センチも進むと重さは消える。まさにロメオ特有のフルーツの甘さが充実してくるが早いかカスタードが加わると伝説のポポーという果物はこんな味わいかと思う。ポポーと云う果実は最近テレビで知ったのだが、「森のアイスクリーム」とも云われ、昔は八百屋で売っていたそうだが今や売られず、ほぼこのように伝説と化し、食べたい人は自家栽培しなければならない。葉巻は木の葉のようなものでもあるから、ロメオはポポーに近いと思う。
 でもロメオは箱で買うと飽きやすいブランドである。だからこういうセレクションボックスに入っていても一番不味そうで後回しにしてしまったが、一本だと一本以上に美味しく感じるのである。
 食した事なきあまりのポポー感ゆえ、新鮮すぎて、八年の熟成で枯れたなどという感じはまったくせず、むしろ実った、もともと幽かに枯れた味わいのものが今頃実った。マンゴーは香木の味わいがするが、このポポーはそんなに抹香臭くもない。まさに食べ頃なのである。
 ただ、この特殊な果実感をもってしてもコイーバとモンテクリストの双璧には太刀打ちできないようではある。だがここまで結実すると流石の双璧も揺らぐ。終盤近くなると果実に花が揺らぐのである。その揺らぎに双璧が揺らぐ。ハバナでは珍しいダビドフ状の恍惚感である。
 根元まで雑味も荒さもなく、空気を吸っているような底知れぬ安心感で、只管軽やかで充実して美味しかった。これ以上のものは私の想像力ではロメオにはもう期待しえない。
 オヨーもかなり出来が良かったが、双璧を揺らがせるほどではなかった。オヨーよりも双璧の方が出来が悪かったとしても。

 どうも季節外にて半額で購入したボジョレーヴィラージュも気付かないようなポリフォニーの美味を奏しているらしい。
 予想以上に嬉し美味しい小箱だった。売れ残ってくれて有り難い。余裕ができればもうひと箱購入したい。それからピラミデを二箱。こういう小箱は女性的でおもしろい。ロメオが五本でも良いが、五本では不味くなるかもしれず、三本が良い。ロメオ三本、コイーバ一本、モンテ一本。しかし此処にこそパルタガスとオヨーの効力が陰ながら効いてくるのだと思う。そう思うと陰の美味しさも確かに捨て難かった。
 ロメオだけ薬箱のような感じがほとんどなく、幽かにしかなかった。
|GKI NOV 04|4.9 x 50|coh-hk|($98/5→$0)|重量:+0(12.77g)|算出:+3|香味:+3|

 D4のバンドが巻いてある。
 通常のD4より明らかにマデューロ寄りで、染みた味わいがあり、強い感じがする。経年の淡さも無くはないものの、衰えをほとんど感じず、マデューロが煩いが、これでこそ美味く熟成したという感じがする。
 それにしても濃い。マデューロ寄りのあまり好みではない味。経験上のD4とはまったくの別物。
 底にたっぷりのカスタードと、染みから花が生えている。プリンの上下を逆にし、そこに花の生えた、変梃な植木鉢である。
 後は他の事に気を取られた、他の事に気を取られる程度だったと思う。
|5 1/8" x 52|seriouscigars|$16.50|重量:+1(14.92g)|算出:+5|香味:+4|

