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  源氏物語「葉」
++葉巻++シガー++レビュー++個人輸入++ブログ

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5.5 × 50|AtlanticCigar|$7.55|+2|+2|

 非常に薄いラッパーがオイルで貼り付いているような外観に見える。着火時,オイルのせいか、本当にオイルなのか、ラッパーが燃えてしまい慌てた。すぐに吹き消したが、ラッパーが灰に変わった様子はない。燃え進まないらしい。吸ってみると、これまでのロッキーパテルに酷似した味わいでもあるのだが、外観に想像する味の方が濃い気がする、思い込みの所為かもしれない。
 しばらく進むと、ラッパーだけでなく全体が本当に燃え進まないことがわかる。進行速度は普通の葉巻の半分ぐらいではないだろうか。だとしたら11インチの葉巻と同等の時間がかかってしまう。それとも灰が縮んでいるのだろうか。吸い込みは絶妙で、煙も少なくはない。少し吸えば即美味しいので、必要以上に吸い込むことがないのかもしれない。
 熟成された葉の深みと煎った桂皮のような香辛料(またはもう少し爽やかな刺激のある香辛料、山椒のような)が、基調のロッキーパテル味を濃い靄のような葉で覆っている。ロッキーパテルなのに頭痛感がない。削れば正体を現しそうな。しかしこれは鰹節が削ってもまた鰹節であるように、削りどころがないはずなのだった。煙に巻かれたような気分である。雨が軸まで染み入ったような、じめじめした味わいに、表面だけしか濡れそぼっていないような味わいもある。雨の日に砂場を掘り返したら乾いた砂が出てくるあの感触。芯まで染み入っている方は、ほどよく香りが抜けた香木の味。
 遅い燃焼の効果か、片燃えは気配すらない。味は甘味や旨味こそないもののなぜか十分に濃いが、軽みがある、火が消え易いかもしれない。しかしゆっくりと進みゆっくり吸っているのに、消えるどころか火種は山形になる。灰は落ちにくい。柔らかさとしては感じさせないような柔らかさがある。
 音のように静かな味わいなので機会を選びそう。無闇に箱買いしたくもなるが、五本ぐらいストックしておくのが最適な満足感に至る気もする。酒よりも深夜に立てた茶の方がきっと合う。酔いが不潔なのである。日本に輸入されたせいでこの葉巻はこんな寺子屋じみた感想を齎されることになってしまった。
 最終盤、寺から立ち去りたいような気にさせる。帰って来られるのである。飽きるといえば聞こえが悪いが、吸わなくても良かったような気に変えるのである。素朴に佇む植物じみた風情だが、もし昼日中の原色が好きでも完成度の高さは認められると思う。もし帰って来られなければもう1点以上プラスする。点数などどうでもよいのだがという気にもなりつつ。

 この次に予定している1992トロは色こそこれほど黒くないもののこれより遥かにオイリーな外観で持った感じも重い。1992トルペドはそんなにオイリーではなかった気がするが。
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5.5 x 44|AtlanticCigar|$6.50|+1|+1|

