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  源氏物語「葉」
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|TEB SEP 07|6.8 x 43|coh-hk|$193.50/25|重量:+1|算出:+6|香味:+4|

 頭蓋骨でも届いたかね。郵便局員の朝は早すぎるのだが、何にしろ小包が届くのは吉兆である。
 梱包を解くと五年も古びていると思い、若々しいインメンサスを知らない為、老人を見る思いがした。寝惚けながら計算すれば実は四年強であり、半年にどれほどの違いがあるのかわからないまま、美味しそうなイメージも湧いた。
 蓋を開けるとずらりと巻きが美しく均一で、レギュラー品では見たことのない美々しさ。これはどういう仕業であろうか。今思えば美味しさが確証された箱であるらしかった。
 こんな前置きはどうでもよいと思われるであろう。だが私には判断がつきかねる。
 一服目から非常に染み臭くまろやかな木香が垂れたのである。昇らずに垂れて、香りは木だが、感触は土である。
 ボリバーは靴屋、つまり革なのである。木でも土でもなく、靴屋の裏手で、葉の熟れた旨味が初っぱなから炙り出されて燻る。
 実際のところわからないが、一本目にして熟成のピーク感が脂の無いカルビのように犇めいている。かといって動物的なのでもない。
 フルボディだが、荒さや辛味がほとんど出ないのであまり強く感じない。落ち着き払った焦茶色の靴屋の重厚な雰囲気と非常に甘く蒸した花の香り。ココナッツと金木犀の間の子のような。それも革こそが口内で漂うまでに挽かれ、白くてまろやかな糖蜜を帯びた花粉に変わる。
 煙の感触がこれまでの煙と違う。空気に溶ける絹糸の重量をもった煙である。
 変化は静かで、のろい季節の春草が萌し、花が草いきれに紛れる。それは別の花である。変化はしないともいえる。一時的に草が差し、引いただけで、元の調子に戻る。あるいは糸が途中で千切れるが、磁石を裂く天の川のようにまた繋がる。
 残六センチほどで繋がらなくなり、味も薄まって、不味くはならないが、咽に心地好い怨みが出てきたところで終わる。終わったようでなかなか終わらない。
 パルタガスの芋も無いしロバイナのカカオも無くモンテクリストの芳香も無い。あるいは全てがあるのだが、革の朧に霞んで、やはり靴屋で休息しているという非常識にして当然の素朴な感覚なのである。それにしては独特の蚕が憩っているのだが。

 清酒は清酒の苦味が増すようで相性が悪いかもしれない。
 好みか否かといったら、これは今のところ一番の好みだった。今日二本試したが、さすがに一本目の方が美味しく感じたものの、ダビドフに始まりボリバーに終わる気がしてならない。二本とも巻きが硬かったのがほんの少しつらい。
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