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  源氏物語「葉」
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|SUA JUN 01|235㎜ x 47|COC|($125/5)|重量:+2(20.77g)|算出:−3|香味:0|

 COCでAサイズ5本組みで買ったもの。送られてきた物は裸だったが、A5本入りの空箱(1本入りキャビネ×5)に移してビニールに包んでおいた為か、まだ濃厚なりし日の匂いを立てている。しかし嚔を誘発するほどではない。
 Aでドローが悪い場合、絶望しかありません。修正方法も墨田区の工場にでも行くしかないような。長くて細い注射針を刺してもらうのです。ですが着火するとそう悪すぎはせず、なんだか許せちゃうような、チョイ悪というもっとも唾棄すべき状態なのでありました。大体根元の方が詰まっている事が多いので、回復に期待も持てません。
 白ワインの後味を必要以上に苦くするような葉巻の味わいで、ボディも弱い為、マイナスとマイナスが重なり、淡さを美化する事もできませんし、
 これにてヴィンテージモノのモンテAの二本を終ってしまいました。先日同じAサイズのサンチョスのAサイズのサインチョスのAサイズの醍醐味を吸引したばかりなのに、それでAサイズばかりを買う算段だってつかせぬではなかったのに、結局は希望的な葉巻でありそれだけにもっとも絶望しやすい葉巻でもあったのです。微かな淡さにパンチ・クラシコスとの近似がありますし、ERでAが出れば良さそうです。
 なんてむしゃくしゃする文章を書く女だろう!
 人を食べログ女にするような葉巻なのです。しかも男のように一人でレストランに行くような女。
 気の合う男と女のように巧くいかないもの、それが葉巻です。こうしてとうとう凡庸を極めたのである。
 まったく目茶苦茶です、目茶苦茶なのに滅茶苦茶ではないドストエフスキーでも読むしかありますまい。
 それにしてもむかつくのはこの葉巻じゃないかしらではないかですわでどす。結局最初から最後までまったく同じでした。まったく、こんなに長いのに此処まで安定しているものは見た事がありませんわだ。こんなにゼロに近いものがあるかしら。こんなに長いのに、まるで空気のように終った。少し美味しいような、少し吸い込み難くて息苦しい空気だった。
 残7センチのところで、漸くピンセットで図太い葉脈を一本抜く事ができた。フィラーの葉脈に比べればラッパーの葉脈なんてどうでもいいのです。抜いたあと、少しモンテクリストの味がした。
 モンテクリストの味か否かどころではずっとなかったのである。小粋な辛味も加わり、まるでホイタスを吸っているような気分になった。フィラーの葉脈一本でここまで違うとは。Aは手練が巻くはずなのに、もっとちゃんと巻いてもらいたい。手練というのはキューバにあってはお調子者にすぎぬのでしょうか。
 11年経っても健在という事はわかった。11歳なんて、わしに比べれば大した歳じゃないがね。蝉ほどではないが、儚い葉巻じゃ。毎年繰り返す悠久でもあるまい。
 なんだか色々な意味で複雑でどうでも良くなってしまう。葉巻というのは美味しすぎる時にのみ目茶苦茶になるというよりは、少し不味い時に目茶苦茶になるようである。つまり美味しい葉巻はあまり煙たくはないのである。もう何がなんだかわからない。癇癪も中途半端に終る。
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