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|6" x 54|NextCigar|$159/10|重量:+2(18.17g)|算出:+5|香味:+4|計11点|
着火前から甘くスパイシーでコクのある麦料理なのだが、着火するとそれが煙料理だとわかる。料理が匂いで人を誘うのと逆に、匂いが味で人を誘うのか、そもそも匂いの先に何も無い。簡単にいうと「匂いが濃い」ということだが。……
今日はヒガンテスが本領を発揮している。もうすぐお彼岸だからだろう。
嗅いだ記憶のない香辛料の複雑なフレーバーと(記憶を辿るために単一の香辛料をも複雑と言わざるをえない)、同じく産地不明の麦と、その麦のライス感覚(主食感覚)に加えて何かカレーやハヤシやビーフシチューのルーめいた質感、エキゾチックでエスニカンながら日本の洋食屋のコクにも落ち着いていて、隠し味が多すぎるというか、全部が隠し味だから何も隠れていないというか、頭隠して尻隠さずどころか、頭が二つあるのかな。
はちみつは隠れている。甘さの正体はきっとはちみつであろう? 葉巻にはちみつを使うわけもないが、はちみつそっくりの成分が実際に醸成されているだろう? 調べさせればわかることだ。それにしてもなんて軽やかな甘さなのだろう、和三盆のようだから、はちみつではないかもしれない。とそのとき金木犀がほころび始めていたことを知るのである。金木犀の所為ではちみつが和三盆に化ける。秋の彼岸なのか。春なのに秋で、この秋がまた春のような柔らかさ。やはり頭がふたついるようだ。
隣で妻が七転八倒して七転び八起きしている。彼女はいつもそんなだから気にはしないのだが、もしやこれは妻が巻いた物なのかという気がしてきた。
エキゾを洗い、シチューから春の和菓子の嗜みへ。
金木犀が太くなると、これは葉巻以外の何物でもないという物になる。これまでは葉巻としても異例の美味だった。この太い幹がまた凄い。日本一の金木犀がココに立っていて、「ヨ! ニッポンイチ」という幻聴が聞こえる。みんなが幹の周りで阿呆みたいに見上げている。匂いがポタポタと雫のように垂れてくる。この金木犀の大樹は阿呆みたいに泣いているのだ。日は深夜になっている、だから本当は幹の周りには誰も居やしないのだ。この幻の幹を知らせるべく書いている。和菓子が消えて、この樹皮の厚みがスパイスだとわかる。涙とともに重々しく剥がれ落ちてきて、それが軽い。
ココに大吟醸酒のそこはかとなく丸い甘味を加える。花見酒なのだろうか。樹皮見酒である。涙が酒杯に落ちて、しみじみと木犀が香る。明るいようで暗い、重いようで軽い、春と秋が習合して、渦も巻かずに平然として美味しい。妻が咳をしながらメビウスの輪じみた体操をしている。遠い部屋でやれば良いものを、この部屋を突き抜ける大樹を見学に来ているのだろう。
……あとはココまでの風味が葉巻らしさ烟草らしさ煙らしさに揉まれる。
着火前から甘くスパイシーでコクのある麦料理なのだが、着火するとそれが煙料理だとわかる。料理が匂いで人を誘うのと逆に、匂いが味で人を誘うのか、そもそも匂いの先に何も無い。簡単にいうと「匂いが濃い」ということだが。……
今日はヒガンテスが本領を発揮している。もうすぐお彼岸だからだろう。
嗅いだ記憶のない香辛料の複雑なフレーバーと(記憶を辿るために単一の香辛料をも複雑と言わざるをえない)、同じく産地不明の麦と、その麦のライス感覚(主食感覚)に加えて何かカレーやハヤシやビーフシチューのルーめいた質感、エキゾチックでエスニカンながら日本の洋食屋のコクにも落ち着いていて、隠し味が多すぎるというか、全部が隠し味だから何も隠れていないというか、頭隠して尻隠さずどころか、頭が二つあるのかな。
はちみつは隠れている。甘さの正体はきっとはちみつであろう? 葉巻にはちみつを使うわけもないが、はちみつそっくりの成分が実際に醸成されているだろう? 調べさせればわかることだ。それにしてもなんて軽やかな甘さなのだろう、和三盆のようだから、はちみつではないかもしれない。とそのとき金木犀がほころび始めていたことを知るのである。金木犀の所為ではちみつが和三盆に化ける。秋の彼岸なのか。春なのに秋で、この秋がまた春のような柔らかさ。やはり頭がふたついるようだ。
隣で妻が七転八倒して七転び八起きしている。彼女はいつもそんなだから気にはしないのだが、もしやこれは妻が巻いた物なのかという気がしてきた。
エキゾを洗い、シチューから春の和菓子の嗜みへ。
金木犀が太くなると、これは葉巻以外の何物でもないという物になる。これまでは葉巻としても異例の美味だった。この太い幹がまた凄い。日本一の金木犀がココに立っていて、「ヨ! ニッポンイチ」という幻聴が聞こえる。みんなが幹の周りで阿呆みたいに見上げている。匂いがポタポタと雫のように垂れてくる。この金木犀の大樹は阿呆みたいに泣いているのだ。日は深夜になっている、だから本当は幹の周りには誰も居やしないのだ。この幻の幹を知らせるべく書いている。和菓子が消えて、この樹皮の厚みがスパイスだとわかる。涙とともに重々しく剥がれ落ちてきて、それが軽い。
ココに大吟醸酒のそこはかとなく丸い甘味を加える。花見酒なのだろうか。樹皮見酒である。涙が酒杯に落ちて、しみじみと木犀が香る。明るいようで暗い、重いようで軽い、春と秋が習合して、渦も巻かずに平然として美味しい。妻が咳をしながらメビウスの輪じみた体操をしている。遠い部屋でやれば良いものを、この部屋を突き抜ける大樹を見学に来ているのだろう。
……あとはココまでの風味が葉巻らしさ烟草らしさ煙らしさに揉まれる。
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