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|knokke|€13.9/1+¥750=¥2500|2020/3/9・arr 4/9|
|―|5.12’ x 52|重量:14.04g|香:3.7-4.3 ave4.1|残0|
藁の醤油漬が半乾きしたような毛並の馬でした。この馬を馬が食べたら相当なご馳走でしょうね。で、馬に似た葉巻を吸わせたんですよ。パルタガス・マデューロ No.1です。何しろ今日のお客さんは馬だったんですから。業界長くやっていると、さもありなん、と言ったところなのです。お馬さんですが、初っ端から濃い味付けの藁をパクパク美味しそうに頬張っていましてね。ぼくが「ははぁ」と思っていると「ひひぃん」と言いました。まあ「味が濃くてウメぇ」と牛のようにいうところですよ。僕はこの葉巻の味は聞き知っているだけなのですが(今回も一本しか仕入れませんでしたので)、やっぱりかなり濃かったみたいですね。黒糖を塗りたくった麩菓子の醤油味みたいな物を連想させる香りが店中に回っていました。甘さは黒糖より控えめらしいですが、しっかり甘さとして感じられるよヒヒん。黒糖の田舎っぽい風味もありましたし、馬には最高の御馳走ですよね。馬の頭の中の黄土色の藁も茶色く美味しくなっていましたが、現に茶色いそれが、頭の中では緑化したようでした。馬の気持ちを悟るのは、人間相手のそれよりは難しいのですけれどね。緑色の過去、記憶というのは過去の方が新鮮なものです。過去のほうが若かったからですかね。で、やっぱり緑も醤油と黒糖でたっぷり塗られて、現在と過去のいいとこ取りで、ご満悦なんです。珍しいぐらい重厚な白ワインが入りましたので、馬にアルコールも与えました。そうするとね、急に春満開のように金木犀や菊なんかが季節に関係なく廻るんです。駆ける気分ですね。そして芋掘り、子供たちが畑で芋掘りしているのが馬の目に映る。
まだ馬の耳に念仏を2センチしか唱えていなかったんですよ。この間、ようよう馬が葉巻を2センチ焼尽したということで、先は長いですね、はじめ濃いから、長く感じられるのかもしれません、馬にも。恋も、初めは一生モノのように永く感じられませんでしたか? それと同じですかね。
昔コイーバのマデューロを別の馬に喰わせた時も同じだったのですが、どうも次第次第に煮詰めた苺などの果実に気付くらしいのですね。醤油とか、花とか、そういう物が収まって、かと言って収まっておらず、煮詰めた苺に収斂していくと言いますか。そうすると何故かバターやカスタードや蜂蜜を塗った香ばしいパンに苺ジャムまで塗ったような、豪華なパフェのような朝食が訪れるんです。デザートではないのですね、朝ですから、朝だからパンなんです。馬も人間と同じですよ。つまらない藁ばかり与える人間が悪いだけなんです。
ものすごくカスタードが膨らんで、その膨らみに胡椒をかけるのがお好きみたいです、お馬さん。現代の前衛パティシエに通ずるところがありますな。ものすごく高貴なお馬さんですよ。完全に貴族ですね。貴族は農園も持っています。貴族の朝食は豊穣ですよ。お馬さんが店に訪れたのは深夜でしたけれど。
灰がプヒッと4センチぐらいで落下しましたっけ。ずいぶん長い時間に感じましたのにまだ1回目の落下なのか、とそれをもう虚ろに眺めていました。副流煙だけで鱈腹でしたから。
突然俄雨で土が湿りましてね、頭の中で元気に店を泥で汚していましたよ。あれはもう汚れではないです。元気の証で、そこにレモンを絞った。するとレモンの花が泥から顔を出す。エニシダかもしれないです、人間界で言ったらあれは香り高くも毒物なのですが。エニシダって、金木犀の蜜とレモンの蜜を混醸したような爽やかな濃密な香気芬々としますよね。ちょうど今頃外では咲いているはずですよ。
中頃から、馬もお疲れになったようで、放心のていで煙を吐き出していました。ちょっと茶味がかったコーンフレークぐらいのものでしたかね。それと珈琲の苦味。
なんか葉巻の中からパチパチと爆ぜる音が3回4回5回と聞こえました。ドンパチというお菓子を舐めたみたいに。馬頭が吹っ飛ぶんじゃないかと心配したんです。馬頭琴の音色だったら甘美なのですけれど、静電気が爆ぜる音のようでありました。馬と僕が脳の電気で通じているんでしょうかね。最後は滋味深くおいしい馬肉のようなお馬さんになっていましたね。去り際、素晴らしい蹄の音でした。ぱかぱかと。花を残して行って仕舞われましたね。とても充実した濃い一日でした。馬の顔はさすがに憶え難いのですが、また同じ馬にご来店頂きたいです、その時にはちゃんと同じ葉巻を箱で揃えて置きたいですね。マデューロの副流煙も、お馬さんも、たまには良いものですよ。そうそう、忘れていましたが、馬も藁より葉が好きらしく、サラダも注文された気がします。栄養のバランスなのでしたかね。
