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  源氏物語「葉」
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|BYL SEP 05|9 1/4 x 47|coh-hk|$62.90/5|重量:+2( 20.09g)|算出:+6|香味:+4|

 久しぶりにAサイズを取り出すと改めてでかくスマート。サイチョパンサは味も久しぶりで改めて個性的で興をくすぐる。初め正露丸を薄めたようなところから始まり、次第に胡麻団子が丸まってくるような気がする。長尺の所為か歳月(七年)の賜物か淡く穏やかな、克明なものの何も無い景色である。
 ドローが今までのサンチョスになくすんなりしているので、ドロー難が醸し出すような淡くも不貞腐れた景色ではない、素直な淡さがある。海辺で海の香に浸ってでもいるような。此処は海辺にあらず、月の胡麻の桃源郷と云ったような処である。
 其処にはっきりと甘やかな匂い。桃源郷の中で、何処かの某かが夕餉の桃源郷を炊いているのだな。炊いているのではない、茹でているらしい。そのお宅を突き止めようと惹かれていくと、風向きが変わって匂いの元を見失う。
 それがどうやら、ヴァイオリンの声の少女のように、おのが口から匂うらしい。口臭をクンクン嗅いでみた。すると不思議、半透明な不思議な花が咲くではないか。月胡麻の無数に転がる藪北の川瀬に、川を掬って呑んでみる。すると白ワインの味がした。昔は水底に溜まった漆を独り占めした人がいたものの、この秘境を誰かに伝えずにはいられまい。だが黙っていた。伝えれば汚い酷い尾ひれを綺麗に付けて瞬く間に反射して桃源郷にまで広がり、川も枯れてしまうだろうから。どうして枯れる行方を知っているのだろう。どうして行方を知れば知るほど美味しいのだろう。なにか微妙な重なり合いと背反が働いているようだった。複雑な波紋が人為的に重なる池を見ているような心地よさだった。
 どこまでもいつまでも淡さが続くようだった。海にありがちなおそろしい波濤は来なかった。桃源郷は海からだいぶ離れて。桃の代わりに、胡麻が桜のように咲いて散っていた。近所では童が小豆を水鉄砲のように投げ合っていた。しかしそれはいずれ染みた黄ばみの風景に変わるらしかった。黄ばみがまるで新鮮なもののように燦々と響いた。小豆や胡麻はセピア色に似ているが、普通のセピア色ではない、しかしセピア色に似た黄色だった。風は南から北にそれとなく吹いていた。
 九月一日が風向きの変わり目だった。ほぼ満月に近い月が昇っていたのを思い出した。とうの昔に残暑残暑という暦になっているのに、明日から初めて残暑が来るのだと思う。残暑は真夏にそっくりで、残響は粘っこいのに爽やかで。何につけても、自分の口臭なる口煙が愛する人の口臭のように甘い。全く以て自業自涜である。実際、口臭のような山椒のような芥子粒のような香が長々しき宵闇の末に漂うてきた。最後の最後にまったく爆音を聞こえがちにしながら、単に漂う海辺もどきの雰囲気を失っていない。Aサイズにあるべき雰囲気を体感したのだった。
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