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|next cigar|$157.5/20+¥4500/20>¥1000/1|2020/3/17・arr 4/22|
|―|3.5" x 43|6.39g|香:4.1~4.5 ave4.3|残19|
三日連続で訪れた人の話。
初日、海が到着したかのように生々しい磯の香りが訪れました。海で泳いできたにしてはかっちり整った小粋な上下を召して。中肉小背です。
一口の吐息から素敵で、ずいぶん昔に訪れて下さったダビドフ氏の一口そっくり真似事のような、完全に本物本人と見分けようもない、直球ストレートなそれでしたね。すでにバターやら花やらも息づいていましたっけ。漫画のように軌跡が飾られ彩られた華やかで軽やかで滑らかな豪速球でした。
吐息に感じ入りまして、エントレアクトをお勧めしました。これは頼りないクラシックNo.3を超絶化したような葉巻で、キューバン時代の物ではないのですが、古感のあるクラシックの香味がクラシックよりも厚く、「ダビドフの中のダビドフという感じがする」と、かのダビドフ氏も仰ってました。初心者が嗅いだら半分意識失うんじゃないかな。ミニタイプの最高峰であることは間違いないのです。
このお客さん、後半は踊る胡椒で挑発してきたんですね。ニクいですよ、JAZZYです。空の珈琲碗にかなり上空から投入するものですから、空気中に胡椒の小さい粉末が舞ったんです。
実は一月以上も香港の空港に放置されていた葉巻なのですが、ボベダ入でしたしぴっちりビニール密閉されていたからでしょうか、この日に到着したばかりだったのですが、古の新鮮な香りが店じゅうに広がっていました。だんだん不味くなっていったら申し訳ないなと思うほど既に限界まで美味しそうでした。でお客さんも暴れる雰囲気すらなく、安定して純正の香味が漂っていました。
余命3センチ以下のところ、熱く金木犀が襲来したのか、閉店間際に扉を押し分け人がどっと滑り込んでくるような、僕に喩えればそんな時の僕の顔に似た表情をしていましたね、そんな事はかつてないものですから、迷惑だとは思いませんね。で、金木犀は扉に挟まれ、開けっぴろげな押花状態となり、匂いが扉を塞ぎ、お客様を帰しませんでした。店じゅう、ものすごくフラワリーな甘美を呈していました。
ドライフラワーじゃありませんよ、ドライではありましたけれど生花でしたね。べったりした甘さはありませず、なのに極芳醇なのですから、辛口好きの人にお勧めしたいですね。
ドライというと、お客さんもそうで、ドライなお客さんだから、連日訪れたのかもしれません。じめじめした人は連日は来ないですから。
ふと見るとお客さんの身長が珍しいぐらい小さくなっていて、もう1センチになっていました。小さくなって扉の隙間を抜け出そうとしているんですね。滞在時間は長かったです、身長が大きい所為でのろまになった人ぐらい長居されたのではなかったでしょうかね。のろまの人が大抵3センチ以上の身長で帰るとしましたら、あの人はまるで2センチ長い人のようだったともその時思ったんです。
|next cigar|$157.5/20+¥4500/20>¥1000/1|2020/3/17・arr 4/22|
|―|3.5" x 43|7.35g|香: 3.5~3.9 ave3.7|残18|
次の日、磯の香が消えていたので、同じ人が入ってきたことに気づきませんでした。ちょっと昨日よりも硬い雰囲気でしたし。二日目になるともう馴れ馴れしくなるのが人の常ですのに、かえって好感度というか変人度が高まりますよね。今日は途中でバター臭い濃厚なおならをしましてね、すると昨日の香りがしたんですよ。松茸が空飛ぶように軽やかに芬々と胞子を蒔いて、バターがフィナンシェよりもマドレーヌのようにプワっときて、花の匂いでした。相変わらず顔はしゃちこばっていました。ほんとの変人ですかね。おならなんかしていないような顔なんですから。笑っちゃいますよ。もしくは、おならなんか本当にしていないのに以上のように思われているんだろうな、というような顔かもしれなかったですね。お客さんの頭の中なんて八割ぐらいしか分からないのですから、面白い方でいいんですよ。深く考えると深まってしまいますからね、僕が。はっは。
まあ極力浅く考えるようにしています。あんまり深いと小説になっちまって、そっちに集中しちまったら店開けられませんから。深いのに店開けてる人、あれはなんなんですかね、尊敬しかないっす。
「熱を帯びてきましたよ、お客さん、大丈夫ですか?」
こう問いかけたとき、なんと言ったと思います?
