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  源氏物語「葉」
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|UGA MAY 09|194mm x 49|Cigars of Cuba|$106/10|重量:+1|算出:+8|香味:+5|

 D4の後に蓋を開けると随分不揃いな葉巻に見える。D4ほど白くないが、ラッパーも白いものから斑のものまで色々。
 これで5本目だけれど、とうとう吸い込み絶妙のものに当たった。
 なるほど漸く本領を発揮してくれたのか、D4に似て、シャルトリューズ酒にシナモンを利かせて茶色くしたような(ベネディクティン酒のような?)、えも言われぬ芳香がある。それを至極優しい芋のヴェールで包んである。たったの熟成二年未満だが、ハバナっぽさもこなれて枯れていて濃すぎない。枯れたような雑味がかえって芳香の新鮮さを際立たせている。D4にはたぶんこの枯淡味は無い。
 シナモンを思わせるスパイスは、このボックスの空いたスペースにオーパスⅩのダブルコロナを三本入れていたからか、それに近い風味にも感じられてしまうが、たぶんそれほど影響は無いと思う。
 筆者がパルタガスっぽい(芋っぽい、荒っぽい)というときには最近は主にプレシデンテを指しているらしく、D4とルシタニアスはパルタガスにしてはパルタガスらしくない。こういうものを味わうとまた地味で強烈なプレジデンテに立ち戻りたくなりもする。そんな立ち位置だからか最初は「強くて地味なパルタガス」という印象だったけれど、結局最大限におもしろく長年オツキアイしたいものだとわかる。
 中盤もややすぎると、芋っぽいコクが輪郭を増して、同時に華やいでくる。木でも土でも革でもなく、枯れた葉はそのまま、かなりコク深い。香りにもコクにも葉巻の最大限というものを感じる。飲み物を紅茶からビールに替えたからだろうか。夕方前から遠野麦酒ヴァイツェンビールを飲みながら葉巻を吹かして遠野物語ではなく坂口安吾を読んでいる。読もうと思ったが美味しすぎて一頁も進まない。ヴァイツェンは昔から葉巻に合うと思っていたけれど、確かに葉巻は芋が膨らんで美味しくなって、ヴァイツェンの小麦は芋に消されがちになった。ルシタニアスとヴァイツェンは少し似ているところがあるかもしれない。
 そのうち雑味が消えて、気圧の高い旨味はそのまま、ここぞとばかり甘い木犀が咲く。しかもまだ10センチも残っているのである。まるでロブストのような変化で此処まで来てしまうと後はどうでもよくなって、落ち着きなく煙りにまみれるのみ。(後期:葉巻の方も吸う人を反映してか落ち着いたり荒れたりを繰り返していた。要するにパルタガスっぽくなった。残三センチぐらいまでは完全に美味しい。)
 なんとも完璧な一本で、この葉巻が昨年末の私のような初心者に酷評されたまま終わるはずがなかった。
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