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  源氏物語「葉」
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|箱不明|6.3 x 52|cigarOne|$16|重量:+1(15.90g)|算出:−1|香味:+1|計1点|

 ほっとする、ほのぼのとした春霞の味わい。春を思わせ、甘草を思わせ、草っぽく、甘い。土も穏やかで、やはり床屋のような雰囲気がある。土が甘く暖かく湿っている。その土は、薄い木の粉を叩いたよう。
 フィギュラドにて、巻が悪い訳もなく、着火も楽で、序盤一気に太くなって段々細まるが、バンドも外しやすいし、悪い所は何もない。といいたいけれど、始終雑味が多いし、リカットするにもキャップ部分が浅いし、甘さも続かず、春遠く、花も蕾のまま、最大口径の部分で一瞬のみ大輪を思わせただけで、尻すぼみも甚だしい。
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|OPM NOV 09|184mm x 57|coh-hk|$103.70/10|重量:+2(20.55g)|算出:0|香味:+1|

 昼は気温が冬に戻って冬を懐かしみつつ今日日は夜の方が気温が高いと云う、今年何度目の春かを夜に感じる、クァバを吸ってみよとの声に聞こえた。
 サロモネス最後の一本だったのに、今回は不甲斐無い結果に終る。巨大なので気付き難いが20.55gで重量過多なのかもしれない。吸い込み難い物を吸っているとありがちな舌焼のような感覚に塩気が立つ。
 10本中美味しかったのは2本。今が春だからかもしれないが、全体的に桜のないまろやかな春の味わいだとも思う。春の床屋、それも少しじめじめとした雨上がりの。当りさえすれば大変に風物感のある逸品だと思う。
 三年過ぎの物だが、三年で少し強さが出てきたような気もする。後から強さが出るというのは少し信じ難い話なのだが、往々にして葉巻にはそういう事があるらしい。
|OPM NOV 09|184mm x 57|coh-hk|$103.70/10|重量:+2(18.49g)|算出:+6|香味:+4|

 夏は煙管もパイプも葉巻も不味いのか。ひょんと夏にはクァバしか合わないと思った。好きな銘柄ではなかったが、こんなところで真新しい一面を見せてくれるなら有り難い。
 着火すると美味しい。夏に合うというより、ただ美味しいような。最近毛嫌いしていたカスタードも、この葉巻特有の総体の綿っぽい柔らかい雰囲気にあって水を得たお湯のようである。なんともとっぷりと葉巻に浸かっていられる、のぼせる心配もない。へその部分はこうである。
 火種が広がると草などが出てくる。草などもカスタード同様に最近は毛嫌いしている。最近は葉巻の何もかもが嫌いである。
 甘い。クァバが一番甘いのだと思う。この甘さが今は嫌ではない。草を和らげるほど甘い。此処で最大口径の部分が燃えた。最初から床屋の雰囲気を忘れていないのもクァバらしい。だがその床屋に架かっている額縁の中に、葉が一枚飾られている。額縁入りの葉ほど美味しい葉もない。
 パンチ・クラシコスに似ている。そういえば今日はどうしてもパンチ・クラシコスを吸いたくなって、躊躇した後にクァバに思い至ったのだった。パンチ・クラシコスをクァバのサロモネスで代用するというのはなかなか贅沢っぽくて面白い。
 前回のクァバ・サロモネスの記事からほぼちょうど一年、前回残4本で、今回残2本だから、半年に一本の間隔だった。これぐらいの空白があると飽きもこない。これがアタリだというだけの事かもしれないが、サロモネスにはアタリもハズレもない気がする。空白の所為で記憶が飛んだのか、全部こんな感じだった気がする。優しいだけに、三年前後というのは絶妙のタイミングなのかもしれない。
 こうしてうだうだと書いていても、なかなか進まない。変化も緩やかで、だが着実に変貌している。
 山椒でも吐息でもなく、それらが絶妙な稀薄なスパイスに彩られている。それにしても鼻に抜ける葉の丁寧で香ばしいこと! 優しさが幽かに刺激を秘めている。
 煙量は少なく、味は美味しかったので、リカットしたいようでしたくなかった。こういう時にカットしないでいられる人物というのは今時本当に居るのだろうか。
 切ると、煙が炭酸のようになった。
 三十歳も過ぎると夢のない死期のみが募るものの、最終盤の荒さも穏やかだった。
 金銭感覚こそ人それぞれだと思うけれど、これで九百円程度なのだと考えると驚く。
|OPM NOV 09|184mm x 57|coh-hk|$103.70/10|重量:+2|算出:+6|香味:+4|