「ダイジョウV」と言ったんです、小さな指を二股に広げて見せて。僕はさすがに思案に耽りましたね。
で、アリナミンブイとトロワリビエールのラムでカクテルをお作りしたんです。大変喜ばれました。まるでお客さんの吐息がアリナミンVで、飲み物がラムのストレートでした。マリアージュなのか何なのかよくわからなかったですね、顔は普通でしたが、お客さんの脳が喜ぶのがありありしていました。顔中のありとあらゆる穴から松茸が生えて、穴に詰まった松茸の栓をエステルだか薬学的なんたらだかが膨張して噴射したんですから。それでささっと後腐れなく帰ってしまわれました。去り方がまた明日を予感させたんですよ。元気で健康な人だとは思いました。聡明で、小柄で、すばしっこいようで腰が座っているし、深くなくはない、もう大好きなお客さんの一人です。
|next cigar|$157.5/20+¥4500/20>¥1000/1|2020/3/17・arr 4/22|
|―|3.5" x 43|5.93g |香: 4.3~4.7 ave4.5|残17|
3日目も同じ葉巻を注文なさいました。うまくてフニフニと腑に落ちるようです。もう常連さんでしたから、扉を開けて入ってきた時の香りで、分かります、いいお客さんが来たな、と。今日はお花の香水がお強いようですね、と、言いはしませんが、思ったんです。全く無言でお互い笑顔ですよ。非常に心地よい空間で、店の空間はお客様の方が多く作ってしまわれるものですね。僕はいつも微力です。空間を変えてしまわれるのですから尊敬に値する人物であるに違いない、とヒヨッコの僕は思うわけですよね。日々の髪型の違いなんて、本人が鏡を見てのみわかるもので、傍目には髪型も含めて同じ人物にしか思えないものですけれど、微妙に髪型も違っていることに気づいたんです。こんな微妙さに気付かせる人は、そうそう居ません。端から花で、すぐ胡椒です、辛みを含んだ日ですね。クラシックNo.2の最盛期を始終思わせる。もう10年以上も前に、そういう人がいたんですよ、クラシックNo.2というお仁が。僕は彼の魅力にヘベレケになってしまいましてね、それでこの珈琲店だった店を葉巻バーに改装したのです。一回しかご来店いただけなかったのですが。もしかしてこの人、あの人が変装しているのではないかしらと思いもしました。変装の理由は不明ですけれど。颯爽と喫して帰られるのだろうなぁと括っていましたら、結局颯爽と帰られはしたのですが、この日は帰り際にとんでもない体臭を放ったんですよね。すべてが一段も二段も急遽濃厚になったというか、生涯にまたと無いような、完璧な一瞬が店に訪れました。一瞬というのが長く感じられました。おそろしく優しい金木犀が血を血管のように隈無く覆い、絡みつき、花嵐のように流血し続けました。もちろんその血の花びらを持つ木が松茸ですよ。巨大な松茸です。コルクのように軽い松茸です。嵐に舞う砂は、辛味を優しくした膨大な白胡椒でした。甘美至極でありますのに、特別飾らず、平然とした趣に感嘆致しました。バター? そうですね、バターはなんとありませんでしたが、席をお立ちになられた時に、さらにバターを加えたんですよ。平伏しましたね。なんか、お代を頂きたくなくなっちゃいました。三日目はずっと日本酒で通されました。海の人だとはもう思いませんでした。彼に来ていただければ、誰も来なくとも、このお店は安泰です。飽きませんよ、短さが淡白さを演出しますから。なんだか喉の調子が軽やかですよ、一曲歌いましょうか? まだ17回ぐらいはご来店下さると思うんですよね。どこか懐かしい、昔見たはずの強烈な風貌だったんです。何回も思い出させてくれると思うんです。そういえば入ってらした時からこの日は妙に体重が軽いようでした。軽い日は機嫌が良いみたいで。
|―|3.5" x 43|6.39g|香:4.1~4.5 ave4.3|残19|
三日連続で訪れた人の話。
初日、海が到着したかのように生々しい磯の香りが訪れました。海で泳いできたにしてはかっちり整った小粋な上下を召して。中肉小背です。
