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  源氏物語「葉」
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|APR SEP 10|5 1/2 x 50|puro-express|€77.25/10|重量:0(13.19g)|算出:+6|香味:+4|

 このELもトリニダッドEL同等のかなりの褐色である。あれほどブルーミー(?)ではないものの。
 ブルーミーなマデューロにはダニも湧きやすい(?)。ダニの存在に気づかない人もいるが、よくよく見れば葉巻には結構な確率でダニがいる(葉巻に居なくても箱に居る。箱で買わない人ならダニに遭遇しない可能性もある)。ダニより多いのは、白黴とブルームを混同している人である。「やった!ブルームが生えてる!」という喜ばしい人の葉巻画像を見ると、たいてい白黴なのである。そもそもブルームというのはそれほど騒ぐ事でもない気がする。もしそれによって旨味成分が多い確証を得たとして、その旨味成分自体が不味かったら、黴の生えた葉巻の方が美味しそうである。
 この葉巻にはブルームも付かずダニもいない。昨日のトリニダッドでは二匹発見した。

 一服目から、トリニダッドとは一転して、不整合な感覚がなく、褐色がきちんと嵌る。
 褐色といっても、ラッパーはたった一枚の薄い葉なので、全体の香味にそれほど関係ないのかもしれない。だが思った以上に外観どおりの味がする。
 二口目にして不思議な美味しい浮遊感がある。ハバナに居るのに同時にニカラグアに居るという完全犯罪の浮遊感に始まり、段々とハバナが国境の形を整えてくるのだが、はや葉巻の絶頂の香味をもって輪郭を整えてくるのである。
 金木犀とココナッツの間の子のミントを抱くような、揮発性の草が浮遊感の正体か、出だしではニカラグアの樹脂にミントが添えられていたらしい。
 脳髄を何処かに運ばれるような感覚である。差し替え可能な脳髄というか、頭が電気になってしまった。頭というものは電気になりたいらしい。
 まだ1センチだが、もう一箱買いたい。
 そもそも私はショートロブストみたいなサイズが嫌いであり、リンゲージ50なら最低ロブストの長さがなければいけない。この点のみで、トリニダッド2010は失格で、パルタガス2010は合格なのである。
 マデューロっぽい感じはあまりなく、樹脂から重厚なナッツに変わっていく。樹皮ではなく、白木などはさらさらなく、濃密な樹脂であり、それがナッツになるのである。
 樹液に纏い付かれたほこほこたるはずの中身は金木犀とココナッツとミント、パルタガス感はなかなか感じにくい。だがこの重厚な香ばしさにしてバランスが良いのはパルタガスならではなのかもしれない。単純に旨味がちゃんとあるという事なのだが、その旨味が何なのかわからない。芋も感じないし米でもパンでもない、麦や藁などもない。甘くて旨くて香ばしい。ちょっと苦い。まったく完璧なのである。吸い進むにつれ、ルシタニアスの全盛を思い出させる。外郭がまったく違うのだが。
 派手だが、これに比べるとコイーバ1966でも創作に失敗した創作料理に見える。もっともコイーバという素材の良さは試作でも消えないけれど、1966はコイーバらしさに頼りすぎている気がする。中身がモンテクリストのようだったし。このインチキ分析は、旨味に於いてはどのブランドもパルタガスには負けるという事でしかないのだろう。
 これだけ褒めておきながら、+5にはならないのである。バランスが良いといっておきながらバランスが悪いというか、最初から最後まで強烈一辺倒で変化の妙がないというか、当りのルシタニアス(http://dovidaff.pazru.com/Entry/212/)には簡単に負ける。枯淡というようなものが完全に欠如している。褐色が枯淡の風味に枯れるまで待つべきなのか、待っただけ損になる予感もある。枯淡というのは、ヴィンテージモノを指すのではないから。
 それにしてもこの外郭の濃さにバランスしている中身というのは凄い。今回はそれが静かだから、より凄さを感じなくもない。中身自体がなんなのかまったく空気のようにわからないのに。
 このようにして終盤の満足感を得た辺でまだ中盤の序の口にさしかかったばかりなのである。なんと、これならペティロブストで良かったような気がしなくもない。私はもはや葉巻に疲れて、いまやパイプをちびちび吸いたい。いかにも凡庸だが、パイプを吸おうと思った日には葉巻が吸いたく、葉巻を吸おうと思った日にはパイプが吸いたいのである。
 こう書いた直後、パルタガスらしい荒々しさに覆われる暗雲の雰囲気になる。だが肺喫煙してみると、なんと軽いのである。この軽さには今まで気づかなかった。当然咳き込むものだと思っていた。軽いといってもタール30はあるけれど。……パイプをちびちびしてニコチン酔いする人もいるらしく、この葉巻はもしやそんな人でも大丈夫なのではないだろうか。パイプでニコチン酔いした事がないのでわからないが、パイプでニコチン酔いしない為に葉巻に馴れるのも手だろうとは思う。
 荒さは雰囲気のままにとどまる。
 あまり関係ないが、片燃えがずっと続いていた。
 嘗て1001で2本買ったEL-D5のするするしたサランラップを舌に貼ったような感触はまったくない。あれはあれで特別だった気がするが、近年のELはマデューロ傾向のみがあって、それゆえニカラグアっぽいのだろうか。昔のELがわからないのでわからない。大体、2年熟成させた葉を使用しているとか5年熟成させた葉を使用しているとか言われても、0年の物を買って自宅で熟成させれば葉巻が黒くなるというものでもないのである。つまり、製造者の熟成方法と自宅での熟成はまったく異なり、基本的に熟成させないハバナがマデューロを作ればマデューロばかり作っている国の葉巻に似てしまう。これがマデューロなのかどうかもわからないが、かえって通常のハバナよりも凡庸なのである。要するに国交断絶亜米利加人向けなのか。国交断絶でなければ、亜米利加人向けではないのか、わからない。私は亜米利加人を馬鹿にしているのではないのである。こんな教科書的な文句にはまったく興味がない。
 このようにして、終盤はあまり面白くない。余計な事を考えさせるのである。荒いが、パルタガスらしい荒さというよりは、ただの老衰の雑味ばかりがある。最終盤独特の熱による薄荷の所為で、モンテやコイーバに近づきもする。それにしても長く、凄かった。残3センチまで持つか持たないか、最々終盤は薄味になり、その所為で軽く感じるが、強い。辛みも消え、実にするするとしているのである。
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