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  源氏物語「葉」
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|MPE FEB 10|235㎜ x 47|coh-hk|$92.65/5|重量:+2|算出:+3|香味:+3|

 なんだかAが小さく見えたので何でもない日に手に取ったのだが、思えば夏至に相応しい。

 まろやかな苦味が始めからある。この甘いコクのある苦味はモンテクリストかサンチョパンザでしか感じないもの(または微かにベガスロバイナでも感じる)。着火前の香りからして美味しかったが、この苦味にキャラメルの香ばしさが加わって始めから古典的なモンテクリストの美味が出ている。麦の旨味と草の爽やかさも感じる。序盤でこんなに濃厚であっては後々大丈夫なのかと思っていると中盤で減衰する。旨味と甘味が無くなり、高級な香ばしさのみになる。実はハズレだったという落ちではなさそう。それにしても強烈濃厚な香ばしさである。実に葉巻らしい香りなのだが、こういう香ばしさはモンテクリストでしか得られない。ともすると路地裏の下品な風情にも通じるのだが、それはそれで路地裏にきっと花が咲く。
 木犀はずっと軽くしか咲いていない。あまり変化もないと思わせておきながら、木や土の土台の部分が暗黙裡に変化しているような。旨味と甘味が無くなったからか、味気ない木が目立ってきたのかもしれない。
 一時間ほどしたら強烈に甘くて濃い燻したような木犀が漂ってきた。中盤で休憩させておき長々しいフィナーレを迎えさせる算段らしい。
 木犀が落ち着くと杉の香。杉も大分塗り込められて、杉そのもののような鮮やかさはない。それが黄色く膨らむような軽やかな香味に変化する。茶色さを洗い流した黄色い花のような。
 最終盤は以上のようなものが火薬の香味をもって花火のように打ち上がる、が、低く打ち上がる。油っぽさも少し加わっているかもしれない。

 飲み物の相性は不明。珈琲は文句なく合いそうだけれど、この葉巻は夏至にして夜だろうし、珈琲では二時間半ももたない。清酒も赤ワインも悪くなかったが、安物しか用意がなかったのでつまらなかった。清酒なら原酒の方が良さそうだし、赤ワインもフルボディの方が良さそう。葉巻が濃いので飲み物に負ける事はなく、飲み物の方が潰れてよいなら何でも悪くなさそうではある。
 夕食後の珈琲で序盤をやり、不甲斐ない中盤で醸造酒を嗜み、終盤で寝酒の蒸留酒をあおるのが理にかなっているかもしれない。

 久しぶりに「美味しいモンテクリスト」を味わった気になったが、濃厚にしてどことなく薄く、モンテクリストはもっとコンパクトで良いのかもしれない。エスペシャル1が一番良い気がする。
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|MUA NOV 09|4 x 40|coh-hk|$107.10/25|算出:−1|香味:0|

 総じて±0程度。なんだかモンテらしさが薄くて、このボックスが悪いのか、甘くカラメルを纏ったナッツの香ばしさもあるし当然モンテに似てはいるものの、これまでのモンテの印象とは随分違っている。床屋と洗剤がほぼ常に邪魔をする。特別不味くはないが、いつも美味しさの片鱗のみに終わる。片鱗がかなり美味しかったりするのでよくわからないのだが、舌が肥えたのかもしれない。
 バラツく美味しさはあるが、全体的にクリーニング屋というか、芋っぽい旨味のモノが多く、その時にはあまりモンテっぽくない。パルタガスの香りには芋は合うが、モンテの香りには芋が合わない。芋が出ない時は美味しいが、それはそれで荒い。それで憎めないのはトレペティコロナの可愛いところか。大ハズレも無いが、とんでもなく美味しい一本というのにはいくら吸っても当たりそうにない。
 コクは全体的に強いが、甘味は弱い。逆接ばかりで、辛味はなかなかある。一瞬大変美味しいが、冷静になれば特別美味しいものでもなく、かえって根本まで衰えない良さがある。

