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  源氏物語「葉」
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|Atlantic Cigar|$13.85/1(+¥500/1)|2019/6/7・arr 6/19|
|—|5 1/4 x 52|重量:17.72g|香:2.4~3.6 ave2.9|残0|

 シングルで買った物のうち、これだけビニールで個包装されていなかった。プラセンシアハバンドデザインガダサい。
 マデューロ色をしたドライなラッパーが分厚いボール紙のようで、かなりみっしり葉が詰まっている。つまんだ感じではドローが悪そうだが、良好だった。
 一口目で「マデューロはかくあるべし」という味に出会う。かくあるべしというか「マデューロの典型」で、蔕入苺ジャムを煮詰め、ほの焦げた要素のみ抽出したような味がする。
 すぐに辛味が来てハードさをうかがわせる。ハードさは乾いた藁を伴う、ここも典型っぽい。舌の奥の両脇に刺さって絡みつくイガラっぽさあり。醤油の染みが、ドライなのかウェットなのかよくわからない。
 併せた飲物の効能かもしれないが、イガラっぽさはしぶとくない。辛味がピークを過ぎると、一口目が蘇りつつ花を濃くする。風が強い日のように雑味が舞い上がってクリーンではないものの、ふわりとした優しさも垣間見える。味が甘やかに膨らんできている。
 懐かしいようなそうでもないような、新しくもなく古くもないような、そうこう考えるうちに金木犀の季節がいつの間にか深まる。珍しいほど鮮明な金木犀である。これが懐かしさの正体か、繰り返す新しい息吹の正体か。どうもそうらしい。
 その他、葉巻の中で似た記憶を探るにコイーバヘニオスしか見当たらない。あるいはコイーバのそれとパドロンのコラボのような。もっともコイーバはおろかハバナの味さえ一切しなくて、ただマデューロであることにおいてのみコイーバのマデューロによく似て(あるいは更に雑さにおいて似て)、またパドロンはほんの微かで、「安定のスラッシュメタル」というパドロン感はなく、味はパドロンよりずっと濃く、ずっとゆるいところがある。強さが出る時にもゆるいところがある。
 3センチ進むとかなりお菓子化する。パウンドケーキとしてかなり濃密な部類。花、樫の木の蜜。
 頑固な渋さがどことなく残るけれど、白ワインが不思議と殺されない、白ワイン(シャトードフュイッセV.V.2003)が強いのかもしれないが、飲物に対して優しさがある。
 中盤、味が抜けてふぬけとなる。下手なコーヒーを思わせる雑な苦み。
 少し復活するもそれからとくに何も付け加えない味のまま終る。

 前回のデルカンポもそうだったように、表面的な特異さはあっても芯が平凡な印象を受ける。土壌が平凡なのか、熟成が平凡なのか、ブレンドが平凡なのか、デザインの平凡さが全てに現れているようで、いろんな葉っぱを作って色んな組み合わせをしてみて、そこには上出来な葉っぱもたくさん混じって濃い顔を出すのだが、全体として突出する面白みなく、極力良く言えば、三角だった富士山が頭を消ずられ台形になってしまったようなものである。君は今の富士山が憎いのか?

Wrapper Nicaraguan Habano
Binder / Filler Nicaragua / Nicaragua
Color Colorado Maduro
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