 非常に火点きが悪い。まるで水を焼くが如く。紙巻煙草の先っぽに蛇玉が仕込まれている事もあるぐらいだから、先っぽが水である事もあるだろう。重量がコロンブスだから海水が混じったか。(後々まで何度も着火し直した。)
 松茸をぱりっと硬く巻いたシナモン揚げパンのよう。確かにプーロドーロの味であり、magnificosは太さゆえ色々な葉を加えている気がしないではないが、「個体差」と「太さに因る吸い込み加減の変化に因る味わいの変化」のほうが大きいかもしれず、達人でなければ解析不能である。簡単に言ってしまうと「いつもよりも美味しいプーロドーロ」なのである。
 ハバナに憧れて作られる非ハバナは沢山あるようだけれど、ドミニカンダビドフに憧れて作られる非ハバナというのはありそうもない、しかしこれは憧れるべきであるような非ハバナがめざした果ての味がする。ソファに寝そべって薫らせたらどんなに美味しいだろうと思うが、今は寝そべる時でない。いつか寝そべってみたいと思う。家がプラネタリウムになる事請合いなのである。
 粉びきの葉のようなコク、煙の感触は茶色い抹茶で、抹茶の香味はない代わりにほうじ茶のような香味がある。簡単に言うと「ほうじ茶を抹茶のように挽いた」である。モノクロかセピア色のカレー屋のような香も。
 途中からはっきりと出てくる辛味が超絶的に細かい。甘さも程よくあるし、香に傾きがちなダビドフにあって精妙なバランスを保って、時々カスタードが膨らんで旨味が出る、それがハバナのカスタードと違ってまったく諄くないのはダビドフの中でも群を抜く香辛料の強さのお陰だと思う。エキゾチックだが何処のエキゾか分からない、足場確かにして恍惚感が若干ある。星座はよほどスキゾ+パラノでなければ結びえなかったろうと思う。そうなのである、わたしは先程から少し宇宙を見てしまっている。
 更にはっきりと甘くなる。カスタードが諄いほど濃くなる。だがどんなに諄くても諄くない。
 此処から残6センチで一気に衰える。また復活するが、このダビドフにハバナのような終盤の荒さは要らない。要らないといってもなかなか美味しいままなのだから瑕を塞ぐ玉のままである。そしてハバナ以上のニコチン酔いを残して終了する。だが終了しない、まだ4センチもあるのである。後は気持ち悪さとの戦いであった。人によっては更に此処からが勝負なのかもしれないが、残三センチで負けてしまった。
 直近のセレクションロブストスの三本と比べて大分煙に意識を持っていかれた。そのぶん安心感はなかった。
 相変わらず灰は荒い。

 正月の名残でかなり高級なパイナップル香の強い大吟醸酒を併せていて、それが功を奏したのか分からないが、振り子の美味しさだった気がする。
|GKI NOV 04|4.9 x 50|coh-hk|($98/5→$0)|重量:+0(12.06g)|算出:+4|香味:+4|

 通常のコイーバ・ロブストと比べるとラッパーの色も質感も違い、並べてみると通常のロブストの若物は黄色く青ざめ血色が薄く日本人の死体のような色をしている。どちらが良いのか分からない、兎に角そういう色をしている。
 五本に統一感を持たせるために同じ葉を使ったかのように香味が共通している。コイーバであるよりも先ず薬箱であるような。同じ箱の中で保管されたからか、若しくは経年により個性が削がれたか。コイーバのまろやかな諄さもあまりなく、心地よい辛味が効いている。ややカスタードが出かかったが、それも収まり、ほとんど何も加えずに基本的な味わいの濃淡の変化のみで進む。それが抜群に美味しい。
 無駄を削ぎ落したコイーバで、淡く強い。角の立つ要素がなく、これこそ枯れた味わいなのか、コイーバの個性まで削ぎ落しているかのようなのに、抜群に基本が美味しいのである。抜群なのだからやはりコイーバ味も効いているのだとは思う。花も出そうになって引っ込む。だが引っ込んだ要素の悉くは引っ込み過ぎはせず、淡さの多層となって味わいに与しているらしい。月暈(月の周りに見える円形の虹)のような。
 後半に入るとざる蕎麦のざるのように味が割れ、ざるの味がし、薬箱の風味が目立つようになる。それも間もなくざるの隙間に水の膜が張られて塞がる。そして何故かざるのように吸い込みが良くなるのである。もともと絶妙の吸い込みだったが、空気の通りが更に絶妙な変化をもたらしてくれる。淡い荒々しさが出る。
 ……その後、本当の淡さに至る。

 口の中で煙が膨張する感じはほとんどなかった。これがなければ+5にはならないようだ。この点でヴィンテージ物は私の点数制度に於いては不利だけれど、+4は軽い。もっともヴィンテージだから良いというだけのものでなく、元も良いのだと思う。
 まだ二本残しているが、思いのほか素晴らしく、どれも根元まで無理なく消え、今度はピラミデボックスを切に買いたいと思う。

