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  源氏物語「葉」
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|SUB AGO 11|6.1 x 52|coh-hk|($99/6=$16.5)|重量:0(12.01g)|算出:+5|香味:+4|

 ああ懐かしい、そうだこれがモンテクリストだ、四種五種それぞれに懐かしいが、モンテクリストの懐かしさばかりはモンテクリストの懐かしさだとわかる。藁や土に紛れても初めから緑青が栄えている。
 これもグランレゼルバ級に美味しい気が。グランレゼルバはもっと薄口で丁寧なイメージではある。セレクションは銘柄それぞれの銘銘とした味がし、野放図な野性味を失わず、おとなしすぎない強さと濃さがあり、それを若干ビオフェルミンが押え、只管レギュラー品の当りを引いたような美味しさ。
 少し藁の乾きがするが、青緑が清流となって潤している。下手を打つと青緑は大嫌いな胡瓜と瓜二つになってしまう香でも、カスタードの甘さが黄色を帯びて色を変えている。川底のカスタードが迫り上がると清流は空に混じり、花が散る。黄色の正体は半分花。要するに乾いた藁を青緑が潤し青緑に黄色が混じってモンテクリストの三角マークとなっている。で、全体キャラメルにも通じるハバナ葉の味わいも濃い、いつものモンテクリスト、基本に忠実完璧なモンテクリスト。
 どの葉巻でも花といって金木犀が咲くけれど、やはりモンテの金木犀は全然違う。本当に屋外から金木犀がそよそよと雪崩れ込むような不思議な錯覚を催す。室内を屋外に変じさせる室内の為の葉巻か。おそらく金木犀だけでなく同時に屋外の色々な香も混じって薫っているのだろうと思う。完全に日本の秋の話だが。日本の空、日本の木、日本の土の香がするのだと思う。それでいて確かなキューバンぽさと胡瓜の危うい色気。日本とキューバとの間の海に何か孤島でもあるのではないか。明日は東京でも雪が降るかもしれないという夜の頃。
 金木犀の特異さ、腑に染みとりとめなく涙と流れ出て自分の物ではなくなる感覚は評判の悪いオープンシリーズでも同じと覚えるが、この香味がオープンはもとよりNo.2よりもずっと濃い。ただ少し藁が目立つ欠点があるものの、あとは有るべき要素が有り濃くあるべき要素がひたすら濃い。しかも吸い疲れず、無限に誘う。突如、空からカスタードがマシュマロの形をして降ってくる。マシュマロの触感を煙で与えるという至難の業を体現している、しかもモンテクリストならではで、空から降ってくる。すると薄荷のような風が吹き、マシュマロの軽さの上にもまた甘ったるくさせないのであった。マシュマロを含んだ口が空を飛んでいるよう。まったく夢物語でもなく、眉間に皺を寄せながら、だから確かに飛んでいる。マシュマロは金木犀味である。寒くて黒い空飛ぶ夜に、落葉味の湯葉も薫る。適当に書いているが、屹度精確に書けば書くほど屋内と屋外が共存してしまうだろう。
 12.01gのお陰か、リカットせずに終える。14gを超えた前三本は吸い込み難も無いけれどリカットせねばならなかった。しかしこれも残6センチでリカット。
 この箱で残7センチ以下まで美味しいのは未着火のロメオを除きモンテクリストのみ。それでも残5センチで酒の味がまったくわからなくなるほど荒くはなる。
 愛嬌か、コイーバを除く三本は片燃えした。巻きは美しいが、内部に偏りが有るのだろうか。それでも、葉巻の内臓を熟知した外科医がなんとしよう。

 これも限りなく+5に近い。
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