|―|5.12’ x 52|重量:14.04g|香:3.7-4.3 ave4.1|残0|
藁の醤油漬が半乾きしたような毛並の馬でした。この馬を馬が食べたら相当なご馳走でしょうね。で、馬に似た葉巻を吸わせたんですよ。パルタガス・マデューロ No.1です。何しろ今日のお客さんは馬だったんですから。業界長くやっていると、さもありなん、と言ったところなのです。お馬さんですが、初っ端から濃い味付けの藁をパクパク美味しそうに頬張っていましてね。ぼくが「ははぁ」と思っていると「ひひぃん」と言いました。まあ「味が濃くてウメぇ」と牛のようにいうところですよ。僕はこの葉巻の味は聞き知っているだけなのですが(今回も一本しか仕入れませんでしたので)、やっぱりかなり濃かったみたいですね。黒糖を塗りたくった麩菓子の醤油味みたいな物を連想させる香りが店中に回っていました。甘さは黒糖より控えめらしいですが、しっかり甘さとして感じられるよヒヒん。黒糖の田舎っぽい風味もありましたし、馬には最高の御馳走ですよね。馬の頭の中の黄土色の藁も茶色く美味しくなっていましたが、現に茶色いそれが、頭の中では緑化したようでした。馬の気持ちを悟るのは、人間相手のそれよりは難しいのですけれどね。緑色の過去、記憶というのは過去の方が新鮮なものです。過去のほうが若かったからですかね。で、やっぱり緑も醤油と黒糖でたっぷり塗られて、現在と過去のいいとこ取りで、ご満悦なんです。珍しいぐらい重厚な白ワインが入りましたので、馬にアルコールも与えました。そうするとね、急に春満開のように金木犀や菊なんかが季節に関係なく廻るんです。駆ける気分ですね。そして芋掘り、子供たちが畑で芋掘りしているのが馬の目に映る。
まだ馬の耳に念仏を2センチしか唱えていなかったんですよ。この間、ようよう馬が葉巻を2センチ焼尽したということで、先は長いですね、はじめ濃いから、長く感じられるのかもしれません、馬にも。恋も、初めは一生モノのように永く感じられませんでしたか? それと同じですかね。
昔コイーバのマデューロを別の馬に喰わせた時も同じだったのですが、どうも次第次第に煮詰めた苺などの果実に気付くらしいのですね。醤油とか、花とか、そういう物が収まって、かと言って収まっておらず、煮詰めた苺に収斂していくと言いますか。そうすると何故かバターやカスタードや蜂蜜を塗った香ばしいパンに苺ジャムまで塗ったような、豪華なパフェのような朝食が訪れるんです。デザートではないのですね、朝ですから、朝だからパンなんです。馬も人間と同じですよ。つまらない藁ばかり与える人間が悪いだけなんです。
ものすごくカスタードが膨らんで、その膨らみに胡椒をかけるのがお好きみたいです、お馬さん。現代の前衛パティシエに通ずるところがありますな。ものすごく高貴なお馬さんですよ。完全に貴族ですね。貴族は農園も持っています。貴族の朝食は豊穣ですよ。お馬さんが店に訪れたのは深夜でしたけれど。
灰がプヒッと4センチぐらいで落下しましたっけ。ずいぶん長い時間に感じましたのにまだ1回目の落下なのか、とそれをもう虚ろに眺めていました。副流煙だけで鱈腹でしたから。
突然俄雨で土が湿りましてね、頭の中で元気に店を泥で汚していましたよ。あれはもう汚れではないです。元気の証で、そこにレモンを絞った。するとレモンの花が泥から顔を出す。エニシダかもしれないです、人間界で言ったらあれは香り高くも毒物なのですが。エニシダって、金木犀の蜜とレモンの蜜を混醸したような爽やかな濃密な香気芬々としますよね。ちょうど今頃外では咲いているはずですよ。
中頃から、馬もお疲れになったようで、放心のていで煙を吐き出していました。ちょっと茶味がかったコーンフレークぐらいのものでしたかね。それと珈琲の苦味。
なんか葉巻の中からパチパチと爆ぜる音が3回4回5回と聞こえました。ドンパチというお菓子を舐めたみたいに。馬頭が吹っ飛ぶんじゃないかと心配したんです。馬頭琴の音色だったら甘美なのですけれど、静電気が爆ぜる音のようでありました。馬と僕が脳の電気で通じているんでしょうかね。最後は滋味深くおいしい馬肉のようなお馬さんになっていましたね。去り際、素晴らしい蹄の音でした。ぱかぱかと。花を残して行って仕舞われましたね。とても充実した濃い一日でした。馬の顔はさすがに憶え難いのですが、また同じ馬にご来店頂きたいです、その時にはちゃんと同じ葉巻を箱で揃えて置きたいですね。マデューロの副流煙も、お馬さんも、たまには良いものですよ。そうそう、忘れていましたが、馬も藁より葉が好きらしく、サラダも注文された気がします。栄養のバランスなのでしたかね。
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