 同11本セット。硬く巻いてある。薄い筋肉に覆われたボクサーという感じ。もはやロッキーパテルに共通の、疲れがどっと出るような芳香がある、風邪をひいた時の不穏な咽のような。茨じみた棘のあるフルボディで、芯が硬く、辛い。煙を吐き出してもずっとピリピリと残っている。すぐに甘さも出ている。微かに吸い込みが悪いが、辛いのでちょっとずつ進む感じで丁度良いかもしれない。凄く、強烈辛口。甘さも粉砂糖の砂場を吹いたように出ているが、甘さが辛さとほどんど喧嘩している。砂糖壷に一味を混ぜてみました。ボクシングの試合を真面目に観戦しているようなつらさがあるのだが、鼻に煙が少し入るだけで鼻の奥が痛くなる。鼻で水を啜った時の痛さに似ている。中盤にさしかかると既に咽がやられている。
 辛さは治まってくるが、ボディは変わらず強い。片燃えなどあり得ないふうに進んでいる。灰は黒みがかった灰色で綺麗にリングが並んでいるが、白くないので縞馬に見えない。苦みが出てくる。苦みも珈琲とかカカオとか、そういう気の利いたものを思わせない透徹した苦み。煙草感というものかもしれないが、もっと純粋な灰の苦みなのである。次は苦みと甘味との戦い。柔らかさというものが一切ない。色違いの針が五本ほど平行につっ立っている。頭でいえばニコリともしない間違えた哲学者のイメージ。心なしか本当に頭が痛くなってきた。私には耐えられないけれど、存在価値はありそう。微かにしか感じる余裕がないが、良い葉巻に付き物の小便臭さも始終ありはするのである。しかしそれをすると鼻頭に沁みるのでそれを楽しもうとは思えない。黄土色ではなく、黒焦げで、小便小僧が住んでいた家の火事の跡。
 苦みの勝ち。フルボディが好きな人にはうってつけかもしれないが、それでもたぶん恍惚感はない。色々な強さに気が散って頭がおかしくなりそう。寒いのでやる気が出ないが、風のある屋外で軽くプカプカやったら薄まって良いのかもしれない。ミテクレもリング44の細さも、風体が好ましく、いつかもう一度挑戦したくなりそう。
6 x 52|AtlanticCigar|$8.46|ー3|−1|

 同11本セット。美味しくない物として一括りにしてしまう為かsun grownとの違いがほとんどわからない。違いがわからないのは掬いたくないからだと思うのだけれど、ただより掬いどころがなく、苦みが目立っている。終盤、けっこうな塩味がしたのが印象深い。
5.5 x 50|AtlanticCigar|$6.50|ー1|0|

 同11本セット。外見が撫でられた石地蔵や古びた茶筒のようにツヤツヤしていて美味しそう。手垢は不味そうだけれど。吸ってみると日曜日の終わりにサザエさんが始まったような、疲れがどっと出る芳香。覚えればこれはロッキーパテルらしい芳香だったかもしれない。そんな焦げた銀杏に、気持ちばかり甘栗の甘味がある。熟成に失敗した変な葉が一枚混じっているような味がする。吸い込みも煙の量も中庸だが、芳香甘味旨味ともに弱いので焚火を吸っているような感じもする。中盤前から若干エグ味も出ている。これなら空気を吸いながら焚火に当たっていた方がおもしろい。ただ、ときどき微かに美味しい事もある。少し軽いミディアム。
6 x 52|AtlanticCigar|$5.95|+1|+1|  

 同11本セット。香木のような、黴臭くないタイプの古人形のような古びた味わい。焦茶色のマデューロだが、チョコなどではなく、深そうな木の味わい。これ見よがしな黒ではなく、経年で黒ずんだ茶色。香木は伽羅ほどではない。私はいつか、金閣寺を燃すように蘭麝待を丸ごと燃したい。ラッパーが至る所で脆く、それさえ繊巧な利点と思えてしまう魅力が醸し出されている。朱の剥げた仏像のように。
 甘味がそこはかとなくある。静かなミディアムボディ。半分日本で作られたような風味に香るような夜の寺、パァッと燃え上がりそうな。片燃えは強め。灰も崩落しそうな歪。こういう比喩の反面、葉巻独特の魅力には欠けるかもしれない。美味しい葉巻によくある小便臭い風味がなくはない。それからトースト。トーストというと葉巻レビューっぽくなる。よく焦げた食パン。苦みは穏やかで、コーヒーやカカオではなくて焦げ。ではなくて、というとレーモン・クノーの文体練習を思い出す。ではなく、といっても意味はなく、焦げは結局はじめから寺を焼くだけなのである。金閣寺や正倉院を焼くほどではない、もっと近所の寺。古いカルヴァドスに似た、深くも案外爽やかな、しかしやはり爽やかでないところがある。爽やかさは焼け跡の爽快さかもしれない。家畜臭はまったくしない。饒舌はたいして美味しくない証拠だけれど。
 最後の最後でベリーを乗っけたチョコのようになる。ベリークリームではなく、カカオ100%に近い。半月が抉られている。
6.25 × 52|AtlanticCigar|$9.55|−2|0|

