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|UGA MAY 09|7 1/4 x 49|Cigars of Cuba|$106/10|+2|+2|
一本目
到着日に着火。
端から甘い。ハバナらしい香りはあまり強くない。「杉」と何処かに書かれていたので心配していたら、本当に杉っぽい。パルタガス特有の芋はほの見える程度。杉を過敏に毛嫌いしなければなかなか美味しいような。
ややカリッとした感じの甘皮がぼうっと土のようにふやけてくる。けっこう優しい仕方でずっと花が咲いている。土も優しく去り、結局杉がぽつねんと立っている。と思うと春の土煙が立つ。
着火前は土が蜂蜜で湿っているような香りだったが、着火すると軽くなって、重さの面影がおもしろい。優しいのに何故かパルタガスの強烈さを忘れさせないところがある。ショートが大好物という人には至極優しいだろうけれど。
最序盤でも感じたのだったが再びモンテを彷彿させる香味がくる。
それからなんだか海の味。海といっても塩味はまったく無いが、「塩」と書いた途端に塩味になった。サンルイレイの時にも書いたけれど、「塩」というのは実際には感じていなくて、念じれば何でも塩味になってしまうような胡散臭さがある。塩について考えているとカカオふうのコクがくる。草は無いなと思っているとそこに微風ほどの草。塩のお陰か、念じたことが何でも実現する葉巻らしい。試しにダビドフを念じてみたら、本当に下駄箱や松茸になった。
そういえばバターだけが無い。念じてもバターだけは出ず、粘土になった。粘土は最終盤に出るはずのものなのだが、まだロブストサイズぐらい残っている。微かにいがらっぽくなって、長い病院生活が始まるような気配だったが、甘くない粘土から甘い木星がずっと咲いていた。
パルタガスのルシタニアスという名前だけで気が引けてしまうけれど、ダブルコロナとしては高価ではないし、高価な味もしない。
カカオが復帰して、花は少しなりを潜め、辛味が少し出て、薄い葉っぱの味になり、秋ももう終わりだなぁと切に思う。長い最終盤というか最初から最終盤だったかのような、何だか痛切な葉巻で、何も無かった一年を一人大晦日に振返るのに最適っぽい。何かあったのだったら、何もなかったことにしてしまいそう。
二本目
葉巻の要素が全部あるかのように複雑だがおとなしく、これといった爆発も奥床しさも感じられなかった。それがこの葉巻の良さなのかわからないけれど、平穏無事に終わるのが寂しい。香木の薫りなどはほぼしないのに、坊主向けの葉巻という感じ。
三本目
到着して三週間しか経っていないけれど、三週間目は私には美味しい区切りなので早くも三本目。十本入りだと三本ぐらい吸ってしまわなければ勿体無さが感じられないというのもある。こういうせこい経験は役に立つとは思う。そもそも寝かせるという行為からしてせこいのだから、五十本買って五年で無くしてしまうのが最良だと思いながら早くも三本目を吸うのである。
着火せずに吸っているとハチミツ。土なのかカカオなのか、重いのか軽いのか、強いのか弱いのか、濃いのか薄いのか、草か草も生えないのか、蜂蜜を残すのか残さないのか、美味しいのか不味いのか、微妙に揺れ動く乙女のようないじらしい感じがある。
土と木の中間であり、土とカカオの中間であり、カカオと草の中間であり、草と木の中間に花が咲く。回りくどい感じがある。私にはこういう感じのものがあまり良く理解できないらしい。変化もするけれど、なんかモンテとパルタガスとロバイナを足して割ったような感じを薄めたような感じ。順序を逆にして、ルシタニアスからすべてが生まれたというふうに感じられれば美味しいのかもしれない。集大成的なものが嫌いなだけかもしれない。私がまだ集大成に及ばないといったって、謙遜というのはたいてい嘘くさい。まあ趣味は変わるさ。
こんなふうに思いながら吸っているとモンテとパルタガスとロバイナどころかアップマンやらパンチやらポンチやら他の色々な葉巻も当然現れてきて、只管長いエンドロールを見ているような気分になる。エンドロールに集大成がある特殊な映画らしい。大団円はない。つまらなさが味わい深いような。でなければ「ポンチ」なんていわないよ。
結論
三本ともほぼ同じ味だった。ただ変化の順番が随分違うような。
好き嫌いはともかく、三本とも年末に相応しい気が切にした。大掃除のような雑味も時々ある。最終盤に派手なフィナーレが訪れるのでもなく、甘い花が土臭い落ち着きの中に咲いて、最終盤を平凡に迎える。この最終盤は葉巻としては常軌を逸した大らかさだが、来年も平凡な一年になりそうな。かといってこれ以上越年に相応しい葉巻もない。
一年半前の製造で、これはこれでこそ既に完成している気がするのだが、十年ぐらいは当たり前の葉巻だというし、来年になったら既に年末に相応しくなくなっているかもしれない。
大きさに因って美味しさを不当に過小評価している気もするし、かえって夏至辺りに吸った方が美味しく感じるのかもしれない。
