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  源氏物語「葉」
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|SMO JUN 11|4 4/5 x 50|coh-hk|$258.40/25|重量:0(12.50g)|算出:+6|香味:+4|

 さすがにコイーバともなるとレギュラーのロブストでも巻きが美しい。記憶の刷り込みなのかラッパーの色合いまで美しく見え、早くもあの独特の熟成香が味わわれるほどに香ってくる。12.50gという完璧らしい重量に堅い吸い込み、堅くて難がないのだから最高の巻き具合である。
 着火前から完璧の予感がしていて、着火前の諸要素が完璧である事を確認する以前にそんな予感がしていて、つまり着火迄は予感が的中したのである。すると着火して一口目も的中したのである。早速恍惚とするわけもないが、まろやかな濃い岩がまろやかに蘭奢待を切り取ったかのようにくゆり立っている。これだけでコイーバとしてはこの上なく、これ以上のコイーバ感というものはおそらくこの世にない。もっと美味しい物があっても、それはコイーバ感ではなくて別の要素であると思う。
 次第に草花が顔を出し始める。コイーバに於いても正当な変化だが、他の銘柄でも同様の変化があるので特別コイーバらしいというものではなく、しかし岩に混じって独特の芽生え方をする。
 おお、何という偉そうな文章だろう! わかったふうな事を書いているが、おそらくわかっているのである!
 コイーバからはアニスやムスクは出ない。岩が押さえている。苦味はさらさらなく、穀物かナッツ類の、深いのにさほど煎っていない、しかし紹興酒に似た経年の趣のみを帯びた深みが、まるで絵具の白と茶を初めて混ぜた時のように鮮やかにまろやかに存在する。いわばラッパーからしてカフェオレ色だったのであり、黄ばんだカフェオレ色に付く緑青のような黄がくすみながら光って、其処にデザートに添えるミントの緑が全体を飽きさせない為に生えているわけである。
 恍惚とは別種の、しみじみとした味わいに於いて、これほどスマートなものはなく、スマートなランセロ等ではスマートというより変化重視の恍惚方面に無理矢理行ってしまいそうで、コイーバらしい滋味の膨らみは期待できない。要するに膨らみのふくよかさがスマートなのである。
 それが、スマートなまま、味が濃くなってくる。岩に溶けて押されていた花が満開し、岩もが砕けて満開になる。
 旨味や甘さという単純なものは思わせないが確実にあった。
 だが以上には濃くはならず、余韻嫋々として雑味と鬩ぎ合って仕舞だったのである。

 購入して十一ヶ月で十五本目。まだ巻かれて十六ヶ月の物。八年ぐらいは粘りたいが、後二年で無くなるだろう。
 最近何も買っていなかったので寝かせたい物も減る一方だが、BHK54がもうすぐ届く予定なので事前にロブストを試した。金木犀の咲く頃に金木犀の噴出するBHK52を試せなかったのが今秋の心残りになった。
 世界で一番売れているモンテクリストにあっては2011年の物はかなり不味いが、コイーバは劣化していないと読める。
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