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  源氏物語「葉」
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|6 3/32超 x 43|NextCigar|$112/10|重量:0(11.70g)|算出:+6|香味:+4|計10点|

 安かった。フットがアンカットのため、一本一本をビニールに入れられないバンドルらしいバンドルで、ダビドフ異例の裸ん坊。フレッシュシガーとして売り出されたはずだが、もう在庫整理(?)に供された古い物、二年熟成ぐらいだろうか。
 巻きは普通のグランクリュよりもごつごつしているように見える。並べて見比べていないけれど、ダビドフでは見た事がないぐらい、先っぽ以外の部分もごつごつしている。

 言われた通りフットを毟ってから着火すべきだったようで、着火に少し手間取ったが、毟る作業に手間取るより、燃す作業の方がおもしろいかもしれない。
 煙は軽さより柔らかさが強い。甘さと何かの存在が味気なさを齎さずに全体を膨らませ、柔らかさの中に白胡椒が効いている。軽い系統のダビドフは木の風味と言って差し支えない風味だと思うのだが、えぐみは少しも無くて、木は薄れ、松茸や黴や埃の方により近い。それを吸うに、閉め切った扉を開けた時のように、温気に漂う家財の椎茸ぬるく、煙自体に夏の密室=物置部屋を思わせるところがある。今日も夏みたいな天気なのでコントラストが溶けているが、今が冬なら、口の中で抜群の夏が膨らむ気がする。
 金木犀が緑色の香草とともに吹き出し始め、だんだん強く、ピークでは感動するほどに強まる。
 ピーク以降は、とくにおもしろいところはない。

 序盤から中盤にかけてーー花に菌が覆われてしまう前ーーの、ダビドフたる風味が明瞭な部分にて、「クラシック」と「グランクリュ」の違いを何か決定的な言葉で表してみたいと思っていたものの、それで二つには何か風味の違いが感じられはしたものの、「クラシック=軽」、「グランクリュ=柔」といった曖昧な言葉に結局終る。柔らかさが風味の違いと直結していたことは確かで、それはいつも一緒くたにしている埃と黴の違いのようなものだったのだが、他に巧い表現があるはずなのだった。
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