※ $98/5本だが、コイーバは慣例倍価格であるため、$98/6本≒16×2=$32で算出した。
※ 最終盤の最終盤を火傷覚悟で無理に吸っていたらカレー屋の香がほとんどはっきりと聞こえた。
|GKI NOV 04|4.9 x 50|coh-hk|($98/5→$0)|重量:+0(13.86g)|算出:+5|香味:+4|

 昨夜に続き、これも巻きが堅く、また同じく空吸いしていると薬箱。
 ラッパーは5本中一番黒い。
 着火してもやはり同じく古き佳き味がするが、コロラドマデューロのマデューロっぽさが堅く有ってしまう気がする。醤油の染みのような感じ。雰囲気は昨日のモンテに驚くほど似ている。
 だがもっと、青緑の霧に遮られずに花や緑やカスタードなどがはっきり濃くなってくる。そして醤油の染み、醤油の染みが消える訳がない、だからクリーニング屋にもいかない、同じ一室に留まるような風体を見せる。
 淡さは遮られ、強くなり出す。平凡の高級品か、ぐっすりよく寝た葉巻の元気さという感じである。これでもかと迫り出しそうなのに、未だにホヨーに惹かれた事がない。と、一口、黒いまでに木に染み付いた花の染みが香り出す。それが一口だけで、次にはそれをカスタードが和らげる、だが醤油の染みは消えない。きわどい変化の妙も美味しい。けれど、「青緑」や「岩」というような独特の魅力にはずっと欠けるのである。
 欠け尽くした素朴さが良い人には良いのに違いないが、私は以前ホヨーに「赤十字」という独特のものを与えたにもかかわらず、ここではそれさえ醤油に遮られている。各醸造所の醤油を嘗め比べるのが好きであるにもかかわらず、ここの醤油はいっそクリーニング屋に出してしまいたいような醤油なのである。こうして文句を書き連ねそうになっていると、甘美な柔らかすぎるような甘さが来た。
 だが醤油は消えない、柔らかすぎるものが一口で終ってしまう。小さい雲の影のように美味しさがよぎる。美味しさがかえって危険を孕んで、陽光を欲する寒空の下にあって雲の下の方が美味しいのである。太陽が嫌いなのかと錯覚してしまう。木漏れ日が暖かく差す事がない。要するに、薄陽が美味しいのだろうか。つまり始終美味しいのだろうか。たまに一口美味しすぎるようになると、薄陽が怖いのだろうか。確かにそうらしく、美味しいに違いなく、終盤に至っては葉の滋味深ささえ感じるが、「青緑」や「岩」の分かり易さはない。それはないが、出来の良さでは昨日よりこちらが上ではないかとも思う。偶然稀に美味く巻かれ、丁度美味しく熟成した葉巻という感じがする。なんだか達観の葉巻である。というのも、これだけ文句を書かせておきながら、終盤筆舌に尽くし難く、「純粋な葉巻」というものがもしあれば、この滋味深いまろやかな荒々しさの事であるかと思われた。荒くなってこそ静かだったのである。しかも実は、終盤ではなく後半だったのである。終盤といえば残り三割ぐらいなのに、残りは五割だったのである。大体焦り症の私などは中盤を終盤と言っている事がよくある。
 クラシカルな雰囲気でこういう美味しい物を外れなく巻けるなら、燃え尽きないほど葉巻を買おうとも思う。たったの一本で判断せざるをえないが、セレクションをもう一箱買っても大ハズレはしないと思う、したがってレギュラー物は故意にハズレを巻いている事になる。しかも故意に二十五本の中に一本だけ当りを仕込んでいそうという事にもなるのである。本当にそんな芸当が可能なのか分からないが、ハバノスにはそうやって葉を分配する目利きが居るらしいのである、夢のような話だが。しかし日本酒だって全てが大吟醸酒であるのではないのである、これと同じような事だろうか。当り外れというより、大吟醸葉というものぐらいなら作ろうと思って作れるのか。しかしレギュラー本醸造酒に稀に大吟醸が紛れるのはどういう訳なのだろう。最後にふと赤十字の香がした。ビオフェルミンのような。
|GKI NOV 04|4.9 x 50|coh-hk|($98/5→$0)|重量:+0(13.12g)|算出:+5|香味:+4|