一本目
到着日に着火。
端から甘い。ハバナらしい香りはあまり強くない。「杉」と何処かに書かれていたので心配していたら、本当に杉っぽい。パルタガス特有の芋はほの見える程度。杉を過敏に毛嫌いしなければなかなか美味しいような。
ややカリッとした感じの甘皮がぼうっと土のようにふやけてくる。けっこう優しい仕方でずっと花が咲いている。土も優しく去り、結局杉がぽつねんと立っている。と思うと春の土煙が立つ。
着火前は土が蜂蜜で湿っているような香りだったが、着火すると軽くなって、重さの面影がおもしろい。優しいのに何故かパルタガスの強烈さを忘れさせないところがある。ショートが大好物という人には至極優しいだろうけれど。
最序盤でも感じたのだったが再びモンテを彷彿させる香味がくる。
それからなんだか海の味。海といっても塩味はまったく無いが、「塩」と書いた途端に塩味になった。サンルイレイの時にも書いたけれど、「塩」というのは実際には感じていなくて、念じれば何でも塩味になってしまうような胡散臭さがある。塩について考えているとカカオふうのコクがくる。草は無いなと思っているとそこに微風ほどの草。塩のお陰か、念じたことが何でも実現する葉巻らしい。試しにダビドフを念じてみたら、本当に下駄箱や松茸になった。
そういえばバターだけが無い。念じてもバターだけは出ず、粘土になった。粘土は最終盤に出るはずのものなのだが、まだロブストサイズぐらい残っている。微かにいがらっぽくなって、長い病院生活が始まるような気配だったが、甘くない粘土から甘い木星がずっと咲いていた。
パルタガスのルシタニアスという名前だけで気が引けてしまうけれど、ダブルコロナとしては高価ではないし、高価な味もしない。
カカオが復帰して、花は少しなりを潜め、辛味が少し出て、薄い葉っぱの味になり、秋ももう終わりだなぁと切に思う。長い最終盤というか最初から最終盤だったかのような、何だか痛切な葉巻で、何も無かった一年を一人大晦日に振返るのに最適っぽい。何かあったのだったら、何もなかったことにしてしまいそう。
二本目
葉巻の要素が全部あるかのように複雑だがおとなしく、これといった爆発も奥床しさも感じられなかった。それがこの葉巻の良さなのかわからないけれど、平穏無事に終わるのが寂しい。香木の薫りなどはほぼしないのに、坊主向けの葉巻という感じ。
三本目
到着して三週間しか経っていないけれど、三週間目は私には美味しい区切りなので早くも三本目。十本入りだと三本ぐらい吸ってしまわなければ勿体無さが感じられないというのもある。こういうせこい経験は役に立つとは思う。そもそも寝かせるという行為からしてせこいのだから、五十本買って五年で無くしてしまうのが最良だと思いながら早くも三本目を吸うのである。
着火せずに吸っているとハチミツ。土なのかカカオなのか、重いのか軽いのか、強いのか弱いのか、濃いのか薄いのか、草か草も生えないのか、蜂蜜を残すのか残さないのか、美味しいのか不味いのか、微妙に揺れ動く乙女のようないじらしい感じがある。
土と木の中間であり、土とカカオの中間であり、カカオと草の中間であり、草と木の中間に花が咲く。回りくどい感じがある。私にはこういう感じのものがあまり良く理解できないらしい。変化もするけれど、なんかモンテとパルタガスとロバイナを足して割ったような感じを薄めたような感じ。順序を逆にして、ルシタニアスからすべてが生まれたというふうに感じられれば美味しいのかもしれない。集大成的なものが嫌いなだけかもしれない。私がまだ集大成に及ばないといったって、謙遜というのはたいてい嘘くさい。まあ趣味は変わるさ。
こんなふうに思いながら吸っているとモンテとパルタガスとロバイナどころかアップマンやらパンチやらポンチやら他の色々な葉巻も当然現れてきて、只管長いエンドロールを見ているような気分になる。エンドロールに集大成がある特殊な映画らしい。大団円はない。つまらなさが味わい深いような。でなければ「ポンチ」なんていわないよ。
結論
三本ともほぼ同じ味だった。ただ変化の順番が随分違うような。
好き嫌いはともかく、三本とも年末に相応しい気が切にした。大掃除のような雑味も時々ある。最終盤に派手なフィナーレが訪れるのでもなく、甘い花が土臭い落ち着きの中に咲いて、最終盤を平凡に迎える。この最終盤は葉巻としては常軌を逸した大らかさだが、来年も平凡な一年になりそうな。かといってこれ以上越年に相応しい葉巻もない。
一年半前の製造で、これはこれでこそ既に完成している気がするのだが、十年ぐらいは当たり前の葉巻だというし、来年になったら既に年末に相応しくなくなっているかもしれない。
大きさに因って美味しさを不当に過小評価している気もするし、かえって夏至辺りに吸った方が美味しく感じるのかもしれない。
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