一口の吐息から素敵で、ずいぶん昔に訪れて下さったダビドフ氏の一口そっくり真似事のような、完全に本物本人と見分けようもない、直球ストレートなそれでしたね。すでにバターやら花やらも息づいていましたっけ。漫画のように軌跡が飾られ彩られた華やかで軽やかで滑らかな豪速球でした。
吐息に感じ入りまして、エントレアクトをお勧めしました。これは頼りないクラシックNo.3を超絶化したような葉巻で、キューバン時代の物ではないのですが、古感のあるクラシックの香味がクラシックよりも厚く、「ダビドフの中のダビドフという感じがする」と、かのダビドフ氏も仰ってました。初心者が嗅いだら半分意識失うんじゃないかな。ミニタイプの最高峰であることは間違いないのです。
このお客さん、後半は踊る胡椒で挑発してきたんですね。ニクいですよ、JAZZYです。空の珈琲碗にかなり上空から投入するものですから、空気中に胡椒の小さい粉末が舞ったんです。
実は一月以上も香港の空港に放置されていた葉巻なのですが、ボベダ入でしたしぴっちりビニール密閉されていたからでしょうか、この日に到着したばかりだったのですが、古の新鮮な香りが店じゅうに広がっていました。だんだん不味くなっていったら申し訳ないなと思うほど既に限界まで美味しそうでした。でお客さんも暴れる雰囲気すらなく、安定して純正の香味が漂っていました。
余命3センチ以下のところ、熱く金木犀が襲来したのか、閉店間際に扉を押し分け人がどっと滑り込んでくるような、僕に喩えればそんな時の僕の顔に似た表情をしていましたね、そんな事はかつてないものですから、迷惑だとは思いませんね。で、金木犀は扉に挟まれ、開けっぴろげな押花状態となり、匂いが扉を塞ぎ、お客様を帰しませんでした。店じゅう、ものすごくフラワリーな甘美を呈していました。
ドライフラワーじゃありませんよ、ドライではありましたけれど生花でしたね。べったりした甘さはありませず、なのに極芳醇なのですから、辛口好きの人にお勧めしたいですね。
ドライというと、お客さんもそうで、ドライなお客さんだから、連日訪れたのかもしれません。じめじめした人は連日は来ないですから。
ふと見るとお客さんの身長が珍しいぐらい小さくなっていて、もう1センチになっていました。小さくなって扉の隙間を抜け出そうとしているんですね。滞在時間は長かったです、身長が大きい所為でのろまになった人ぐらい長居されたのではなかったでしょうかね。のろまの人が大抵3センチ以上の身長で帰るとしましたら、あの人はまるで2センチ長い人のようだったともその時思ったんです。
|next cigar|$157.5/20+¥4500/20>¥1000/1|2020/3/17・arr 4/22|
|―|3.5" x 43|7.35g|香: 3.5~3.9 ave3.7|残18|
次の日、磯の香が消えていたので、同じ人が入ってきたことに気づきませんでした。ちょっと昨日よりも硬い雰囲気でしたし。二日目になるともう馴れ馴れしくなるのが人の常ですのに、かえって好感度というか変人度が高まりますよね。今日は途中でバター臭い濃厚なおならをしましてね、すると昨日の香りがしたんですよ。松茸が空飛ぶように軽やかに芬々と胞子を蒔いて、バターがフィナンシェよりもマドレーヌのようにプワっときて、花の匂いでした。相変わらず顔はしゃちこばっていました。ほんとの変人ですかね。おならなんかしていないような顔なんですから。笑っちゃいますよ。もしくは、おならなんか本当にしていないのに以上のように思われているんだろうな、というような顔かもしれなかったですね。お客さんの頭の中なんて八割ぐらいしか分からないのですから、面白い方でいいんですよ。深く考えると深まってしまいますからね、僕が。はっは。
まあ極力浅く考えるようにしています。あんまり深いと小説になっちまって、そっちに集中しちまったら店開けられませんから。深いのに店開けてる人、あれはなんなんですかね、尊敬しかないっす。
「熱を帯びてきましたよ、お客さん、大丈夫ですか?」
こう問いかけたとき、なんと言ったと思います?