 結局到着日から一ヶ月休ませる云々よりも当たり外れの方が大きい気がする。1本目は落ち着きなくも美味しく、2本目以降は一ヶ月経つまで全部外れたが、約一ヶ月後に1本だけ美味しいのがあって、その後はまた外れが連続した。外れるだけでなく味のバラツキもかなりのもの。美味しいモンテクリストがどんな物だったかすっかり忘れさせるほど。だが15本目で漸くモンテクリストを思い出した。ただし香味は堅く木っぽい。木のエグ味も僅かにある。焦がしたキャラメルのような風味も微かにあり、美人のシャンプーはしっかり薫ってくる。
 まともなのは3本で、あとは−1。総じてクラブを買った方が断然良かった。大量生産の皺寄せがNo.5に畳まれているのかもしれない。
 二ヶ月も休ませれば特別不味い物は激減し、美味しくなるのだが、美味しくても「これぞモンテクリスト」という感じはしなくて、濃厚なモンテクリストらしさが出ても、酸味が立ったり、クリーニング屋のようにあったかくなってしまったり、必ずどこか不抜けている。肝心のハバナっぽさが辛くて苦くてしかも嘘くさい。明らかに偽物ではないから、これが五番の特徴なのか、安く買って早々消費し尽くした感想はこんなもの。色々な余裕があれば少し評価が上がるかもしれないが、この箱にてハズレが多い事は確か。

 何故か今思うとアップマンマグナム50が美味しかった。高級ブランドで失敗するとそういうものの価値が上がってみえる。見えるだけでなく特別美味しいのではなかった記憶が特別美味しかった記憶に変わるとはどういう事だろう。
|MPE FEB 10|235㎜ x 47|coh-hk|$92.65/5|算出:−1|香味:+1|

 サンチョスは誰が巻いているのかわからないけれど、Aは巻き手が有名らしく判明している。最近の日本のお米とか野菜のような。
 巻きはちょっと吃驚するぐらい美しい。サンチョス同様キャップ部分も出来が良く、こんなに巧くカットできたのはこれで二度目。巻く人と同じ人がキャップを留めるのかわからないが、本当に巧く切れる。毀れたギロチンでも巧く切れてしまう。

 吸い込みは悪いが、長さに因るのかもしれない。片燃えもあり。雨降りで湿度も高く、燃焼に悪い事ばかり重なっている。
 煙は流石に香ばしくて(カラメルナッツと青緑色の芳香)モンテっぽいが、微少の煙に揮発味が目立つ。若すぎるのはわかり切っているのだけれど、この揮発とエグ味を伴う木っぽさの所為か、ハバナのハの字がなかなか感じられない。この調子だとたぶん中盤過ぎまで我慢するしかない。湿度を低めに設定した方が良いと思う、なんとなく。
 ちびちびとした煙に揮発系雑味と微かな香りと甘さが乗るのみで30分、変化なし。このままだとモンテでもかなり不味い部類に属してしまう。モンテのクラシックよりもエドムンド等の新しいものに近しい。パルタガスでいえばセリーPのような、そういう感じ。新しいAではなく遥か昔のAを吸ってみたい誘惑に駆られて終わるかもしれない。ラッパーの色がそもそも黒すぎる気がする。黒い方が美味しそうには見えるけれど、黒いものであまり美味しい思いをした事はない。ここまで言うほど黒くはないのだが。
 吸い込みが悪いと煙が少なくて減りも速い、減りが速いのに煙が少ない、煙は何処に消えるのだろう。火種から大量に漏れるはずだが、そう漏れてもいない。

 50分、葉巻には未だ変化は見られないけれど、葉巻が変わったのか、飲み物をテキーラに変えたら少し美味しくなった。
 テキーラのお陰ではなく、徐々に美味しくなり始めたようではある。だがテキーラの方がウヰスキーよりは合う。アガヴェのとろけるゼリーのような舌触りと植物性の甘い芳香がモンテのキャラメルや青緑香と入れ子になっている。吸い込みは依然難いが、揮発味がやや抜けて、そういう美味しさが目立ってきた。
 テキーラが切れると不味くなった、やっぱりテキーラが奏功したのか。次のラムも悪くないが、ラムは雑味を消すのみで、伸びはしない。
 そのままずっと伸びない。根本まで葉がぎっちり詰っていて、吸い込みは改善されず、残7センチほどで煙の集積のような苦味ばかりが増える。サンチョスだったらこの苦味がゴマ団子のような甘さに転化されるののかもしれないが。
 Aで外れるというのはかなりおそろしいことだと思う。それでもまさか最近購入したNo.5のような連続大ハズレは無いだろうし、長いだけでなんだか納得してしまいはするのだが。+1と+2の間を冗漫に揺れ動く感じだった。馬券が外れたような、良くも悪くもない、どうでもいい気分になる。
|MUA NOV 09|4 x 40|coh-hk|$107.10/25|重量:−1|算出:+5|香味:+3|

