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  源氏物語「葉」
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3.9 x 30|Cigars of Cuba|$81/25|+3|+2|

 「これだ!」と思うほどのハバナ感が一口目からある。キメ細かい粉のような白い甘味も。初っぱなから強く、厳しい乾きを感じる。革や木よりも凡そ土だが、甘い粉の白さに紛れて土っぽさは薄らいでいる。しかし乾きが土っぽさを強調してもいる。沙漠で立往生してしまったようなどうしようもない気分になる。故障した車のオイルの劣化まで感じられるような。素朴というのとも違うし、鼻で吹かしていると仙人掌のようなものから金木犀のようながぐわしい花も咲くし、美味しいのだが、しかしこの疲れは何だろう。オイルをドライヤーで乾かすような虚しさがある。雑味の所為かもしれないし、雑味にボディの強さが加勢しているような気もする。
 グロリアクバーナに位置が似ている、モンテクリスト寄りのグロリアクバーナといった感じ。白くて甘い粉は、ダビドフのエスキジトスや、モンテクリストのホイタスで一度感じられたものにそっくりの美味しさ。

 小さいものの内でも絶妙なサイズで、太さもそれなりにあるので煙の量もなかなか。この鬱病のような底無しの空虚さもかえって面白い。ただデイリーには向かないような。最後には短くて良かったという安堵感まである。

 イガイガしさは抜けないが、一ヶ月過ぎに突然どれもがまともな味になった。乾きも若干薄れたが、疲れも若干薄れた。良くも悪くも平凡になったというか、一ヶ月経つ前の疲れ切った感じの方が印象深い。


後記:
 まだ二ヶ月も経っていないのだが、吸う毎に一方的に美味しくなっている。疲れ切った感じは炭火焼の焦げの香ばしさに変わっている。焦げと互いに引き立てあうかのように枯葉の旨味が只管美味い。白い甘味がどことなく爽やかさを保水パックのように保水しながら黄色くバターめいてきている。枯れているのに爽やかで旨い。最高の秋刀魚に合うような。生臭さは皆無で、香草を添えて饗される。

 最後の一本(購入から二ヶ月半で終わり)。疲れを少し残したまま、なんだか氷漬けのミントのような爽やかさに変わっている。連日吸える小さいものの方が簡単に葉巻の変化を感じられるのか、小さいからといって奥行きがないこともないらしい。バターだの花だのチョコだのスパイスだのといわしめる美味しい葉巻に厭きたら好きになりそうな銘柄。晩夏の蝉の啼鳴のような克明なしつこさとアイスキャンデーのような克明な爽やかさ。そういうものがしみじみとしている。
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