忍者ブログ

  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

|TUR JUN 08|6 2/5 x 42|cigarOne|$215/25|重量:−1(9.63g)|算出:+6|香味:+4|

 緑色の深い海を覗くようなおどろおどろしい美味しさ。モンテクリスト(No.1)というものはやっぱり他の銘柄とは根本的に違う。海に存在する気の遠くなる溺れるような深さがフルボディへの怖れに変わるとかえって軽くなる。だが濃い。白味までもが濃い。辛みが出ても濃さに掻き消されている。それが「濃いのに強くはない」という全音音階のようなまどろみに収まっている。鼻を突く胡蝶蘭の気高い香が濃さと鬩ぎ合う。恐ろしいのに海女のように軽い。中型遊覧船のすぐ脇で海女が潜っているのである。スクリューに巻き込まれてしまわないか。
 全く以てこの美味しさが何なのかわからない。緑色の海を覗くようなおどろおどろしい美味しさ、という一文で限界だった。中盤でスパイシーになったのは憶えている。茶色い葉巻がこうも深緑だという事に禁じえない驚きを禁じる次第である。かくしてよちよちと遠浅の海岸で泳ぐのだった。けっして青い海ではない。
 この箱はモンテ・エスペシャルの2011年の箱とは次元が違う。久しぶりに葉巻が葉っぱの最高峰だと疑わなかった。「深い深い」といったって大抵その言葉自体が浅さを満載しているものだが。一言でいえば何だって「何がなんだかわからない」ものなのかと思ってしまう。浅いものも不可解であれば簡単に深くなる。もっとも簡単なものがもっとも不可解らしい。
 濃厚ながら、葉巻の不甲斐無さを払拭する一服の清涼剤だった。後半は落ちるが、落ち過ぎはせず、前半のみで後半を挽回するほどの物。全く時空が歪んでいる。
 後半の後半になるとあの口臭のような甘くて刺激的な香草が伸びる。それが金木犀に燻されている。
 木か革か土かというのもまったくモンテ風で、もはやまったく木や土や革を感じない。
 全体に雑味の暗雲を覆うほどの分厚い暗雲が支配している。雨は降らず、雨の降る間際の暗雲こそが美に気付かせるのだとしたら、これほど美味しい暗雲はない。全く以て緑色の海と同じ話だが。

 三ヶ月前のこの物より3gも軽くてスカスカだが、軽さなりの良さがあった気がする。とりわけ序盤は海としかいえない。
PR

忍者ブログ [PR]