 蓋を開けただけで美味しい。
 シグロ1を5回(5本)ぐらい買って毎回ハズレているのでこれを箱で買うのには復讐の趣がある。復讐といっても安楽な狼煙だけれど。

 到着日の所為か、最初クァバみたいな芳香で残念に思ったが、すぐに土の重みが加わった。いかにもハバナらしい香りだが、葉巻を初めて吸った時よりも、葉巻にやや馴れてきた頃を思い出させる。シガリロっぽくはないという事か。それでも大モノの葉の味ではなく、濃密さにはやっぱりシガリロっぽさもあるのかもしれない。
 太くも細くもなく密で、モンテの中でも一番土っぽいのではないかと思う。こういう話は『シグロ1の濃密神話』と一緒なのだが。
 土の重さを保ったまましばらくは時々蜜が過ったりして、甘味が恋しくなったが、中盤に入ると香ばしいナッツとともにキャラメルのような花が咲く。そのまま甘さは落ちてすぐに収束してしまったけれど、香ばしさは消えずに残っているし、酷い荒さや過剰な強さも感じず、短く、濃厚で、常喫品として申し分ない。きっちり満足感を残すほどの強さはある。
 エスペシャルNo.1以来、久しぶりに極上の重いモンテクリストを味わった気がする。軽いモンテクリストではNo.1が超絶美味だったけれど。
 これを味わうとエスペシャルNo.2は用なしで、プチコロナはたぶん中途半端で嫌いだし、No.2とNo.3はもう一度試してみたいけれど、エスペシャル1とナンバー1と5を完備すれば私は安心できそう。こんなものを完備していたら毎日が愉しくなってしまうかもしれない。
 季節の変わり目で余計な懐かしさも手伝ったのかもしれない。土は革のようでもあるが、けっして木ではなかった。青緑色のようなお茶のような、モンテクリストをモンテクリストたらしめる不思議な芳香はあるのにあまり目立たず、濃味のようなものが支配していて、木実の香ばしさと木犀の濃さに程よく混ざっている。
 クァバ風のあったかい床屋っぽさは目立ちはしないものの続いていた。(クァバは純朴なだけに床屋が目立つ。)

 よくわからないがシグロ1の場合はシガリロっぽさが許せないのかもしれない、どでかいシガリロのような感じが。シグロ2や4にも同じような印象を持っていて、シガリロの荒い皮を巻いているような感じがキツすぎるのかもしれない。そのくせモンテホイタスよりもコイーバパナテラの方がたぶん好きなのだから難しい。

 ※ちなみに所持中のコイーバパナテラと同じボックスコード。そのコイーバパナテラは10本近く吸ってみて全体的にやや酸っぱい感じであまりよろしくない。酸味が抜ける事もあろうかと思って待ちたいけれど、たぶん1週間に1本のペースで無くなってしまう。
|TEB DIC 08|6 2/5 x 54|cigarOne|$218/10|+1|+2|

 外観はプチエドムンドぐらいの黒さだろうか。モンテでは一番黒いと思う。
 音響でいうと高域寄りの、青緑色のような芳香。ブラインドでもモンテだとわかりそうな香りは54口径でもぼやけない。味はぶよぶよしていて密度はない。サイズらしいといえばそうで、この味のまま濃くすれば美味しくなるという感じもしない。けっこう強めに吸い込むと煙の量もおびただしくなり多少密になる。強めに吸い込むのも大変だけれど。