「ダイジョウV」と言ったんです、小さな指を二股に広げて見せて。僕はさすがに思案に耽りましたね。
で、アリナミンブイとトロワリビエールのラムでカクテルをお作りしたんです。大変喜ばれました。まるでお客さんの吐息がアリナミンVで、飲み物がラムのストレートでした。マリアージュなのか何なのかよくわからなかったですね、顔は普通でしたが、お客さんの脳が喜ぶのがありありしていました。顔中のありとあらゆる穴から松茸が生えて、穴に詰まった松茸の栓をエステルだか薬学的なんたらだかが膨張して噴射したんですから。それでささっと後腐れなく帰ってしまわれました。去り方がまた明日を予感させたんですよ。元気で健康な人だとは思いました。聡明で、小柄で、すばしっこいようで腰が座っているし、深くなくはない、もう大好きなお客さんの一人です。
|next cigar|$157.5/20+¥4500/20>¥1000/1|2020/3/17・arr 4/22|
|―|3.5" x 43|5.93g |香: 4.3~4.7 ave4.5|残17|
3日目も同じ葉巻を注文なさいました。うまくてフニフニと腑に落ちるようです。もう常連さんでしたから、扉を開けて入ってきた時の香りで、分かります、いいお客さんが来たな、と。今日はお花の香水がお強いようですね、と、言いはしませんが、思ったんです。全く無言でお互い笑顔ですよ。非常に心地よい空間で、店の空間はお客様の方が多く作ってしまわれるものですね。僕はいつも微力です。空間を変えてしまわれるのですから尊敬に値する人物であるに違いない、とヒヨッコの僕は思うわけですよね。日々の髪型の違いなんて、本人が鏡を見てのみわかるもので、傍目には髪型も含めて同じ人物にしか思えないものですけれど、微妙に髪型も違っていることに気づいたんです。こんな微妙さに気付かせる人は、そうそう居ません。端から花で、すぐ胡椒です、辛みを含んだ日ですね。クラシックNo.2の最盛期を始終思わせる。もう10年以上も前に、そういう人がいたんですよ、クラシックNo.2というお仁が。僕は彼の魅力にヘベレケになってしまいましてね、それでこの珈琲店だった店を葉巻バーに改装したのです。一回しかご来店いただけなかったのですが。もしかしてこの人、あの人が変装しているのではないかしらと思いもしました。変装の理由は不明ですけれど。颯爽と喫して帰られるのだろうなぁと括っていましたら、結局颯爽と帰られはしたのですが、この日は帰り際にとんでもない体臭を放ったんですよね。すべてが一段も二段も急遽濃厚になったというか、生涯にまたと無いような、完璧な一瞬が店に訪れました。一瞬というのが長く感じられました。おそろしく優しい金木犀が血を血管のように隈無く覆い、絡みつき、花嵐のように流血し続けました。もちろんその血の花びらを持つ木が松茸ですよ。巨大な松茸です。コルクのように軽い松茸です。嵐に舞う砂は、辛味を優しくした膨大な白胡椒でした。甘美至極でありますのに、特別飾らず、平然とした趣に感嘆致しました。バター? そうですね、バターはなんとありませんでしたが、席をお立ちになられた時に、さらにバターを加えたんですよ。平伏しましたね。なんか、お代を頂きたくなくなっちゃいました。三日目はずっと日本酒で通されました。海の人だとはもう思いませんでした。彼に来ていただければ、誰も来なくとも、このお店は安泰です。飽きませんよ、短さが淡白さを演出しますから。なんだか喉の調子が軽やかですよ、一曲歌いましょうか? まだ17回ぐらいはご来店下さると思うんですよね。どこか懐かしい、昔見たはずの強烈な風貌だったんです。何回も思い出させてくれると思うんです。そういえば入ってらした時からこの日は妙に体重が軽いようでした。軽い日は機嫌が良いみたいで。
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