 前項同様50%以上お得な価格で買ったが、9.55で算出。
 雪が降っていたのでもっとも白い葉巻を選ぶ。ここまで白っぽい葉巻は見た事がない。白い小麦色。それでも豊潤な味がするのかと思ったら若い味がする。ホワイトブランデーだとか、そういうものに似ているかもしれない。しかしどうしてこれが若い味だということになるのだろう。若いから若い味なのではなかったら……。葉巻が若いのであって年が若い味がしたりしない。クラッカーの味がする。クラッカーは若いのか。
 箱入り娘のようにまったく外出させないで三十年間ヒュミドールに閉じ込めたほうが良いかもしれない。灰も真白でほとんど縞馬状にならない。
 雪のような、ここぞという時に威力がなかった。何も吸うものが思い当たらない時に簡単に噴かすのがよさそう。雪には合わない。蟹のような味。蟹は雪に合いそう。燃した味がないのでもなく、確かにロッキーパテルっぽい味がするが、前に出過ぎてかかえって視界から消えているのか、軽くて希薄、背後から漂ってくるようで煙も少ない。甘味も粉雪のように薄らとしている。苦し紛れの雪でしかない。
 中盤、ローズマリーのようなコリアンダーのようなハーブの芳香が強まる。カルダモンかもしれないが、多分どれでもない。若さは吹矢のようにフとする時にセメダインとなって顕著になる。始終クラッカーの味はしない。トルペド形ではない方がよさそう。平然と根元まで吸えて、片燃えはまったくない。雪のお陰で記憶には残る葉巻となったっぽい。
6 × 52|AtlanticCigar|$6.80|+1|+1|

 前項同様11本セットの内の1本。
 弱くて強いミディアム。何処かで嗅いだことのある香りがして、腑に落ちるようで落ちなかった。昨日吸った葉巻の香りかもしれない。雨上がりの曇天の気怠いフルーツのような。特定のフルーツではなく、古びた金物屋の片隅で何故か各種フルーツを売っている店のような味わい。何処か人の住む家屋の香りにも似ているのである。小学の息子に一口吸わせてみたら、優秀で、「滝本君家ではないか」と言う。更に質してみれば滝本君は駄菓子屋の息子であるらしい、そういうつまらないモウソウが浮かぶ。わざわざカタカナで書くのは、恥ずかしながらソウに草を掛けているからである。妄想と妄草と煙草。片燃えがまるでなく、灰を落としてみれば、落とした灰(凹)も残った火種(凸)も美しい形をしている。険しさがまったくなく、純朴な小山型である。簡単に凸と凹を接着できそう。灰の側壁は縞馬や象の鼻を思わせる綺麗にリングを重ねた模様で、何回吸ったかがまざまざと刻まれている。
 パイナップルでもよいが、イチヂクの甘味が始終感じられる。どちらかといえば酸っぱさが無い果物なのである。だがパイナップルの方が金物屋や駄菓子屋、古びた家に似合う。吸い込みは万全で、煙が微かな苦みのような歪みを帯びて香ばしい。香りも微かに甘いが、鼻が甘いとはどういうことだろう。甘さのあるものの記憶を呼ぶ香りという事だろうか。甘さが味覚に特化したものであると仮定して、これは慣用句の甘さではない。馬鹿を甘いといったり、男女関係を甘いといったり、ということではなさそうなのである。昨夜と同じ香住鶴を飲んでいるが、昨日ほどは合わない。トルペドとは違って、吸口が大きい所為かもしれない。しみじみとしているのが感動であるのかもしれないが、そんな葉巻に感動はない。人間を馬鹿にするタイプではないのである。
 相変わらず灰の稜線が美しい。また二回目の灰を落としたのである。「二回目の灰を落とした」などという瑣末なことはしみじみとしていなければ書けないことであった。そして相変わらず美しくなければ。一本目なのでわからないがすべてがこの灰であったなら灰の美しさの為に箱買したいぐらいである。三回目の灰は落とさないであろう。食べちゃうから。だが結局三回目を落とした。根元まで美味しかったのである。食べるはずのものは煙に消えた。灰を見ての心情としては高得点、というか灰だけなら+5の美しさ。
6.25×52|AtlanticCigar|$9.55|+2|+2|