 モンテっぽいが、そのモンテっぽさにも色々種類があるような青緑色の香りに、焦げた風味が重なっている。雑味が無くない。雑味の所為か焦げが雑味のようにもなってしまう。青緑色の皮が甘さを皮に蓄えて、そこに自然らしく茎や木犀が重なっている。皮の中身の旨味は薄く、雑味を引き立て、ほんわかとした風味にそういえば包まれていたと思わせるような大らかさと淡白さしかない。炊きたての米の蒸気にも似ている。ただ青緑は薄さが濃さなのである。
 少し進むと焦げがナッツの旨味と香ばしさに少し変わる。微かなピーナッツの旨味に花の香りと甘味が滲んでいる。ピーナッツというにしては軽く爽やかで、薄荷と金木犀とお焦げを練りあわせたものをキャラメル味の綿飴にしたような。甘味の差引で、差した時は砂糖のように強い。香りにも甘さが乗って、熟して酸味を消した果実のように思える事もある。終盤は逆巻きのように酸味が出てくる。
 木や土や革はあまり感じないが、どれかといえば木。それから草。草が雑味に通じている。草というには茶色っぽいが、焼いた草のような雑味。シャンプーにしても直接シャンプーを口に入れてしまったような嫌味があり、美人の影もない。新築の家の真新しい壁紙のセメダインのような風合いもある。そして庭で焚火をしているような。微かにエクストラバージンオイルめいた金木犀。
 シグロ6やロブストエクストラの滑らかさがあればと思うのだが、そんなものは似付かわしくないとでもいうようにモンテらしい荒さこそが息衝いているらしい。
 若いといえばそれまでで、勿体無い事をしているような気がするが、実物よりも印象に終わりそうな夢のような不甲斐なさがあった。
|6 2/5 x 42|cigarOne|$12|+8|+5|

 これも前回は高評価していないのだが、正月に吸いすぎて疲れているところで手にとったら一口目で疲れが吹き飛んだ。一口目から美人のシャンプーめいた木犀が芳しかった。一口目からしてなんだか違った。
 モンテの美味しさは葉巻っぽさとか、そういうものではないのかもしれない。たとえようのない独特さで、葉巻とも言い難いのだから、わけがわからない。わけがわからず美味しいのだから恍惚としてしまう。最初の五口ぐらいは少しばかり辛いが、それでもいいと思っているところ、それもなくなる。かなり肌理の細かい粉状の旨味と甘味。なめらかさはないが、極端に柔らかい。しかも味が濃く香ばしい。煙の量も異様に豊富。
 最高の一本が当たったらしい。くどさや油っぽさがまったくないのに濃厚で、しかも草っぽくない。なんなのだろう、笑ってしまうほどおいしい。モンテとしかいいようのない香なのだが、それがかつてなく細やかで単純で甘くて。こういうものには箱で買ったってそう当たるものではないと思う。木も土も革もナッツも何も感じない。ひたすらモンテ。
 赤ワインなのだが、ここまで美味しいと飲み物はまったく関係がない。初回のダビドフNo.2もそうだったが、別の羽の感じで、ライトにして過剰に芳醇。
 +5はこれでようやく二本目。変化は大事だと思うのだが、変化せずに最終盤まで行ってしまったような気がする。根元までかわらず美味しかった。というかほとんど何も覚えていない。途中で微かに雑味が出たのは覚えているのだが、軽さと過密さが私には重要らしい。煙の量が鍵になるのか、煙の量も初回のダビドフNo.2とこれが一番多かった。ロンズデールの絶妙な満足度にしてニコチン酔いも皆無。
 葉巻というのはどれがどうというよりも結局当たりを引かなければならないのだということをわからせられてしまいそう。
|5.3 x 52|cigarOne|$0/3|ー|+2|

 シガーワンのクリスマスプレゼントで無料だった。だから油断しているかもしれない。油断していた方がいいような気もするけれど。
 
 老舗よりも老舗ふうであるモンテクリストを味わいよく薄めたような、薄くしたぶんなにかを効かせているのかわからないが、薄く感じない良さがある。オープンシリーズの「趣味はテニス」といった胡散臭さはない。こういうのを味わうと昨日のトリニダッドが滑らかなだけで香ばしくないものに思えてしまう。これも杉は香るがモンテらしい茶色っぽさに塗られているし。モンテの美味しさは実は嫌いなはずの杉の調合にあるのかもしれない。

