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  源氏物語「葉」
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|cigarOne|121.60/20CHF+¥120≒¥790/1|2020/2/16・arr 2/23|
|MSU AGO 19|3.5’ x 50|重量:8.31g|香:3.9~4.4 ave 4.2|残12|

 久しぶりの大当たり。赤ワインをほんの数滴含むと完全体の苺が豊穣の土に実る。ミテクレのイメージばかり先行し、世に不甲斐ない苺が多い中、この農場は少女の夢を違わず叶えるようだ。そして不要な事に、少女に土の素晴らしさをも叩き込む。苺に目が眩んでチカチカ花が吹き出すと苺は蜜から引き揚げたように甘露に濡れ、蜜は香ばしく固まり、地球を捨てた水が月を万遍なく包むように、月にて水深数センチとなった硬く薄い水飴は、月苺を吸い上げ、果汁を数倍凝縮して濃くなるほどに透明さを増幅する。土にして、表面の濃い透明さがあるいは厚い。月がなぜ赤いのかを知っているか?
 赤ワインのタンニンは土と結合し、赤ワインの苺は金木犀と結合し、それぞれ梯子を継ぐように危うくも高め合い、中国雑技団の少女の両足の如く前二者の真上で後二者が開く。上下は梯子という無味覚の真空に割られている。
 満水の池に沈めたように溢れ出す、たっぷりした金木犀の甘い香りが苺の糖度を極端に上げ、土を下にしながら丈高く澄み、ワインのほうも甘さを倍加され、いったい何処からがワインの甘さで何処までが葉巻の甘さなのか不明である。一見自然だが、日常離れした葉巻界においてさえ異常な景色が見られる。
 果実よりも土に集中すると、脳の感じ方が改造されるのか、苺を吸い上げた透明なコーティング層が今度は還流して土を湿らせ、土はチョコレートめき、再度上に目を遣れば、チョココーティングの苺に変る。しかしすぐさまほぐされ、カカオとするにはこの粉は土臭さ過多なりで、安定した元の危うい景色に戻るのである。
 りんご飴のような苺は、軽やかな重厚な水深により含み多く首を垂れている。ワインを垂らすのをやめれば、にわかに重厚化した金木犀が即ち甘い蜜を垂らし始め、そのためにより多くの花を吹き出す。心配になるぐらい吹き出し続ける。
 あっという間だが、根元まではなかなか長い。最後、苺の蔕のように草が来る、此処まで下手が無かったのも美味い。苺は擦れ、重厚な土は続き、金木犀も続く。複雑というより、全て重厚で、ほとんどシンプルである。おおらかな土の深みに甘く華やかな煌めき。暗い独酌が祭に夜店を並べたように煌々として賑わう。しかし何処も売っているのは苺飴のみ、割箸に刺された苺の味、忘れられぬ、高級レストランみたいな夜店である。苺の幻が残りなく消えればたぶん土のみが茫漠と広がって、豊穣な土に雑草ひとつ生えない不毛さの不思議な光景が夜目に見えそうである。
 ワインはスポイトで口に垂らすものらしい。安いワインでも飲まずに数滴を垂らすにとどめることで嫌らしさ有耶無耶に良さばかり発現する。赤ワインがここまで活躍した例もかつてない。根本まで強烈に美味しかった。やや苦手なタイプのイタリアワイン(ルカマローニ誌の高得点ワインには魔除的に化粧がどぎつい感じの苦手なものが多い)だったのだが、葡萄が苺に化けた。

8.28g 残11
昨夜ほどではないものの、髣髴とさせるところ少し、とくに後半は良い。モンテほど白っぽく浮ついていないが、パルタガスにしてややモンテをも髣髴とさせる。中盤ところどころ3服ぐらいは大変おいしいのに、昨日と比べて俄然劣る。昨日は葉巻前に甘酒を呑んだのが良かったのかもしれない。葉の品質の差だとは思うけれど。

9.20g 残10
ハズレ

11.16g 残9
重くもドロー良好。で期待したがまたハズレ。ドロー良くても燃焼に難があり、燃え難く火種が凹みやすい。
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