 10本入りで既に6本消費し、蓋を開けると4本いずれも芳醇な美味しそうな香りで誘っている。なかでも一番不味そうなものに着火した。
 出だしからいつもとかなり違う。葉巻らしい枯淡の味わい(最高級の葉巻らしい味わい)なのだが、新緑のような芳香である。モンテクリストの青緑色の芳香に通じるものらしくありもするが、あのような重厚さはなく、良くも悪くも節度が凄い。
 五ミリも進むと甘さが乗ってくる。砂糖のようなはっきりとした甘さ。これまで「床屋っぽい」と言ってクァバを少し馬鹿にしていたけれど、一瞬で覆る。だが最大口径の部分に達するとやはり床屋の椅子に腰をゆったりと据えている。七本目にして漸く当たりを引いたらしいが、床屋こそは切っても切り離せぬクァバの特徴なのである。香ばしくて甘くても悠揚迫らず柔らかく、呑み込んでも難がなく、とんでもなく高級な煙草を吸っている気になる。また呑み込むと床屋が薄らぐ。
 序盤早々に至る最大口径をくぐり抜けると微かな辛味をオブラートに包んで加えて花の芳香が加わる。重くなってくるらしい。とくに先を期待させる香味ではないが、安心できる。しかしなんと寛げる高級な床屋だろう。極上の髪型に仕上がるには違いない。ああ、パーマ、パーマのような味だ。だがパンチパーマではない。臍から最大径にかける序盤の、期待と緊張に見合う曲がり具合の。
 しかしオブラートが剥がれて苦味を増しつつある。
 だが苦味もすぐに消え、どうやら思い過ごしのカミソリの驚怖だったらしく、今では床屋に花が咲いている。花の床屋。
 その後、不安とも期待とも言えない幾時かを過ごし、終わってみれば恰好良い髪型には仕上がらなかったが、序盤は期待を抜きにして美味しく、以降も悪くはない髪型だった。+5にはならず、+3に落ちる可能性を感じさせるものの、+4。
 下落を感じさせる+4というのは珍しい。
|OPM NOV 09|184mm x 57|coh-hk|$103.70/10|算出:+2|香味:+2|

 6本目。甘くてスパイシーでまろやかな床屋。6本目で漸く当たったのだが、何処までも床屋はついてまわるらしい。
 これまでの5本にしても大ハズレはなく、どれも+1にはなった。安定感は高いのに、5本目まではどれも吸い込みに難があった。吸い込みばかりが要因ではなさそうだけれど、今回だけは吸い込みも良い。小さめにカットしたが、リカットの必要もなさそう(味を変えたい時にカットすれば良さそう)。
 花もあまり濃くなく、ハバナっぽさも薄いのだが、そういう薄さの中にある甘さとまろやかさがクァバの特徴のような気がする。むろんそんなものより遥かに床屋が鼻につくのだが、大当たりらしい事もあって、えも言われぬ色香を醸し出している。まろやかなクリーム色のような、透明なアイボリーのような、床屋のような。
 中盤でスパイスに草が混じると雑味も感じる。草は雑草らしい。
 結局大当たりではなかったが、小当たりも+2止まりで、丁寧に作られている感じまでするものの、やっぱりクァバはあまり好きになれない。
 『Zaya 12年』(ラムなのにメープルシロップのようでいけ好かない)を併せたら駄目な物と駄目な物とでどうでもよくなった。よくなったのである。切れが悪い甘ったるい酒の方が合う。
|OPM NOV 09|184mm x 57|coh-hk|$103.70/10|算出:0|香味:+1|

