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  源氏物語「葉」
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|5.62 x 46|AtlanticCigar| $7.20|重量:0|算出:+5|香味:+3|

 illusione は68をこれまで三本消費したのみで二本は不味かったのだが、これはまた出だしから固く美味しい。本当は三ヶ月は寝かせたかったけれど、試しに一本買いしたようなものなので小手調べである。
 基本的な質感はほぼ68と同じと言って良いと思う。微妙な差異を言葉にできるほど精通していず、精通してもやっぱりこれはイリュージョンだと思うに違いない。ニカラグアのコイーバという感じの。ハバナっぽさがあるからコイーバなのか、ハバナの中で特徴的なコイーバのようにニカラグアの中でコイーバのように特徴的なのか、半々だと思う。
 ラッパーの印象そのままか、皮が黒くて強い味がする。その黒く強い陰に佳きコクが平然と充満しているのである。つまり陰が表で、裏が明るみなのである。陰と黒さの、黒さは太陽を燦々と浴びた黒んぼの黒さだし、陰は反対に木陰の貴婦人かもしれない。芋ほどのコクがあり、花がそこから充溢している。それでもむろん柔軟ではなく、強くて辛い。
 勿論、香味の差異こそ定かではないものの、68と比べれば性急ではなく、緩慢過ぎもしない。実に気の合うテンポ。
 灰はかなり崩れ易い(灰のように崩れ去りたいと思う歳は疾うに越したが、私はむしろ崩れ易い灰に好感を持つ)。
 辛味は雑味とも捉えられるが、とくに嫌味はない。それはずっと続いて、花と芋がまろやかに混じってきても続いている。焼芋の皮が焼芋の半分近くを占めるような印象である。ハバナ葉の枯淡っぽさはさすがにないが、元気でもなく、哲学者でいえばヴィトゲンシュタインのような、精悍な皺と落ち着いた焦燥が見える。パイプを燻らせるデリダならまだしも、ヴィトゲンシュタインには怒られるかもしれない。ともあれヴィトゲンシュタインには葉巻と喧嘩する余裕はないだろう。
 これより大きくなって優しくなっても辛味(ニカラグアらしい辛味?)は消えそうにない。これぐらいのサイズのものを十分に寝かせるのが一等良いような気はする。この微かな灰のような苦味を伴う辛味はいずれ珈琲のような香ばしいコクに回収されるはず、という希望的観測である。液体の珈琲にしても雑味が完全に消える事は珍しい。

Country Of Origin: Nicaragua
Wrapper Type: Nicaraguan Habano
Color: Colorado Maduro
Binder / Filler: Nicaraguan / Nicaraguan
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