 コイーバ、モンテ、オヨー、ロメオ、パルタガスのロブストがそれぞれ1本、計5本入っている特別仕様のボックスで、八年も前の物なのに各所で売れ残っているらしく、これも400ドル以上購入しての特典で貰った物である。
 蓋を開けると細長い加湿器が付いていて黴びているが、ハバノスの計らいか販売店の計らいか、一本一本がビニールに包まれているため黴の浸食はない。
 モンテを最後にとっておくような気がしたが、正月二日だったので一番にモンテを取り出した。とりわけモンテクリストのレギュラーラインにはロブストが無いためにこれは貴重なのである。
 空吸いすると薬箱の味。吸い込みは難すぎる。
 着火して一口半でモンテの芳香が整う。三口目ではやモンテの当り、No.1に枯淡の濃い風味を足したような、加えてロブストの利をこれでもかと活かしたような複雑さが出る。土がNo.シリーズらしい強さを持ち、また八年物の淡さが羽毛の感触を醸し出して、モンテのERという存在しないものの感触に似ている。味が濃いようであまり濃くないのは吸い込みの難さの所為もあるかもしれないが、老齢と上質上品さの賜物のよう。クラシックタイプのモンテクリストで当ると、この独特の青緑はコイーバ独特の岩とともに双璧感となって現れる。
 不思議な青緑、時々何処からともなく垂れてくる甘さ、土・キャラメル、ハッカ・ニッキ、枯葉・藁、他に床屋などが嫌味なく隠滅す。焼き立て珈琲豆の焼き立ての部分の香味がするのは葉が燃えている温かさからか、珈琲の味はしないが、珈琲の後味のようなべっ甲飴が感じられる事もある。
 終盤は若干吸い込みも改善されて花も咲くやと思わせる。実際にはっきりと咲いたのは二口ぐらいであった。
 甘さの奥にカスタードを秘めていた事を明かすのは平凡なカスタードにして最良の演出だった。もっともこのカスタードも一口現れてまた奥に引っ込んでしまったのである。
 久しぶりに「佳いハバナシガー」を吸い込んだ気がする。枯れ過ぎかもしれないし、吸い込みも悪かったが、問答無用の美味しさ。
|EMA OCT 07 (19444/20000)|5.5 x 50|coh-hk|$198/10|重量:+1(14.59g)|算出:+5|香味:+4|

 なんだかほっとする味わい。淡くて味わい深い。ハバナ葉らしい藁の風味にほんのり薄くチョコがかかっている。……いつでも怖れずに手に取れる優しさなのだが、これが実は高級品なのである。貧乏人は怖れてばかりいなければならないのかと今日は思う。最近強い物を吸って食傷気味になっていたため—強い物を吸ったからって葉巻の他に良い事が起こる訳もなく—、尚且つ今年最後の一本となりそうなので、慎重に選んだが、結局静かすぎる物を選んだが、静かさが悪いはずがなく、正解でしかなかった。最初の一口で大正解だと知った。奥からバナナのような浮遊感が吹いてくる。ドラえもんの道具のように、葉巻の筒の向こうにキューバ以上のキューバがあって、その国の空気を筒を通して丸ごと吸っている。あちら側のただの空気だが、何故か丸ごとなのである。筒とか洞窟というものは元来こういうものである。間もなく来年というものへの不思議なトンネルを抜けるというのに濃厚である必要はない。
 花がキュンと染みてくる。おそらく木に花のエキスが染み込んでいるのだが、何故か恋情のように沁みてくる。するとふわっと真夏の分厚い空気に包まれる。放蕩に、染みを覆い尽くすほどのロバイナ農場の匂いである。分厚いが軽い、不思議な感触のチョコ。
 甘さは序盤からまるで呼吸のように出たり入ったりしている。大きな変化の中で、一つだけ1212の変化を繰り返している。かと思えば灰も縞馬色だった。甘さと灰の色に何か関係があるのだろうか。
 後は割と平凡な変化しかしないが、常に淡さ静かさが優っている。長々とした後半は、何か他の物事をしながらすいすい進む。したがって辛味の効く最終盤は只管心地よい。そこでもまだ静かなのである。まるで肌理細かなシャンパンのような薄いスタウト麦酒だった。

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