 到着日に吸った一本目が不味くてどうしようかと困ったが、やっぱり到着日には品質が荒れるらしい。荒れて美味しくなる葉巻(長旅で味が変わるのか、在庫店での風味を維持しているのかわからないが、いずれにしても珍奇な美味しさになる事が多い)もあるが、クァバのサロモネスともなるとそういう変則的な事は無く、しばらく休ませた方が断然良い。(ただのハズレだったのかもしれないけれど。)
 とはいえ二本目にしても嫌な苦味と辛味が出ているし特別美味しいわけではなかった。だが腑に落ちる落ち着きは出ていた。

 クァバ特有の純情床屋風情(漸くわかってきたが、クァバの特徴は私にとっては床屋らしい)に、発泡スチロールのように軽い木、そこにバターのような薄ら甘い美味しさや萎れた草などが重なる。穏やかで貫禄と説得力があるのだが、それだけなのである。だからこそ良いのである、と思う。本当だろうか。美味しすぎもせず、悠揚迫らぬハバナではある。
 トリニダッドの辷り具合だとか、コイーバのわかりやすい蘊奥とか、モンテクリストの美人のシャンプーとか、そういうものは一切無くて、つまらないほど朴訥としている。ハバナ葉の味わいはあるものの、床屋がどことなく古人形の香りに通じ、葉巻にしては珍しく白ワインが合わない。互いの黴臭さを高め合うようで。
 香味は薄く、変化はあるもののクァバの特徴的な床屋臭さがなくなるわけもなく、何処が美味しいのかまったくわかりそうにない。サロモネスに限らず他のビトラも大体似通った印象なので特別ハズレを引いたとか管理が悪いという原因もたぶんない。わかるのはクァバが苦手ということだけ。
 ディビノスサイズでなければ床屋は楽しめそうにない。床屋の待ち時間には良いかもしれないが、いつの間にか美容室に予約を入れるようになってしまった。ディアデマも試したいけれど。
|3.9 x 43|cigarOne|$6|+3|+2|

 蒸篭で蒸したキャラメルのような匂い。
 臍に着火して燻りたつ煙が既に美味しさを物語っている。

 吸うとやや床屋っぽいところがあるが、青い砂糖のような恍惚的な味わい。半分懐かしくて半分新鮮な、落ち着いたハバナっぽさとそわついた美味しさがある。
 最大径に達すると辛味が収まり葉っぽい味わいが整う。味のあるミディアムボディ。
 芋や栗のような味はないがそういうほくほくした味わい。木土革というよりも純朴なハバナっぽさに僅かな青い芳香が乗っている。というとモンテに似てしまうが、これを吸っているとモンテを思い出せなくなってしまう。木犀は風に乗らない甘さがある。終盤は酒母っぽい。小気味良く、どことなく安定感があって安心できるものだった。

 サロモネスとディアデマは試したことがないのだが、その他のクァバより遥かにいい。しかし、クァバらしさなのか、サイズが違うと味が全然違うというか、それぞれの特徴にしても特別艶やかではないので大物を夢想するにも不適切かもしれず、クァバらしさが小体に凝縮されているという感じはしない。
 日常用の美味し過ぎない物の格がある。毎日もう一歩おいしいものをくゆらせたいとすると結局モンテの五番が最適かもと考え込んでしまう。よくわからないが、三箱ぐらい欲しい。形の可愛さに騙されているのだと思う。
|5.7 x 42|cigarOne|$9|0|+1|

 よくわからないが、「信頼できる味」というような味がする。「課長の匂い」みたいな。香が床屋に似ているのだが、質の良いハバナっぽさがあるというか、ハバナっぽいのに個性的で、旨味や甘味もバランスがよいし、ただ床屋のようなので好き嫌いが別れそう、加齢臭のようにも思えるので。
 揮発性に近いものがあるが、木のエグミは出ずに、木があるかと思えば木が逃げるようで有難い。床屋はクリーニング屋にも似ていて暖房が効いていて、かすかにホットビールやホットワインに入れるようなスパイスも効いているし、冬に温かみを感じる。
 久しぶりにまともなバランスのものにありつけたが、安堵感ばかりで特別な一本になるタイプではなさそう。吸い込みが悪い所為もあって、キャップぎりぎりまで口径を広げてもパワー不足だった。だが全然悪くはない。