 昨日の今日だし大きさが近いので比べてしまうのだが、ロブストエクストラやシグロ6にある別格の滑らかさはまったくない。モンテからそれらのような滑らかなものが出たらなと思う。このエドムンドのように薄味だと思ってあまり買う気がしなかったのだが、グランドエドムンドを買うべきか。

 このエドムンドには引き付けるほどのなめらかさもないし、やっぱり濃厚さに欠けているようで飽きてしまう。滑らかさの欠如でか、なまめかしさがない。熟成で密になるというのも読まないし。と飽きてきた頃に気を惹くような木犀が咲く。そういえば前回もそうだった。エドムンドはこの変化がとりわけ鮮やかなのだった。しかしこの変化にしてもバランスにしても葉巻の優等生という感じしかしない。
 キャラメルやナッツはもっとも薄く、エスペシャル1・2にまったく及ばない。それでもモンテはどれも葉巻を吸っているという実感がわく。オープンでもそうなのだから。

 +2に降格。結局最低限必要な濃さがないらしい。紙パックだからかちょっと紙っぽいところもあったかもしれない。
|6 x 38|cigarOne|$62/5|+6|+4|

 前回あまり高評価していないのだが、5本も吸ってみると、どうしても美味しい。巻きがなかなかキツいし、雑味や辛味が必ずといっていいほど出るのだが、それでも美味しい。大いに結構だと思う。雑味を老獪さだと解釈してしまう。私にはこれがデイリー候補一番らしい。+4にしたけれど、出来からすると+2ぐらいかもしれない。完全に好み。(ただし、一本だけ酷く不味いものがあった。)
 吸い始めはいつもキンキンしたキウイの嫌味があり、すぐに有耶無耶に入れ替わって、醗酵を遂げた葉以外の何ものでもない濃醇な香ばしさが旨味を連れてくる。木や革よりも、ナッツの殻というか、田舎蕎麦のような、旨味があるのでナッツの中身もあるのだが、こんな花の香りのナッツは煙にしか存在せず、変なナッツだなと思う。このナッツをバターで煎ってしまうなどもってのほかで、ナッツだけで十分油分がある。モンテはけっこう濃い方だと思うのだが、モンテにしつこさを感じた事はない。旨味は十分なのにナッツほどのしつこさもない。
 ほんの少し杉っぽいのかもしれないが、杉が嫌いでもまったく気にならない。マグナム50のように甘く香ばしく杉をパリっとさせて中を甘く湿らせたマカロンのような感じはなく、杉を粉挽きしてナッツ紛に少し混ぜたという感じ。ナッツは勿論田舎蕎麦のように皮ごと轢いてあり、それが更級にはない雑味とも香ばしさとも受け取れる。傾いた実家のような落ち着き。
 程よい頃に花がナッツ色に茶色く染まってきて、キャラメルっぽく感じられる事もある。木犀を初めて感じたのがモンテだったので木犀の元祖みたいに思わざるを得ないのだが、他ブランドの木犀と比べると、モンテクリストの木犀は随分シャンプーがかっている。隣家の美人の風呂場から漂ってくるあの恍惚たる匂いで、本当は美人の父親かなにかが風呂に入っているのかもしれないが、この湯気に風物めいた木犀が加わってくるのだから、やはりモンテの花はただものではなく揺り動かされる。

 No.1のロンズデールとほぼ同じ価格なのはどういうわけだろう。重量だけならこちらの方が高級ということになるけれど。確かにモンテクリストのラギートは美味しい。シガリロの良さを残しつつシガリロの悪さを程よく洗い流したようなデイリーっぽさがある。デイリーにはラギート1より2の方が当然相応しい。コイーバはしつこいので高さともどもデイリーには向いていないし、ラギート1、2ならコイーバよりもモンテの方が美味しい気がする。モンテは究極ラギート向けの味だったのだと思えてくる。細さが良くも悪くも濃さに繋がっているらしい。