 前項同様11本セットで50%以上お得な価格で買った内の1本。
 甘栗のような手触りで、撫でていると甘栗を剥きながら食べた後のように指が汚れる。剥いた甘栗を食べてしまうような感興に始まるのである。だがどちらかといえば食べるのは皮の方であった。実際、甘味は無い。香りと苦みがある。軽いミディアム。旨味もなく、只管吸い込みがよくて香りが立つ。トルペド型で吸い込みが良いと融けたチューペットを吸う快楽がある。おちょぼ口にはさぞだろう。焚火も焼き芋もやはり皮だけのような。こういう思わせぶりなところが良いなどと自分を慰めていると突然甘味が吹き出す。香にも銀味が増したように感じられる。とまた突然今度は香にまで芋味が感じられる。この香は一瞬のことだった。
 苦みのほろほろと舞っていて通奏低音のように落ち着く。特別美味しいわけではないので多少むかつくが、常にビターで香ばしいのである。甘味がそこに出たり入ったりしている。モグラ叩きのモグラが剥いた芋であるかのように。
 灯油のような風味があり、ニトロのような甘味に直結する。葉巻の形はそういえばダイナマイトにも似ている。セメダインに酷似した爽やかな草系のスパイスが利いている。シンナーのような物が着々と燃えているのである。
 香ばしきビターというのとは違う。モグラをけっして強く叩きうることがない。聞こえがよいかわからないが、甘味が爆発することがないのだけれど、そこがまた煙らしい。
 日本酒に合う。たいてい日本酒ばかり飲んでいるのだから仕方がない(やや甘口の吟醸生原酒(香住鶴)、醸造アルコール入り)。残り10センチほどでシケモク味や薄荷が出始めるが、かえって旨味が増している。マイナス点にも良い効果があるのかと思っていると、咽がやられてきて急速にクロスフェードを終える。と思えば甘味がまた居残っている。それもすぐに帰ってしまう。あとはしつこく吹かしてみるのみ。何処か物足りないが、物足りなさこそ本領かもしれないと思わせなくもない。苦くて柔らかかった。
6 × 52|AtlanticCigar|$6.80|0|+1|

 ロッキーパテル11本セットで$79.14のものが$34.99という50%ほどお得な価格で買ったが、6.80で算出。
 冬の午後七時。口径の広さからか吸い込みが悠々としている。フルがゆったりとしたかのような寛いだミディアム、大仰にいえばライト。巻きを緩く感じてしまいそうだが煙が豊富で減りも早くない。甘味もゆったりと薄く、薄い苦みが目立つ。小姑のような私には甘味よりも苦みの方が目立ちがちなのかもしれない。甘くて苦いサンクトガーレンのスタウトビールを一緒にしている所為かもしれない。焦げも黄砂状に舞ったきな粉のようで、悪いようでおもしろい景色。けっして良くはないが、鼻の頭に沁みる燠の風情がある。半分過ぎにはやくもシケモクが出てきて太さに相応しい単調さのままに終了。40分。と思って以降、しつこく吸い続けると5分で山椒が出てきて再終了。

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