 まだ三種類しか試していないがクアバらしさというものは形以外にあるのだろうか。まったくないような気がする。しかもどれも特殊な香味を持っているような。これは床屋だしトラディショナレスはサンクリストバルに近いエグ味だしディスティンギドスはかなりしつこい砂糖バターだった。特別魅力があるというわけではない特徴がそれぞれにある気がする。

 終盤で怖れていたサンクリストバルタイプの木のエグ味が出てきて、際どいところ。
 床屋は珍種のハーブなのかもしれない。
|4.7 x 42|cigarOne|$8|−2|0|

 糖衣の薄いカリカリのかりんとうのような、甘いお菓子のような、堅くて小さい見事な外観。味は甘くない。木を吸っているようなエグ味に、アルコールにも似た揮発感がある。バターキャンディーのようなものが奥まっている。奥すぎて窒息しそうに思っていると、辛さも苦さも手前にあり、灯台下暗しかとも思うのだが、どう考えてもあまり美味しくはない。ツンとしたキツさがある。
|6.3 x 52|cigarOne|$13|+2|+2|

 フィギュラドはベリコソやトルペドよりもどう見ても好きなのだがクァバははじめて。
 大きさはオリヴァのセリーVのフィギュラドに似ているものの、あれほど美味しそうな肌ではない。陽の差さない翳りある黄土色で、病的な薄さで、皺んだサランラップの様にラッパーが張っている。なのに巻きはあからさまに良い。隣の葉巻の血色が赤ら顔なので余計に病的に見えるのかもしれない。

 臍の部位は花火の煙を思い出す薫り。
 はじめからソフトで甘味ももう強く出てきている。吸口が小さいからか、舌にグラニュー糖をポツポツとふりかけるような、煙に刺されるような甘味。
 薬草系の薫りなのか、かえって頭痛を催したような気分になる。軽く、煙も少ない。そのせいか雑味が目立つ感じがあるのだが、雑味も薄いのである。乾いた芝草のような香りがほんのりとある。飼葉を喰うというのはこんな感じなのだろうかな、と思うぐらいで、人にはあまり美味しくないかもしれない。そこに香ばしい甘さが加わっている。いつの間にか甘味がカラメル風味になっているのであり、これなら馬も大変喜ぶだろう。と思う間もなく人の嗜好品ぐらい美味しくなっている。割り箸にカラメルを付けて舐めている様であるのは、これが綿飴のように軽いからかもしれない。細かいことを言うと綿飴には似ていないのである。草に替わって木の柔らかい風合いが出てきている。草は辛口のシナモン状の香ばしさに変わっている。軽いのにもったりと甘いのは頭痛が残っているからかもしれない。
 甘さはまったく異なるが、軽やかさと香りの一部でモンテクリストのオープンシリーズに似ているかもしれない。薄くも金木犀が出そうな雰囲気がある。後味が黄色い砂糖の木のようで美味しい。ここまで甘ったるいものははじめて。甘味が強いというか、鼻に来る甘味。相変わらず芝草が生えている。草枯れて広大に。草がスパイシーだからか、青汁ほどではないが豆や乳のまろやかさがほとんど無い。甘ったるいにもかかわらず。木もまろやかではなく、黄色い砂糖の木で、枯れた芝生に大量に転がっている。そういう大地にシナモンが飴のように降り、枯れたか焼けたか知れないものに生気を吹き込んでいるのである。
 自然なのに不自然である景観のお陰で終盤は甘く金木犀も咲き、ソフトで悠揚たるミディアム強になっていた。煙も最大口径の部分だった頃よりも増えている。コイーバにしかない、とか、モンテクリストにしかない、といわしめる特別の香味はないのだが、変梃な雄大さや甘さは他になかったので視点によっては極上なのかもしれない。

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