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  源氏物語「葉」
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|5 x 43|AtlanticCigar|$113/25|重量:−1|算出:+5|香味:+3|

 14本目にして漸く当たった。当たったのか約三ヶ月の熟成が必要だったのか判然としないが、たぶん三ヶ月が必要だったのである。プリトスも三ヶ月後に大変化けたし、今回のこれは漸くその化けたプリトスに追いついたという味である。化けたプリトスが美味しかったからこそこの箱を買ったのだが、この箱は13本目まではプリトス以下だった。
 微かに苦味のある、その苦味がまったく嫌味ではなく濃さに繋がって、木の芳香が充実している。木は果実を実らせるものだが、葉巻においては木が木を実らせる。しかもその木が綿のように柔らかい。実際には葉なので木ではないのだが、確かにただの木ではない。馬鹿の葉の木というか、馬鹿の木の葉というか。葉の木の馬鹿であろう。この馬鹿から、中盤辺りで花が咲くのである。馬鹿な花だ。馬鹿ほど優しいものもない。葉巻は馬鹿になりたい人のものなのだろう。では本物の馬鹿が葉巻を吸ったらどうなるか、それはわからない、自分の頭の事はわからない。他人の頭もよくわからない。
 ダビドフ風の松茸はあまり感じない。或いはダビドフよりも品質が良いような気がしなくもないのである。アヴォの‘クラシックは’ハバナの裾野のような穏やかさがあるので、富士山の裾野で富士に登るつもりもなく燻らせたらどんなに美味しいだろう。私は昔から富士山を見ると笑ってしまう。富士山があんまり馬鹿なので。
 三ヶ月以降、全部この手の当りになるのだったら早々分かり易いのだが、この事については残りの10本でおそらくほぼ完璧に確認できる。甘さや旨味の欠如も感じず、白湯スープめいた完璧なバランスを保っている。優しさはスープに小麦粉を溶いているのか。
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