｜4 4/5 x 50｜cigarOne｜$19｜＋５｜＋４｜

　岩味が柔らかい。染みた草の香（ふつう染みるのは木なのだが）、葉巻の吟醸香とでもいうような。旨味も磨きぬいた米の芯を思わせる。淡泊さと旨さを兼ね備えているというか、しつこさが無いというか。濃いというより膨らむ味わいで、そこに始終岩香が馥郁としている。
　木や土ではなく、薄く鞣した革を巻いたような高級感溢れる味わい。しかしそういう食べられない物の印象は薄い。チョコともいい難いがチョコのような美味しさ。チョコでも吟醸香が漂っている。終盤、強烈に木犀が咲く。
　これはもはや木犀ではない、もっと別の毒々しいほど可憐な花。根元では花混じりに薄荷粉の旨味が爽やかで濃厚な終わりを告げる。

　気分が悪い時に吸ったら気分が良くなった。美味しいものは気分が悪い時に消費すべきなのか。今までのコイーバで一番美味しかった。非の打ち所がない。さすが葉巻の王。

　王というとどんな凄い深海魚が濃厚に現れるのかとも思うが、実際に現れたのは王らしからぬ優しい凛々しさ。クイーンでもないし、トランプでいうとＪ（11）の印象に近い。Ａでもないし、10以下ではない。