 コイーバの「岩味」に相当する「モンテクリストの味」を何といえばいいのか、茶でいうと玉露のような。語感こそ「玉露」のようだが、薄緑色ではないし、確かに露のような甘さはあるのだが、もっと深蒸しの苔むした茶の方が近い。考えながら燻らせていると抹茶のコクと苦味と甘味まで感じるが、焙じ茶の香ばしさも犇めく。はじめから「抹茶と焙じ茶を混ぜた香味」といえば良かったのかもしれない。
 今更気付くと、モンテクリストの葉巻は全体的に「茶」に近いものだった気がする。茶だから端から愛着が湧いたのかもしれない。そこにモンテらしい花が咲くし、「岩味」のように二文字でいいたいのだが、「花茶」では中国茶そのままだし、なんにもいい言葉が無い。
2.5 gram|Cigars of Cuba|$7/5|+3|+2|

 最初から面倒臭い話だが、20%引きで9$を7$で買った。

 パルタガスプリトス(=チコ)にもロメオプリトスにも似ている。ブランド内での近似以上に「プリトス味」という味があるような。あまり記憶にないのだが、パルタガスプリトスはロメオプリトスにかなり似ていたと思う。モンテプリトスはそれほどまでには似ていず、モンテの個性はプリトスでもかなり強く感じる。
 モンテクラブ特有の柔らかさや円さがなくて、油を効かせたような旨さがある。モンテクラブがコイーバクラブ化したというか、コイーバクラブのように辛くて強い。コイーバクラブのように香ばしさが跳ね上がっているし、咽にくる。
 モンテクラブの方がコイーバクイラブよりも好きだけれど、よりコイーバクラブに近いモンテプリトスの方がモンテクラブよりも美味しい気がする。モンテクラブの優しさはシガリロらしくないが、モンテプリトスは良くも悪くもシガリロっぽい。これが駄目なら次にはもうホイタスしかない。でもホイタスにない良さが十分ある気がする。プリトス以下でなければ感じられない濃密さと荒々しさが。
 ちゃんと「花」と「ピーナッツの皮」を擂鉢で練り込んだ味がするし、コイーバクラブとモンテクラブのどちらが好きか迷える優柔不断な人にはモンテプリトスが最良の選択になりそう。
 あんまり甘美な見解を示していると何故だかロングフィラーのように変化する。思い込みに過ぎないとは思うけれど、ショートフィラーなのにヘッドとフットとで詰める葉を変えているような気までする。

 辛くて濃くて強いのでボディントンのパブエールがよく合った。けっこうノッペラなビールだけれど、荒さをほどよく洗い流してくれるというか、葉巻がかえってエールビールのささやかな花を引き立てる。安い日本酒も合う。プリトスらしく何でも合うのかもしれない。面倒臭く二重三角関係じみているけれど、モンテクラブがモンテプリトスだったらわかりやすかったのかもしれない。思い出すと「プリトス味」というのをすっかり忘れていて、パルタガスやロメオのプリトスはどうでもよくなってしまった。
|3 7/8 x 24|目黒の煙草屋|¥1400/10|+5|+3|

 庭園美術館で『香水瓶の世界』を観賞後に庭園で吸ったらやけに美味しかった。目黒駅近くの煙草屋でなんとなく買ってから美術館に向かったのだった。家に帰って吸ったらやっぱり美味しい。濃密で土臭いのに、鼻に抜ける香りが爽やかですらある、粉っぽい薄荷状の旨味。初めて葉巻を吸った時の事が思い出される事はなんだかんだ言って多々あるが、これほど美化されて思い出されたのは久しぶり。プレミアムシガーが木偶の坊に思えてしまう。溶けたバターに浮いた金木犀のような瀟洒な香味も出ているし。甘さもなくはなく、焦がした豆乳のようなコク。そういえば庭園に巨大な二本の木犀がちょうど咲き誇っていた。
 なぜかシガリロらしい辛味もないし、欠点を探す方が難しい。細い割りにはボリュームもパワーも柔らかさもある。不味いどころか美味しさ一辺倒であるのがかえって訝しくなった。コイーバのクラブよりも好きかもしれない。コイーバクラブには病院のような香りがなくはなかった気がするし。モンテクリストクラブの方がコイーバロブストに似ているような。
 箱が香水瓶にちょっと似ているのもいい。なんだかとんでもなくいいプレゼントをもらったという気になる。自分で買ったのに。木犀の開花時期や美術館にピントが合いすぎているのかもしれない、木犀が咲いているうちに全部吸い切ってしまいたくなるような鮮やかな葉巻らしい美味しさ。

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